AI活用全般

AIエージェントに記憶を持たせる4つの方法を比較|agentic-stack・AGENTS.md・MemPalace・内蔵機能

agentic-stackは「.agent/フォルダ(AIエージェント用の記憶・スキル・規約をひとまとめにした作業フォルダ)を Claude Code・Cursor・Codex など10種類のツールに使い回す」ためのオープンソース。
2026-04-15公開、
9日でv0.9.0、
Star約1,600。

本命はAGENTS.md(Linux Foundation傘下のAAIFが管理する標準仕様、
採用60,000プロジェクト超)。
記憶のクロスツール共有を狙うならMemPalace(MCP経由・Star49,600)。
ツール固定でいいならClaude Code内蔵のauto memory(v2.1.59以降デフォルトON)。

私の判断はこう。
Claude Codeがメインで他ツールも触りたい個人開発者は、
まずAGENTS.md+CLAUDE.mdの二重管理から入って、
agentic-stackは半年後にv1.0が出てから再評価でいい。

この記事はClaude Codeを日常的に使っていてCursor/Codexにも興味がある個人開発者・実務者向け(CLAUDE.mdを編集したことがあれば読めます)。

agentic-stackとは何か

agentic-stack(codejunkie99が公開)は、
AIコーディングエージェント向けの「ポータブルな脳」を実現するOSS(オープンソースソフトウェア)です。
コアになるのは .agent/ という1フォルダ。
これを Claude Code、
Cursor、
Windsurf、
OpenCode、
OpenClaw、
Hermes、
Pi Coding Agent、
Codex、
Antigravity、
自作Pythonループの10種類で共通利用できます。

公式リポジトリのキャッチコピーがすべてを物語っているので、まず引いておきます。

One brain, many harnesses. Portable .agent/ folder (memory + skills + protocols) that plugs into Claude Code, Cursor, Windsurf, OpenCode, OpenClaw, Hermes, or DIY Python — and keeps its knowledge when you switch.
(出典: github.com/codejunkie99/agentic-stack

翻訳ざっくり「脳は1個、
ハーネス(外側のツール)は何個でも。
ツール乗り換えても知識を引き継ぐ」。
これがコンセプト。

初公開は2026-04-15、
最新v0.9.0は2026-04-24。
9日で9リリース打ってる。
だいぶ攻めてる。
Star数は約1,600(2026-04-24時点)、
ライセンスはApache 2.0。
コードはほぼPython(96.8%)です。

そもそも「.agent/フォルダ標準化レース」は何が起きてるのか

個人開発者がClaude CodeとCursorとCodexを行き来していると、
毎回「コーディング規約」「過去のデバッグ知見」「使ってるツールの好み」をAIに教え直す羽目になります。
これがしんどい。
だから2025年末から「AIエージェント用の記憶ファイルを規格化しよう」という動きが一気に走り出しました。

主要プレイヤーは4つ。

  • AGENTS.md(Linux Foundation/AAIF標準・採用60,000プロジェクト超)
  • MemPalace(MCP経由のクロスツール記憶・Star49,600)
  • Claude Code内蔵auto memory(v2.1.59以降デフォルトON、ツール固定)
  • agentic-stack(10種ハーネス対応の中間解・Star約1,600)

このレース、
どれが本命か正直まだ確定してない。
ただ採用数で見るとAGENTS.mdが頭ひとつ抜けてます。

4候補の比較マトリクス

一次ソースだけで埋めた比較表がこちら。
主観評価(★★★★☆等)は入れません。
事実だけで判断したい記事なので。

項目agentic-stackAGENTS.mdMemPalaceClaude Code auto memory
公開/初出2026-04-152025-12-09 AAIF寄贈2026-04-05v2.1.59 / 2026-02-26
最新版v0.9.0(2026-04-24)仕様(バージョン管理なし)v3.3.3(2026-04-24)Claude Code v2.1.59以降
GitHub Star約1,60020,600(agentsmd/agents.md)49,600118,000(claude-code本体)
採用規模速報値のみ60,000以上のOSSプロジェクト公開2日で23,000 Star超Claude Code全ユーザー(デフォルトON)
方式ポータブル .agent/ フォルダルートに置くMarkdown仕様MCPサーバー経由の空間記憶DB機械ローカルの自動記憶
対応エージェント10種(Claude Code/Cursor/Windsurf/OpenCode/OpenClaw/Hermes/Pi/Codex/Antigravity/自作)20以上(Claude Code/Codex/Cursor/Aider/Devin/Copilot/Windsurf/Zed/Warp等)MCP対応ツール全般(Claude Code/Gemini CLI/Cursor等)Claude Code単体
ライセンスApache 2.0MITMITAnthropic公式
インストールbrew tap(mac/Linux)/ install.ps1(Win)ファイルを置くだけpip install mempalace標準同梱(追加不要)
記憶の移植性10ハーネス間で持ち運び可20+ツール間で読まれるMCP対応の全ツールで共有機械ローカル(他マシン非共有)
後援/管理個人作者(GitHub ID公開)Linux Foundation/AAIF個人共同チーム(俳優出身者+ソフトウェアエンジニアの2名共同、出典は末尾の公式GitHubリンク)Anthropic

表だけ眺めても結論は出ない。なので私は軸ごとに見方を分けて整理していきます。

採用規模で見るとAGENTS.mdが頭ひとつ抜けている

Linux Foundation公式プレスリリースによれば、
AGENTS.mdはAAIF(Agentic AI Foundation、
2025-12-09設立)傘下の正式仕様で、
すでに60,000以上のオープンソースプロジェクトが採用しています。

AAIF Founding Platinum Members: AWS、
Anthropic、
Block、
Bloomberg、
Cloudflare、
Google、
Microsoft、
OpenAI(出典: Linux Foundation 公式

大手8社が後ろに立ってる規格、
というのは大きいです。
AAIFは設立4ヶ月未満で170以上のメンバー組織を集めていて、
CNCF(Cloud Native Computing Foundation)の同時期成長の2倍超のペース。
これは速い。

個人開発者の視点では、
20以上のツール(Claude Code、
Codex、
Cursor、
Aider、
VS Code、
Devin、
GitHub Copilot、
Windsurf、
Zed、
Warpほか)が同じ AGENTS.md を読みに行く構造ができてる、
ということ。
記憶ファイルを1個書けば多くのツールに通じる、
というのは正直強い。

記憶を「ツール横断で共有したい」ならMemPalaceが現実解

MemPalaceはMCP(Model Context Protocol、
AnthropicがOSSとして寄贈した、
AIエージェントとツールを繋ぐ共通規格)経由で記憶を共有するOSS。
Star49,600、
Fork 6,500(2026-04-24時点)。
これは派手な数字です。

公式の説明はこう。

The best-benchmarked open-source AI memory system. And it's free.
(出典: github.com/milla-jovovich/mempalace

仕組みは「方法的記憶(method of loci、
記憶の宮殿)」を模した階層構造。
Wings(人物・プロジェクト)→ Rooms(トピック)→ Halls → Closets → Drawers(原文)の5段。
SQLiteの時間付きナレッジグラフで、
事実ごとに有効期限ウィンドウを持つ設計。

ベンチマーク結果は LongMemEval(AIエージェントの長期記憶能力を測る業界標準ベンチマーク。
500問構成)で Raw semantic search が R@5 = 96.6%、
Hybrid v4 + LLM rerank で99%以上。
これゼロAPIコールでこの数字なのが効きます。

正直、技術的なインパクトは4候補で一番派手。

Claude Codeしか使わないならauto memoryで完結する

Claude Code v2.1.59(2026-02-26リリース)から「auto memory(自動記憶)」がデフォルトONで入っています。
公式ドキュメントの整理表はこう。

項目CLAUDE.mdauto memory
書き手ユーザーClaude
内容指示・ルール学習・パターン
スコープProject / User / Orgワーキングツリーごと
ロード毎セッション全量毎セッション最初200行/25KB

(出典: Claude Code公式 memory ドキュメント

保存場所は ~/.claude/projects/<project>/memory/
エントリポイントは MEMORY.md
Claudeが「価値があると判断したとき」だけ保存する設計です。
毎セッション全部記録するわけではないらしい。

ただし弱点が一個ある。
記憶は機械ローカル
他マシンや他ツールには共有されません。
出張先のノートPCで作業を再開すると、
記憶はゼロから。
CursorやCodexにも当然渡らない。

「ツール固定で1台のマシンしか使わない」ならこれで十分。
逆に乗り換えや複数マシン運用したい人は、
別の解が要ります。

agentic-stack独自の3機能(memory 4階層・auto_dream・seed skills)

私はagentic-stackを「AGENTS.md(標準仕様)でも MemPalace(MCPの記憶DB)でも、
Claude Code内蔵(ロックイン)でもない」中間解、
と整理しています。

公式READMEの方針はこう。

harness-agnosticism is the point.
(出典: agentic-stack README

翻訳ざっくり「ハーネス非依存(どのツールでも使える)こそが要点」。
10種類のツールを同じ .agent/ フォルダで束ねる、
という発想です。

独自の特徴は3つ。

  • memory/ 4階層: working(即時)/ episodic(時系列ログ)/ semantic(蒸留済みパターン)/ personal(好み)
  • auto_dream.py: cron夜間実行で過去のエピソードからパターンを抽出。推論・コミット・ネットワーク呼び出しは一切しない安全設計
  • seed skills 5本: skillforge(新スキル自動生成)/ memory-manager / git-proxy / debug-investigator / deploy-checklist。全スキルにself-rewriteフック内蔵

v0.9.0で manifest-driven adapter system(アダプタ管理をPythonコードからJSON宣言型に移行)が入って、
./install.sh add <adapter> で対応ツールを追加できるようになった。
設計としてはきれいです。

ただStar約1,600(AGENTS.mdの30分の1、
MemPalaceの30分の1)なので、
エコシステムの厚みではまだ差がある。
これは事実として書いておきます。

結局、いま採用すべきは何か(読者状況別の判断)

Q1(読者像)= Claude Code日常運用+Cursor/Codex気になってる個人開発者、
を前提に整理します。

あなたの状況第一候補理由
Claude Codeしか使わない・1台のマシンで作業auto memory(標準)+ CLAUDE.md追加導入なしで完結。記憶はClaudeが自動で蓄える
Claude Code+たまにCursor/CodexCLAUDE.md+AGENTS.md二重管理Claude CodeはCLAUDE.mdに @AGENTS.md の1行を入れれば共存可。20+ツール対応
複数ツールを本格的に行き来する+記憶を統一したいMemPalace(MCP経由)Star49,600・MCP対応ツール全般で共有可・ベンチマーク最強クラス
新しい仕組みを早めに掴んで実験したいagentic-stack(v1.0待ちでも可)10ハーネス対応+self-rewriteスキルが面白い。ただv0.9.0段階なので半年後の再評価推奨

個人的には、
いまから新規採用するならまず2行目(CLAUDE.md+AGENTS.md二重管理)が無難だと思います。
理由は単純で、
AGENTS.mdは Linux Foundation公式の標準仕様で、
3年後に死ぬ確率がいちばん低い。

agentic-stackは「面白いけど早い」枠。
半年後にv1.0と1万Starが乗ってから再評価でも遅くないです。

CLAUDE.mdとAGENTS.mdを共存させる手順

「いま始めるならCLAUDE.md+AGENTS.md二重管理が無難」と書いた以上、
再現できるステップも置いておきます。
Claude Code公式ドキュメント記載の手順を再構成したもの。

  1. STEP1: AGENTS.md をプロジェクトルートに新規作成。中身は自由なMarkdown。最低限「ビルドコマンド」「テスト方法」「コーディング規約」「PRルール」の4セクションを書く。形式はagents.md公式サイトのサンプルそのままでOK
  2. STEP2: CLAUDE.md の冒頭に @AGENTS.md の1行を追加。これでClaude Codeが起動時にAGENTS.mdの中身も読み込みます(出典: Claude Code memory公式
  3. STEP3: Cursorで開いてみる。Cursorは .cursor/rules/*.mdc を読みますが、AGENTS.md採用ツールとして20+の中に名前があるので、設定で参照ファイルに追加すれば同じ内容が使えます
  4. STEP4: Codexで開いてみる。OpenAI Codex公式ドキュメントは「Give Codex extra instructions and context for your project」と明示しており、AGENTS.mdをそのまま読みます(出典: OpenAI Codex AGENTS.md ガイド

引っかかりやすいポイントを1個。
@AGENTS.md@ はimport記法(他ファイルを取り込む書き方)であって、
メンション機能ではないです。
間違えて @ を消すとAGENTS.mdが読まれません。

agentic-stack を試す手順(v0.9.0時点)

「半年後の再評価」と書きましたが、
いま触ってみたい人向けの手順も公式README記載の方法を再構成して置いておきます。

  1. STEP1(macOS/Linux): brew tap codejunkie99/agentic-stackbrew install agentic-stack。Python 3が必要(コア機能はすべてPython)
  2. STEP2(Windows): git clone https://github.com/codejunkie99/agentic-stack.\install.ps1 claude-code C:\path\to\project
  3. STEP3: アダプタを追加。v0.9.0以降は ./install.sh add <adapter> でCursor・Codex・Windsurf等のアダプタを後から足せます。状況確認は ./install.sh status
  4. STEP4: 動作確認./install.sh doctor で互換性チェック。v0.9.0以前から上げる人はこれが必須(後方互換性に手動対応が必要、出典: 公式Releases

ここから先は .agent/memory/.agent/skills/ を覗いてみて、
auto_dream.pyを夜間cronで回す、
という流れになります。
前提条件は「ターミナル操作に抵抗がないこと」「Pythonが入っていること」の2点。

FAQ

Q. agentic-stackとAGENTS.mdは競合しますか?

レイヤーが違います。
AGENTS.mdは「Markdown仕様」、
agentic-stackは「ポータブルな .agent/ フォルダの実装+10ハーネスのアダプタ群」。
実際agentic-stackのOpenCode/OpenClaw/Hermes/Pi/Codexアダプタは内部で AGENTS.md を使っています。
共存する関係です。

Q. MemPalaceとagentic-stackはどう違いますか?

MemPalaceはMCPサーバーとして「記憶DB」を提供する側。
agentic-stackは「フォルダ規約+ホストエージェントCLI+アダプタ群」を提供する側。
MemPalaceの記憶を agentic-stack の .agent/memory/ に組み込むことも理屈上は可能です。

Q. Claude Codeのauto memoryをオフにする方法は?

公式ドキュメントによれば、
settings.jsonautoMemoryEnabled: false
または環境変数 CLAUDE_CODE_DISABLE_AUTO_MEMORY=1
/memory コマンドからもON/OFFトグル可能です(出典: Claude Code公式)。

Q. agentic-stackは商用利用できますか?

Apache 2.0ライセンスなので、
商用利用・改変・配布ができます。
条件はライセンス表記の維持のみ。

Q. AGENTS.mdをプロジェクトに置くと、Claude Code以外のどのツールが読みますか?

agents.md公式によれば、
Claude Code、
OpenAI Codex、
Jules(Google)、
Cursor、
Aider、
VS Code、
Devin、
GitHub Copilot、
Windsurf、
Zed、
Warpを含む20以上のツールが対応しています。

このページに出てきた言葉

.agent/フォルダ
AIコーディングエージェント用の記憶・スキル・規約をひとまとめにしたプロジェクト直下の作業フォルダ。agentic-stackが提唱する規約
ハーネス(harness)
AIモデル本体の外側にあるツール(Claude CodeやCursor等のIDE/CLI)。「外側の枠」を意味する
AGENTS.md
AIエージェントにプロジェクト固有の指示・文脈を伝えるためのMarkdown仕様。Linux Foundation傘下のAAIFが管理する標準
AAIF
Agentic AI Foundation。Linux Foundation傘下、2025-12-09設立。AGENTS.mdやMCPの標準化を担う
MCP
Model Context Protocol。AnthropicがOSSとして寄贈した、AIエージェントと外部ツールを繋ぐ共通規格
auto memory
Claude Code v2.1.59以降の自動記憶機能。デフォルトON。Claudeが価値ありと判断した知見を ~/.claude/projects/ に自動保存する
CLAUDE.md
Claude Codeが毎セッション全量読み込む指示ファイル。プロジェクトルートに置く
LongMemEval
AIエージェントの長期記憶能力を測る業界標準ベンチマーク。500問構成。Raw semantic search や Hybrid + LLM rerank などの手法別スコアで評価する
OSS
オープンソースソフトウェア。ソースコードが公開され、ライセンス範囲内で誰でも利用・改変できるソフト
Star(GitHub)
リポジトリへの「お気に入り」登録数。プロジェクトの注目度の目安
cron
UNIX系OSで定時にコマンドを実行する仕組み。「夜間に自動実行」等に使う

参考リンク

※この記事の内容は執筆時点のものです。AIは進化が速い分野のため、最新の仕様は公式サイトでご確認ください。

-AI活用全般
-

← 戻る