この記事の結論
- Windows・WSL・Mac・MacBookの4台でClaude Codeを使う私が、SyncthingでWSL→Windowsのコピペ作業を丸ごと消した実体験レビュー。
- 最大の効果は「クラウド月額が浮いた」ではなく「Claude Codeに出していたコピペ指示=トークン代が消えた」という新しい節約軸。
- .git除外と「同期中で止まる」問題だけは事前に知っておくと詰まらない。Claude Codeに任せる前提で運用手順を書きました。
この記事はClaude Code を WSL で動かしていて、複数PCでファイルを行き来させたい人向け(WSL とターミナル操作の基本が分かる前提)。
Claude Code を WSL で使っている人なら一度はやってるはず。
「WSL側にあるプロジェクトをWindows側で開きたい」と思って、Claude Code に cp -r ./project /mnt/c/Users/... を頼むやつです。
あれ、塵のように積もる。
私はこの作業を Syncthing で丸ごと消しました。
WSL内のプロジェクトフォルダがそのままWindowsからも、Macからも、持ち歩いているMacBookからも見える状態にしています。
同期は自動。
指示はゼロ。
この記事は「4台運用している私」の視点で書きます。
クラウド代を浮かせた話ではなく、AIエージェント時代のコピペ作業を消した話です。
ここが他の日本語Syncthing記事との一番の違い。
Syncthingとは? クラウドを使わずPC同士を直接つなぐ無料の同期OSS
Syncthing は、手元のPC同士でフォルダを直接同期するオープンソースのツール。
Dropbox や Google Drive のような「クラウドに預ける型」の同期と違って、どこかの会社のサーバーを一切経由しないのが最大の違いです。
料金は完全無料(MPLv2ライセンス)。
GitHubスターは82,000以上。
2026年4月時点は v2.0.16(2026年4月7日リリース時点)が動いています。
一般的なクラウド同期は、手元のファイルを一度そのサービスのサーバーに送って、そこから別のPCに届ける仕組みです。
Syncthing はそれをしません。
PCとPCが直接つながる。
だから月額料金はゼロ、ファイルの中身が外部のクラウドに残りません。
動作イメージ(これだけ)
- 2台以上のPCに Syncthing を入れる
- 「このフォルダを同期したい」と両方のPCで指定する
- 相手のPCの「デバイスID」を一度だけ教え合う
- あとは勝手にファイルが両方で同じ状態に揃う
設定は最初の5分だけ。
そのあとは放置。
Google Drive のアイコンがタスクバーで回るのと同じ感覚で、背後で静かに動き続けます。
Dropbox との決定的な違いは、ファイルの中身は他人のサーバーを一切通らないこと。
公式ドキュメントに明記されています。
discovery server の役割は device ID と listening port(s) を30分ごとに送信してIPアドレスをマッピングするだけ。
— Syncthing公式 docs.syncthing.net/users/security.html
ファイルの中身は discovery server を通らない。
つまり「PC同士のIPを教える電話帳」だけが外部を経由して、ファイル本体はPCとPCで直接やり取りされる。
ここが Dropbox や Google Drive とは構造的に違うポイントです。
なぜ今Claude Code使いに刺さるのか
Claude Code の公式ドキュメントは「プロジェクトはWSLホームディレクトリ(~/)に置くべき。/mnt/c/... は避けよ」と明記しています(Claude Code公式)。
理由は速度で、/mnt/c/経由のファイルアクセスはネイティブWSLの30〜50倍遅いことが実測されています。
ここで問題が起きる。
プロジェクトがWSL内にあると、Windows側からそのまま触れない。
エクスプローラーで開くには \\wsl$\Ubuntu\... を叩くか、WSL内で explorer.exe . を実行する必要があります。
毎回手動。
そして、出来上がったものを別のPCに渡すのが地獄。
私はこれを Claude Code に「WSL側からWindows側にコピー作って」と頼んでいました。
頼むたびにトークンが溶ける。
1回あたりは小さくても、1日5〜10回やれば積み上がる。
月で見ると数十ドル単位で消える計算で、人間にとって一番どうでもいい「コピーを作る作業」にトークンを払っているという事実が、だんだん気持ち悪くなってきた。
ここを消したかった。
Syncthing を WSL 内に立てて、WSL のプロジェクトフォルダをそのまま同期対象にする。
すると Windows 側にも、Mac 側にも、MacBook 側にも、同じフォルダが自動で揃う。
Claude Code への「コピーしといて」指示はゼロになりました。
WSL↔Windows 間でファイルを動かす方法を並べると
Claude Code + WSL 勢が通る道を表にしておきます。
| 方法 | 特徴 | 問題点 |
|---|---|---|
\\wsl$\Ubuntu\ パス | エクスプローラーから閲覧できる | 毎回手動。他PCには渡せない |
explorer.exe . | WSL内から1コマンドで開ける | 毎回手動。コマンド入力必須 |
/mnt/c/... にコピー | スクリプト化しやすい | ネイティブ比30〜50倍遅い |
| VSCode Remote WSL | 開発そのものは快適 | 他PCへの同期目的には不向き |
| Syncthing(WSL内に常駐) | 自動・常時・他3台にも同期 | .stignoreの設計が必要 |
上4つは「WSL↔Windows の往復」しか面倒を見てくれない。
4台持ちだと根本解決にならないんですね。
私の4台運用構成
いま動かしている構成はこうです。
| 端末 | 役割 | Claude Code | Syncthing |
|---|---|---|---|
| Windows(デスクトップ) | メイン機。記事執筆・画像処理 | WSL経由で使用 | WSL内に常駐 |
| WSL(Windows上のUbuntu) | Claude Code の母艦 | ここで動く | 本体インスタンス |
| Mac(iMac) | サブ作業機 | ネイティブで使用 | ネイティブで常駐 |
| MacBook | 外出・移動用 | ネイティブで使用 | ネイティブで常駐 |
同期対象は「Claude Code で育てているプロジェクトフォルダ群」一式。
記事下書きもコードも設定ファイルも全部ここに入れています。
4台がすべてP2Pでつながっている状態。
WSL と Windows の間は、Windows側に別のSyncthingを立てないのがコツです。
WSL内のSyncthingが、Windowsの共有フォルダ(/mnt/c/...配下)ではなくWSLネイティブのホームディレクトリ(~/)を見る設計にしてあります。
速度とClaude Code公式推奨の両方に効く。
これが一番効いた設計判断。
Windows からそのプロジェクトを触りたければ、Syncthing が Mac と MacBook にも配った同じフォルダを、Windows 側の別のSyncthingフォルダとして同期する形にしています。
WSL とWindows でSyncthing 本体を分けて、ポートも別(私は8385 を使用)にする構成は、Syncthing 公式フォーラムでも複数のスレッドが推奨パターンとして紹介しています(forum.syncthing.net)。
ちなみにWindows版SyncthingでWSL2フォルダ(\\wsl$\Ubuntu\...)を直接指定するのはやめた方がいいです。
公式フォーラムで "Incorrect function" エラーの報告があり、変更監視(inotify相当)も動きません(Syncthing Forum)。
私も最初これで詰まりかけました。
導入前後で何が変わったか
体感で変わった順に並べるとこう。
- Claude Code への「コピーして」指示がゼロに。保存した瞬間にWindows側・Mac側・MacBook側すべてに反映される。
- 「どのPCで作業してたっけ」を考えなくてよくなった。作業は最新版が置いてあるPCで始めればいい。
- 移動中のMacBook作業が現実的になった。帰宅してデスクトップを開いた時点で最新版。同期漏れでパニックになる時間が消えた。
- Google Drive を「アップロード→ダウンロード」する儀式が消えた。私は無料の15GBプランで済ませていたけれど、容量上限で弾かれる瞬間もなくなった。
金額の話をすると、私は乗り換え前から月額サブスクには入っていませんでした。
なのでクラウド代の節約はゼロ円。
でも Claude Code のトークン代は確実に減っています。
これが大きい。
ざっくり試算で、1日5〜10回の「コピーして」指示が1回20〜30セント分のトークンを溶かしていた感触。
体感で月100ドル前後はSyncthingに置き換わって浮いた計算です。
セットアップに使った2時間は数週間でペイした。これは完全に新しい節約軸。
Google Drive / Dropbox / NAS じゃダメなのか
乗り換える前に私が検討した他の選択肢を並べます。
Google Drive / Dropbox(無料プラン): 容量の上限で弾かれる。
プロジェクトの動画やzipを放り込むとすぐ満タン。
しかも「アップロード→ダウンロード」という2段手続きが必要で、WSL内から直接は使いづらい。
バッファローNAS: 初期費用2万円前後で導入済み。
家の中では便利。
でも外出先のMacBookからアクセスする経路を作るのが面倒で、私は結局使わなくなっていた。
OneDrive / iCloud: Windows と Mac で OS の縛りが出る。
4台混在だと片方だけ快適という形になりやすい。
Syncthing はこの全部をまとめて置き換えます。
PCがオンラインになった瞬間に同期が走り、オフラインの間は何もしない。
中央サーバーもない。
これが4台持ちの現実解でした。
他の同期ツールとの比較マトリクス
Resilio Sync と Nextcloud は私の手元環境に入れていないので、公式公開情報ベースで並べます。
| 項目 | Syncthing | Resilio Sync | Nextcloud | Google Drive |
|---|---|---|---|---|
| 料金 | 完全無料 | 基本無料、Proは買い切り | サーバー代自己負担 | 2TB 月1,450円 ※公式サイトで要確認 |
| ソース | OSS(MPLv2) | 専有 | OSS | 専有 |
| iOS公式アプリ | なし | あり | あり | あり |
| 大容量速度 | 標準 | 速い(BitTorrent) | サーバー依存 | 回線依存 |
| 常時アクセス | 両台オンライン必須 | 両台オンライン必須 | サーバーがあれば常時 | 常時 |
| 運用負荷 | 低(設定後放置) | 低 | 高(月10時間以上とも) | ゼロ |
| 他人のサーバー経由 | ファイルは通らない | ファイルは通らない | 自サーバーのみ | Googleを経由 |
出典: Syncthing 公式 / Resilio Sync 公式 / Nextcloud 公式
Resilio Sync は BitTorrent ベースで大容量の転送速度に定評があります。
ただソースコードが非公開。
Nextcloud は中央サーバー型なので外出先MacBookから常時アクセスできるのが強みだけど、サーバー運営のメンテ負荷が重い。
個人事業レベルで「月10時間サーバー見る」のは正直しんどい。
Claude Code × WSL 前提で考えると、中央サーバー不要・料金ゼロ・ネイティブLinuxで動くという3点が揃うのはSyncthingだけ。
私は比較検討の末、ここに落ち着きました。
想定外だったつまずきポイント
ここが記事本体です。先行記事がほとんどないゾーンなので丁寧に書きます。
1. .git フォルダを同期すると本当に壊れる
Syncthingに .git を食わせるとGitリポジトリが破損します。
これはGitHub issue #7215で開発者自身が言及している話です。
Syncthingで
— GitHub Issue #7215.gitフォルダを同期するとリポジトリが破損する。
バージョン管理ディレクトリを自動的に無視するメカニズムはSyncthing側に実装されていない。
理由は .git 内の index.lock やオブジェクト参照が高速に書き換わるため、Syncthingが変更検知→同期中に別の変更を検知→競合、というループに入りやすいから。
対策は同期フォルダのルートに .stignore を置いて .git を除外すること。
私は以下の内容にしています。
// .stignore
**/.git
**/.venv
**/__pycache__
**/node_modules
.DS_Store
Thumbs.db
.vscode
.idea
そして重要なのが、.stignore はデバイス間で同期されないという仕様。
1台でも設定を忘れると、その1台が他3台に .git を流し始めます。
4台すべてに同じ .stignore を配る運用が必須(公式ドキュメント)。
これは罠。
2. Claude Code に丸投げする時のコツ
私は .stignore の設計を Claude Code に頼みました。
体感でいうと、事前知識ゼロで「直して」と投げると1〜3回は「直った」と言いつつ直っていない現象が起きます。
経験則として効いたのはこの2点。
- 「直す前に一度調べてから修正して」と指示する。これだけで成功率が跳ねる。
- 直してもらったら即
CLAUDE.mdに学習事項として記憶させる。同じバグが違う表現で再発するのを防げる。
Syncthing 関連の修正は「4台中どの台の設定を触ったか」の状態管理が必要で、Claude Code が単発で完結させるのは意外と苦手な領域。
ここは人間の監督が必要な部分として割り切りました。
3. 「同期中」表示で止まることが2〜3回あった
運用して数ヶ月、「同期中」のまま数時間動かない瞬間が2〜3回ありました。
実害はなかったけど、Claude Code でも一発では直せませんでした。
公式フォーラムを読むと、これは Index Database Drift という名前がついている既知問題でした。
長期間使っていなかったデバイスを再接続した際に発生しやすい。
— Syncthing Forum
ログに "has mismatching index ID" と表示される場合がある。
Out of Sync Items が表示されているのに実ファイルは揃っている、という矛盾状態になることも。
解決策は簡単な順に:
- 対象フォルダを一度「共有解除」→再共有する(多くのケースで直る)
.sync-conflict-ファイルを探して残すバージョンだけ残し削除- Syncthingを再起動
- フォルダをSyncthingから削除→同じIDで再登録(フレッシュスタート)
私は1番で全部解消しました。
2年先、3年先に再発した時のために手順を残しておくのが吉。
iOSはどうしているか
Syncthing の公式 iOS アプリは存在しません。
Appleのサンドボックス制限が原因とされていて、公式フォーラムでも長年議論されているテーマです(Syncthing Forum: iOS)。
サードパーティで最も普及しているのが Möbius Sync。
2026年3月24日更新のv1.28.0がApp Storeで配信されています(mobiussync.com)。
OSS系なら Sushitrain や Synctrain(TestFlight)もあります。
ただ私はiPhoneをSyncthingに繋いでいません。
用途的にPC間で完結しているし、iOSでSyncthing経由の同期を常駐させるとバッテリーへの影響も読めない。
スマホで見たいファイルは素直にGoogle Driveに放り込んでいます。
全部をSyncthingで一元化する必要はない、というのが4台運用して出た結論です。
プライバシーの仕組みを正確に
「Syncthing はプライバシーが強い」という文言はよく見ますが、厳密に何がどこまでかは押さえておきたいところ。
公式ドキュメントをそのまま引きます。
relay server 経由でもファイルデータは常に暗号化されたまま。
— docs.syncthing.net/users/security.html
relay オペレーターはファイルの内容を閲覧できない。
ただし relay server は接続するデバイスの device ID と IP、2デバイス間のトラフィック量を知ることができる。
整理するとこう。
- discovery server: IPアドレスを教える電話帳。ファイルは通らない
- relay server: P2P直結できない時の中継。ファイルは暗号化されたまま通過。中身は見えない。ただし接続ペアとトラフィック量は把握できる
- relay は誰でも運営できる(公式がコミュニティ運営を前提としている)
Google Drive のように「事業者のサーバーにファイルが置かれる」とは構造が根本的に違います。
ただ「完全匿名」でもない。
ここは正確に理解した上で使いたいところ。
セットアップの全体像(Claude Code と一緒に進める前提)
手順の詳細は各所に既出なので、私は「4台運用でハマらないための全体像」だけ書きます。
STEP1. WSL内に Syncthing をインストール
WSL のUbuntu ターミナルで次を叩きます。
$ sudo apt update
$ sudo apt install syncthing
期待結果は syncthing --version でバージョンが返ること。
詰まりどころは「Windows 側にも Syncthing を入れたくなる」誘惑。
最初はWSL 側1台だけで始めるのが正解です(Windows 側を足すのは後段ステップで)。
STEP2. WSL 起動時に自動常駐させる
~/.bashrc の末尾に次の1行を追記。
pgrep -x syncthing > /dev/null || syncthing --no-browser &
期待結果はWSL を立ち上げ直した直後、ブラウザで http://127.0.0.1:8384 を開くと Syncthing 管理画面が見えること。
詰まりどころは WSL を閉じると Syncthing も止まる点。
WSL のターミナルウィンドウを開きっぱなしにするか、Windows のタスクスケジューラで wsl コマンドを叩く運用にします。
STEP3. Mac / MacBook にもネイティブインストール
Homebrew で brew install syncthing し、brew services start syncthing でログイン時自動起動。
期待結果は同じく http://127.0.0.1:8384 が開けること。
詰まりどころは macOS の「ローカルネットワーク利用許可」ダイアログを見落とすと相手PCを発見できない点。
初回起動で必ず許可します。
STEP4. 4台にデバイスIDを教え合う
各PC のSyncthing 管理画面で「デバイス追加」を開き、相手のID(52文字の英数字)を貼り付ける。
期待結果は相手側に「接続要求」の通知が出ること。
詰まりどころは家庭ルーターのUPnP がオフだとP2P 直結できず、relay server 経由になって速度が落ちる。
ルーター設定でUPnP を有効化するか、Syncthing のポート(デフォルト22000/TCP・UDP)を固定で開けます。
STEP5. .stignore を書いてからフォルダ追加
同期したいフォルダの中に .stignore を置き、**/.git など除外パターンを書く。
その後でSyncthing にフォルダ追加。
期待結果は .git が同期対象から外れていることを管理画面の「Ignore Patterns」で確認できる。
詰まりどころは順番。
フォルダ追加→ .stignore 配置の順だと、.stignore が効く前に .git が同期され始める瞬間があります。
STEP6. 4台全部に同じ .stignore を配る
.stignore はデバイス間で同期されない仕様なので手動。
期待結果は4台すべての管理画面の「Ignore Patterns」が一致すること。
詰まりどころは「1台だけ忘れて、その1台が他3台に .git を流し始める」事故。
私は .stignore 自体を別の同期フォルダに入れて管理する逃げ道で済ませました。
STEP7. 小さいフォルダで動作確認してから本番投入
テキストファイル数個だけのフォルダを先に同期して、4台すべてに正しく届くことを確認。
期待結果は1秒以内に全台に反映されること。
詰まりどころは本番プロジェクトをいきなり同期すると、node_modules の数十万ファイルでindex database が膨らんで初回が数十分止まる現象。
小フォルダ→本番、の順は必ず守ります。
Claude Code に投げるなら、各ステップで「直す前に一度調べて」を付けるだけで成功率が段違いに上がります。
初心者が一番詰まる「フォルダパス指定」の正体
実は私もここで一度詰まりました。
受け入れ時に Syncthing が聞いてくるのはひとつだけ。
「共有されたフォルダを、このPCのどこに保存するか」です。
これが「フォルダパス」と呼ばれるもの。
具体的には C:\Users\ユーザー名\Desktop\myproject や /home/username/myproject のような「場所の住所」のことです。
ここで止まる人はかなり多いはず。「パスってなに?」は素人の最初の壁です。
パターンは2つだけ。
- 空の新規フォルダを作って指定する(推奨。衝突しない)
- 既にある既存フォルダを指定する(中のファイルが相手側と双方向で混ざる。同名ファイルがあるとコンフリクト)
Windows でパスを確認する一番ラクなやり方
エクスプローラーで対象フォルダを開きます。
上部のアドレスバーをクリックすると、フルパスが選択状態で出ます。
あとは Ctrl+C でコピーして、Syncthing の入力欄に貼るだけ。
もっと速いやり方もあります。
フォルダを右クリックして Shift を押しながら「パスのコピー」を選ぶだけです。
Mac でパスを確認する方法
Finder でフォルダを右クリックして Option キーを押すと、メニューが「パス名をコピー」に切り替わります。
もしくは Finder の「表示」→「パスバーを表示」で、ウィンドウ下部に現在のパスを常時表示できます。
WSL でパスを確認する方法
ターミナルで対象フォルダに cd してから pwd を叩くだけ。
$ cd ~/myproject
$ pwd
/home/username/myproject
Windows 側から WSL のファイルを触りたい場合は、\\wsl$\Ubuntu\home\ユーザー名\ という特殊パスでアクセスできます。
一番ラクなのは「新しいフォルダを作る」を選ぶこと
実は Syncthing の GUI にはフォルダ選択ダイアログがあります。
パスを手打ちする必要はありません。
受け入れ画面で「新しいフォルダを作る」を選ぶ。
保存場所を GUI でクリックしていけば、Syncthing が自動でパスを埋めてくれます。
私はいまはこの方法しか使っていません。
結局どんな人に刺さるか
刺さる人:
- Claude Code をWSLで使っていて、WSL→Windowsのコピペ指示に疲れている
- メインPCとサブPC、もしくはデスクトップとノートの2台以上でプロジェクトを行き来している
- 月額サブスクをもう増やしたくない
- 「手元のPC同士で完結する構成」に技術的な興味がある
刺さらない人:
- iPhone中心でPCはサブ、という使い方の人(Syncthing公式iOS非対応の壁が重い)
- 初期セットアップに3時間使う気が起きない層(
.stignoreと4台同期設定の初動は普通に時間かかる) - PCが1台しかない人(Syncthingは2台目以降の同期ツールなので、1台では意味がない)
私は「Claude Code × WSL × 4台」という組み合わせの人には断言する位置にいます。
これは入れた方がいい。
コピペ作業が消えるというベネフィットは、触るまで体感できないタイプの変化でした。
FAQ
Q1. .git を同期しちゃったらどうなる?
リポジトリが破損する可能性があります。
既に同期してしまった場合は、(1) すべてのデバイスで同期を止める → (2) 破損の有無を git fsck で確認 → (3) 必要なら別のPCからクローンし直す、の順で対処。
先に .stignore に **/.git を書いておくのが唯一の予防策です。
Q2. 片方のPCがオフラインの間に編集したら同期はどうなる?
オンラインに戻った瞬間に差分同期が走ります。
両方のPCで別々に編集していた場合はコンフリクトが発生し、負けたファイルが .sync-conflict-<date>-<time>-<modifiedBy>.<ext> という名前でリネームされます(公式)。
マージツールはないので手動対応です。
Q3. Claude Code でSyncthingのトラブルを直せる?
初期セットアップと .stignore 設計は任せて大丈夫。
ただし「同期中で止まる」系の挙動不明問題はClaude Code単独では難しい印象です。
公式フォーラム(forum.syncthing.net)のスレッドURLを渡して一緒に読ませると精度が上がります。
Q4. Windows側とWSL側、両方にSyncthingを立てるべき?
用途次第です。
私はWSL内のプロジェクトをWindowsでも開きたかったので、両方に立てて相互に同期させる構成にしました。
WSL内のSyncthingだけで済ませてWindowsからは \\wsl$\Ubuntu\... で見る運用もアリですが、手動操作が残るのが難点。
Q5. 4台の容量ってどう考えればいい?
Syncthingに容量制限はなく、各PCのローカル容量だけが上限です。
ただ全台に同じフォルダを同期する必要はありません。
Syncthing は「このフォルダはPC1とPC2だけ、別のフォルダはPC1とPC3だけ」という選択的な同期ができます。
私もプロジェクトによって2台だけに絞っているものが混ざっています。
Q6. iOSと連携させたい
公式アプリはありません。
サードパーティなら Möbius Sync(最終更新2026年3月、App Store配信)が最も枯れています。
ただiOSでSyncthingを常駐させるとバッテリー影響が読めないので、私はPC間専用で使い、スマホ用途はGoogle Driveに任せています。
Q7. Syncthing v2.0系にアップデートすべき?
v2.0系でDBバックエンドがLevelDBからSQLiteに変更済みで、初回起動時にマイグレーションが走ります。
v2デバイス間では3本並列接続がデフォルト化。
基本機能はv1.x互換なので、新規導入なら最初からv2系で問題なしです(リリースノート)。
このページに出てきた言葉
- Syncthing
- 手元のPC同士でフォルダを直接同期する無料のオープンソースツール。MPLv2 ライセンス、公式 docs.syncthing.net
- WSL
- Windows Subsystem for Linux。Windows の中で Ubuntu などを動かす仕組み
- OSS
- オープンソースソフトウェア。ソースコードが公開されていて中身を確認・改変できる
- P2P
- Peer-to-Peer。中央サーバーを介さずPC同士が直接データをやり取りする方式
- .stignore
- Syncthing の除外設定ファイル。同期フォルダのルートに置いて「これは同期するな」を書く
- conflict ファイル
- 両方のPCで同じファイルを同時編集した時、負けた方を
.sync-conflict-日付-時刻.拡張子にリネームして残すバックアップ - inotify
- Linux の「ファイルが変わったら教えてくれる仕組み」。Syncthing が即座に同期発動するのに使う
- discovery server
- 「相手のPCがいまどこのIPにいるか」を引くためだけの電話帳サーバー。ファイル本体は通らない
- relay server
- P2P 直結できない時に中継するサーバー。ファイルは暗号化されたまま通過
- index database
- Syncthing が「どのファイルがどのデバイスに何バージョンあるか」を覚えているローカルDB
- NAS
- 家のLAN につなぐ家庭用ファイルサーバー。複数PC から1台のディスクを共有する
- トークン
- AI に渡す文字の単位。文字数が多いほど料金が積み上がる課金単位
参考リンク
- Syncthing 公式サイト
- Syncthing 公式ドキュメント: セキュリティ
- Syncthing 公式ドキュメント: .stignore の使い方
- Syncthing 公式ドキュメント: 同期とコンフリクト
- Syncthing v2.0.16 リリースノート
- GitHub Issue #7215: .gitフォルダ問題
- Syncthing Forum: Windows版SyncthingでWSL2フォルダを使う問題
- Syncthing Forum: iOS 対応について
- Claude Code 公式: セットアップ(WSL推奨)
- Möbius Sync(iOS代替)
- Resilio Sync 公式
- Nextcloud 公式
※この記事の内容は執筆時点のものです。AIは進化が速い分野のため、最新の仕様は公式サイトでご確認ください。