Claudeに「プレゼン作って」と丸投げすると退屈なテンプレが返ってくる。
でも「MIT教授の型で設計して」と指示すると、
まったく別物が出てくる。
MIT教授Patrick Winstonが40年磨いた「How to Speak」のフレームワークを、
Claudeのプロンプトとして使う方法を解説する。
差がつくのはAIの性能じゃなくて「何を指示するか」だ。
仕事でプレゼンを作る人。
学校で発表がある人。
「AIに頼んでも微妙なんだよな」って人。
そういう人のための記事だ。
Patrick Winston(パトリック・ウィンストン)はMIT教授で、
AI研究所の所長を25年務めた人物だ。
マービン・ミンスキー(AIの父と呼ばれる人)の後任。
その人が「How to Speak(話し方)」という講義を40年以上やっていた。
YouTube再生回数は1,800万回超え。
ハーバードの認知心理学者スティーブン・ピンカーがこの講義を「MITの宝の一つ」と呼んだ。
「プレゼン作って」の丸投げと「型で設計して」は何が違う?
同じAI、同じテーマ。指示が違うだけで、出てくるものがこう変わる。
| 「プレゼン作って」丸投げ | MITの型を指示に入れる | |
|---|---|---|
| 冒頭 | 自己紹介→目次→背景 | 「この話を聞けば○○ができます」 |
| 構成 | テンプレ通り | 約束→証拠→貢献の3構造 |
| 記憶に残るか | 情報の羅列 | 5つのSで設計してある |
| スライド | 文字がぎっしり | フォント40pt以上、情報は絞る |
| 締め | 「ありがとうございました」 | 貢献をまとめた最終スライド |
冒頭の差が一番大きい。
ふつうのプレゼンは「自己紹介→目次→背景」で始まる。
ウィンストン教授は違う。
最初の1分で「約束」をする。
「この話を聞き終えたら、
あなたは○○ができるようになります」。
これだけ。
聞いてる人は「え、それ知りたい」となる。スマホを置く。
ジョークで始めるな、
お礼で始めるなとも言っている。
聴衆がまだ自分に慣れてない段階でジョーク飛ばしても滑るだけだからって。
この「最初の1分の設計」は、
AIに「プレゼン作って」と投げたら絶対出てこない。
型を知ってるかどうかで、
指示の質が変わるわけだ。
Claude × MITプレゼン術はどんな場面で使える?
上司への企画提案で「何が言いたいの?」と言わせない
ウィンストン教授の「ビジョン→証拠→貢献」の型が使える。
最初にビジョンを1文で示す。
次に、
それが正しい証拠を3つ出す。
最後に「自分の貢献」を示す。
Claudeにこう頼む。
「この企画書のビジョンを1文で、
証拠を3つ、
貢献を1文で書いて」。
それだけで骨格ができる。
漠然とした提案が、
一気に構造化される。
社内勉強会で「分かりやすかった」と言わせたい
5つのSが使える。
特にSlogan(スローガン)。
「結局これは何なの?」を一言にまとめる作業だ。
自分でやると意外とむずかしい。
Claudeに「このテーマを10文字以内のスローガンにして、
5案出して」と頼む。
キャッチコピーっぽいフレーズが出てくる。
そのまま使えなくても、
方向性が見える。
Surprise(サプライズ)の提案もいい。
「このテーマで聴衆が驚く意外な事実は?」とClaudeに聞く。
自分では思いつかなかった切り口が出てくる。
学校の発表で「ふつう」から一歩抜け出す
エンパワーメント・プロミスを入れるだけで印象が変わる。
「今日は○○について発表します」→ ふつう。
「この発表を聞くと、
○○が○○だと気づきます」→ 聞きたくなる。
この違い、
Claudeに「このテーマでエンパワーメント・プロミスを3案書いて」で出せる。
そこから一番しっくりくるものを選ぶだけ。
5分でプレゼンの格が上がる。
Claude × MITプレゼン術に必要なものは?
必要なものは2つだけ。
1. Claude
無料プランでも使える。
Proプラン(月20ドル)ならProjects機能がある。
6つの型をProjectに保存しておけば、
毎回呼び出せて便利だ。
日本語で問題なく使える。
プロンプトを日本語で入力すれば、
日本語で返してくれる。
2. プレゼンのテーマと聴衆のメモ
何について話すか。
誰に向けて話すか。
持ち時間は何分か。
この3つをメモしておくだけでいい。
スライドのデザインツールは別途必要だけど、
構成とテキストはClaudeで完結する。
デザインはCanvaやGammaが得意な領域だ。
Claudeで構成を固めて、
デザインは専用ツールに任せる。
この分業がいまのところベストだと思う。
Claude × MITプレゼン術の使い方は?(5ステップ)
ステップ1: テーマと聴衆をClaudeに伝える
まず、Claudeにこう伝える。
「プレゼンを作りたい。
テーマは○○。
聴衆は○○(上司/クライアント/同級生)。
持ち時間は○分」
これだけでClaudeが質問を返してくれる。
「聴衆はこのテーマについてどのくらい知ってますか?」「ゴールは何ですか?承認?共有?提案?」。
ここで整理されるだけで、
頭がクリアになる。
ステップ2: エンパワーメント・プロミスで冒頭を決める
ウィンストン教授の一番の教え。プレゼンは「約束」から始める。
Claudeにこう頼む。
「MITのウィンストン教授のエンパワーメント・プロミスの手法で、
冒頭の"約束"を3案書いて。
"この話を聞けば○○ができるようになります"の形で」
3つ出てきたら、一番しっくりくるものを選ぶ。これがプレゼン全体の軸になる。
ここで大事なのは「テンプレ的な冒頭を使わないこと」だ。
「はじめに」「本日の目次」「自己紹介」。
全部いらない。
約束から入る。
それだけで聞く側の姿勢が変わる。
ステップ3: 5つのSで記憶に残る要素を設計する
ウィンストン教授の「5つのS」。
プレゼンの内容を聴衆の記憶に残すためのフレームワークだ。
Symbol(シンボル): アイデアを1つの絵や図に凝縮する。
Slogan(スローガン): 一言で言える短いフレーズにする。
Surprise(サプライズ): 「え、そうなの?」と思わせる事実を入れる。
Salient(目立つアイデア): 一番印象に残る1点に絞る。
Story(ストーリー): 個人的だけど普遍的な物語で包む。
頭文字が全部S。覚えやすい。
Claudeにこう頼む。
「このプレゼンの内容を、
ウィンストン教授の5つのS(Symbol、
Slogan、
Surprise、
Salient、
Story)で設計して。
それぞれ具体的に提案して」
Storyだけは自分の体験を入れる必要がある。
でも「こういう体験をしたんだけど、
プレゼン用にまとめて」とClaudeに渡せば構成は整えてくれる。
個人的に一番おもしろいのはSurprise。
Claudeに「このテーマで聴衆が驚く意外な事実は?」と聞くと、
自分では出てこない切り口が返ってくる。
これだけで聞き手の「おっ」が1回増える。
ステップ4: 構成を組み立てる
ステップ2と3の結果を使って、全体構成を作る。
Claudeにこう頼む。
「この"約束"と"5つのS"を使って、
○分のプレゼン構成を作って。
"はじめに/背景/まとめ"のテンプレ構成は使わないで。
ウィンストン教授の手法に従って」
「テンプレ使うな」と明示的に言うのがポイント。
言わないとClaudeはデフォルトのテンプレに戻ろうとする。
AIにも「型を指定する」ことが大事だ。
提案に使うプレゼンなら「ビジョン→証拠→貢献」の構成を指定するといい。
最初にビジョンを示す。
それが正しい証拠を具体的に見せる。
最後に「自分がどう貢献できるか」で締める。
就活の面接やビジネス提案にそのまま使える構造だ。
ステップ5: スライド犯罪チェックで仕上げる
スライドのテキストができたら、
最後の仕上げ。
ウィンストン教授は、
ダメなスライドの特徴を「犯罪」と呼んでいた。
Claudeにスライドの内容を貼り付けて、こう頼む。
「以下のスライドをウィンストン教授のスライド犯罪チェックで確認して。
該当するものがあれば指摘して修正案を出して」
チェックされる項目はこう。
スライドが多すぎないか。
文字が多すぎないか。
フォントが小さすぎないか(40pt以上が目安)。
書いてあることをそのまま読んでないか。
アニメーションが多すぎないか。
グラフが複雑すぎないか。
自分では気づかない「やっちゃってるポイント」が見える。
そして最後、
締め方。
ウィンストン教授のルール: 「Thank you」で終わるな。
最後のスライドに「自分の貢献」をまとめたものを出す。
Q&Aの間もそのスライドを表示し続ける。
聴衆が最後に目にするのが「ご清聴ありがとうございました」じゃなくて「この発表の要点」になる。
日本のプレゼンだとほぼ全員「ご清聴ありがとうございました」で終わる。
もったいない。
最後の印象が「お礼」で上書きされてしまう。
なぜClaudeに「型」を指示するだけでプレゼンが変わるのか?
ウィンストン教授はこう言っていた。
「あなたの人生の成功は、
話す力・書く力・アイデアの質で決まる。
この順番で」。
アイデアの質より、
話す力が先。
いい内容でも伝え方がダメなら伝わらない。
逆に、
伝え方の「型」を持ってるだけで、
ふつうの内容が説得力を持つ。
AIに丸投げすると「情報の整理」が返ってくる。
でも型を指示に入れると「人の心を動かす構成」が返ってくる。
同じAIなのに出力が変わる理由は、
指示に構造が入ったからだ。
今まで「型」を学ぶには、
本を読むかうまい人を観察するしかなかった。
でもAIがある今、
「この型に従って設計して」と言えばいい。
40年間MITで磨かれたフレームワークが、
プロンプト1つで使える時代。
プレゼンの才能がある人だけが勝つ時代じゃなくなってきている。
Claude × MITプレゼン術のよくある疑問は?
Q. 英語のフレームワークだけど日本語のプレゼンに使える?
使える。
エンパワーメント・プロミスも5つのSも、
言語に依存しない構造の話だ。
むしろ日本のプレゼンは「はじめに/背景/まとめ」の型に縛られがちなので、
ウィンストン流の「約束から始める」を入れるだけで差がつく。
Q. 6つの型を毎回全部使う必要がある?
ない。
使い分けの目安はこう。
5分以下の短い発表 → エンパワーメント・プロミスだけで十分。
10〜15分の発表 → プロミス + 5つのS + クロージング。
30分以上の本格プレゼン → 全部使う価値がある。
Q. スライドのデザインまでClaudeにやってもらえる?
構成とテキストはClaudeで完結する。
デザイン自体は、
CanvaやGammaの方が得意だ。
Claudeで構成を固めて、
デザインは別ツールで仕上げる。
この分業が今のところベストだと思う。
Q. ChatGPTやGeminiでも同じことできる?
フレームワーク自体はどのAIでも使える。
ただ、
Claudeには「長い指示を忠実に守る」という設計上の強みがある。
6つの型を全部渡しても、
最後まで型に従って出力してくれる。
特にProjects機能で型をあらかじめ保存しておけば、
毎回指示し直す必要がない。
もちろん「使い慣れたAI + このフレームワーク」の組み合わせでも全然OK。
Claude × MITプレゼン術の注意点と限界は?
ウィンストン教授の教えは「対面プレゼン」が前提だ。
「レーザーポインターに頼るな」「黒板を使え」みたいなルールは、
Zoomプレゼンにはそのまま当てはまらない。
そこはClaudeに「オンラインプレゼンの場合どうアレンジする?」と聞けば対応してくれる。
あと、
Claudeが出す構成案はあくまで「たたき台」だ。
そのまま使うんじゃなくて、
自分の言葉で調整する工程が必要。
特にStoryは自分の体験がないと嘘くさくなる。
Claudeに作ってもらうのは骨格で、
肉付けは自分でやる。
元の講義は約1時間。
YouTubeで無料で観られる(MIT OpenCourseWare、
英語)。
英語が苦手でも、
Claudeに「この講義の内容を日本語で要約して」と頼めば理解できる。
時間がある人はぜひ一度観てみてほしい。
Claude × MITプレゼン術を始めるなら何からやればいい?
MITのウィンストン教授が40年磨いた「プレゼンの型」が、
Claudeのプロンプトで使える。
一番手軽なのはエンパワーメント・プロミスだ。
「この話を聞けば○○ができるようになります」を冒頭に置くだけ。
次にプレゼンを作る時、
「作って」の前に「エンパワーメント・プロミスを3案出して」と試してみてください。
聞く人の反応が変わるはず。
1回やったら、
もう「はじめに/背景/まとめ」には戻れなくなると思う。
参考リンク
- MIT OpenCourseWare「How to Speak」: https://ocw.mit.edu/courses/res-tll-005-how-to-speak-january-iap-2018/
※この記事の内容は執筆時点のものです。AIは進化が速い分野のため、最新の仕様は公式サイトでご確認ください。