HeyGen Hyperframes は、HTML を書くと MP4 が出てくる無料のオープンソースツールです。
Claude Code に「10秒の商品紹介を作って」と話しかけるだけで、エージェントがコードを書き、ターミナル一行でレンダリングまで通ります。
外注で1本3,000〜30,000円かかっていた SNS 短尺動画やローンチ動画が、ライセンス料ゼロ・追加 SaaS 課金ゼロで手元の PC から出力できます。
発信者にとっての意味は、動画コストの「外注頼み」構造そのものが崩れることです。
ただし分散レンダリングは未完成、SFX ライブラリは組み込み無し、グリーンバック合成の公式記述も無し。
1分超の長尺や After Effects 級の細かい手作業には今のところ向きません。
この記事はClaude Code を触ったことがある個人発信者・コンテンツ販売者向け(HTML を見たことがあれば読めます)。
そもそも HeyGen Hyperframes って何?
2026年4月17日、AIアバター動画 SaaS の HeyGen が「Hyperframes」というツールを GitHub にオープンソースで放流しました。
タグラインは「Write HTML. Render video. Built for agents.」。
HTML を書くと動画が出てくる、エージェント前提のフレームワーク、という宣言です(出典: GitHub heygen-com/hyperframes)。
仕組みはシンプルです。
HTML+CSS にいくつかの data 属性を足したファイルを Claude Code などのエージェントに書かせて、CLI で npx hyperframes render を打つと、ヘッドレス Chrome が1フレームずつ画面をキャプチャし、FFmpeg が MP4 に圧縮します。
React も独自 DSL(独自の構文体系)も無し。
素の HTML が動画ソースです。
Imagine you could make videos like this. Your agent already can — just give it HyperFrames.
(こんな動画が作れたら、と想像してみてほしい。
あなたのエージェントはもうできる——HyperFrames を渡すだけで)出典: 公式ローンチ動画 SCRIPT
この煽り文句、ローンチ動画のナレーションそのままです。
動画自体も Hyperframes で作られていて、ソースが GitHub に丸ごと公開されています。
49.77秒・1920×1080・30fps・17のサブコンポジションで構成された実物が、コードごと手元に取れる状態です(出典: hyperframes-launch-video)。
百聞は一見にしかずで、ローンチ動画の冒頭5秒分のプレビューGIFが公式リポジトリに置いてあります。
これだけで「HTMLが動画になるって、こういうことか」がほぼ伝わります(出典: launch-video docs/preview.gif)。

ライセンスは Apache 2.0。
商用利用も再配布も無制限・無料です。
リリース1週間ほどで GitHub スターは 10,800 を超えました(2026年4月26日時点)。
私はこの熱量を遠目で見ていますが、リリース直後に1万スター超は普通じゃない、というのが第一印象です。
どんな動画が作れるの?
「で、結局どんな動画が作れるの?」という疑問が一番大事です。
公式ガイドと公開済みのローンチ動画ソースから、作例の解像度を上げていきます。
Website-to-Video が想定する6種類の動画タイプと尺
公式の Website-to-Video ガイド(URL を渡すと動画が組み上がるパイプライン)が、6種類のフォーマットと推奨尺を明示しています(出典: 公式 Website-to-Video)。
| 動画タイプ | 推奨尺 | 用途 |
|---|---|---|
| Social ad(SNS広告) | 10〜15秒 | X・Instagram・TikTok の広告枠 |
| Product launch(ローンチ動画) | 20〜30秒 | 新機能発表・サービス公開告知 |
| Product tour(製品ツアー) | 30〜60秒 | 機能を順番に見せるデモ |
| Brand reel(ブランドリール) | 15〜30秒 | ブランドの世界観紹介 |
| Feature announcement(機能告知) | 15〜25秒 | 個別機能のお知らせ |
| Teaser(ティーザー) | 8〜15秒 | 本編の前振り、引き |
SNS で発信していてランディングページを持っている人なら、この6つはどれも他人事じゃないはずです。
私は note と X で発信していますが、note の新記事告知に Teaser、商品 LP(ランディングページ。
サービス紹介の1枚ページ)の上部に Product launch、というセットがそのまま当てはまる感覚があります。
9種類のスタータープロジェクト
白紙から組まなくていいように、9種類のテンプレートが最初から用意されています(出典: 公式 Examples)。
| テンプレ名 | 比率 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| warm-grain | 16:9 | ライフスタイル・ブランディング、グレイン質感 |
| play-mode | 16:9 | SNS 向け、弾性アニメーションの元気な動き |
| swiss-grid | 16:9 | コーポレート、スイス国際タイポグラフィ |
| kinetic-type | 16:9 | プロモ・タイトルカード、動く文字 |
| decision-tree | 16:9 | チュートリアル・解説、分岐フロー |
| product-promo | 16:9 | プロダクトデモ、SVG アセット付き |
| nyt-graph | 16:9 | データストーリー、新聞風グラフ |
| vignelli | 9:16(縦) | 見出し・アナウンス、太字タイポ赤アクセント |
| blank | 任意 | フルカスタム向け、足場のみ |
コマンドは npx hyperframes init my-video --example play-mode のように1行。
X で動画を流したい発信者なら play-mode か vignelli から始めるのが現実的です。
テンプレの実物4本(公式CDN直リンク)
表で説明されてもピンと来ないと思うので、9テンプレのうち代表4本を実物動画で置きます。
再生ボタンを押すと公式CDN(HeyGen配信のCDN)から MP4 が読み込まれます。
残り5本(swiss-grid / decision-tree / product-promo / nyt-graph / blank)は公式 Examples ページで全部見られます。
play-mode(SNS向け弾性アニメ)
warm-grain(ブランディング)
kinetic-type(プロモ・動くタイポ)
vignelli(縦長9:16・見出し)
動画ソースは全て公式CDN(static.heygen.ai/hyperframes-oss/)の直リンクです。
出典: 公式 Examples。
公式ローンチ動画の中身(17シーンのうち代表5つ)
ローンチ動画のソースが完全公開されているので、何が作れるかの「上限」もある程度見えます。
49.77秒の中に17のサブコンポジションが入っていて、それぞれ別の HTML ファイルです(出典: launch-video HANDOFF.md)。
| シーン名 | 尺 | 使用技術 | 内容 |
|---|---|---|---|
| intro.html | 6.95秒 | HTML+GSAP | VOイントロ、カードが散らばるキャンバスの斜めカメラワーク |
| proposition.html | 3.64秒 | HTML+GSAP | 「Open source. HTML in, video out.」のバリュー表示 |
| anatomy.html | 8.54秒 | HTML+GSAP | 「div is a keyframe」教育コンテンツ |
| engine.html | 9.04秒 | HTML+GSAP | AI エージェントのコード生成ショーケース |
| cta.html | 4.54秒 | Canvas+GSAP | ターミナル風「npx hyperframes init」表示 |
1シーン1ファイルで、合計17個。
Three.js のセラミック風3Dオブジェクト、WebGL シェーダーの虹色シャボン玉、Lottie のフラットキャラクター、CSS だけで動く幾何形状。
エージェントが書ける範囲は、想像よりかなり広い。
50以上のビルトインブロック
ゼロから組まなくても、すぐ呼び出せる部品が50以上カタログ化されています(出典: 公式 Catalog)。
発信者に刺さりそうな代表だけ抜き出します。
- SNSオーバーレイ7種: instagram-follow / tiktok-follow / youtube-lower-third / spotify-now-playing / x-post-card / reddit-post-card / macos-notification
- シェーダートランジション14種: flash-through-white / Glitch / Light Leak / Cinematic Zoom / Whip Pan / Ripple Waves / Thermal Distortion / Swirl Vortex など
- CSS トランジション13カテゴリ: 3D / Blur / Cover / Destruction / Dissolve / Distortion / Grid / Light / Mechanical / Push / Radial / Scale / Other
- エフェクト3種: Grain Overlay / Shimmer Sweep / Grid Pixelate Wipe
呼び出しは npx hyperframes add x-post-card のような形。
X のポスト風カードが画面に出てくるカット、これだけで作れます。
人間が出てくる動画はどう作るの?
9種類の公式テンプレも50以上のビルトインブロックも、タイポグラフィとグラフィック中心で人物登場ゼロです。
公式ドキュメント全索引(llms.txt)でも avatar / person / talking head / portrait といった人物系ブロックの登録は0件でした。
つまり Hyperframes 単体で「人間が喋る動画」は生成できません。
仕組みとしては「人物素材は外部から持ち込み、Hyperframes で背景・テロップ・トランジションを合成する」という分業になります。
公式ローンチ動画のシーン6F(0:36–0:38)が、この分業を実例で見せてくれます。
A video frame appears (rounded rectangle, soft shadow) — inside it, a Seedance-generated creator speaking to camera. Warm lighting, natural setting, mid-sentence gesture.
(角丸・ドロップシャドウ付きの動画フレームが現れて、その中で Seedance が生成したクリエイターがカメラに向かって喋る。
暖色光、自然な背景、話の途中で手が動く)
Seedance は別系統のAI動画生成モデルです。
Hyperframes はこの生成済みのクリエイター映像を <video> 要素として読み込み、その上にローワードサード・キャプション・ブランドフレームを HTML+CSS で重ねている、という構造です。
「人間が出てくる動画」を作る現実的な選択肢は4つに整理できます。
| 作り方 | 人物パート | 合成パート | 料金構造 |
|---|---|---|---|
| 自撮り・撮影実写 | カメラで撮影 | Hyperframes(無料) | 機材費のみ |
| 外部AI動画生成(Seedance / Veo / Sora 等) | 外部AI(有料) | Hyperframes(無料) | AI動画生成料金+無料 |
| HeyGen 本体のAIアバター | HeyGen SaaS(月額制) | Hyperframes(無料) | HeyGen 月額+無料 |
| Lottie でフラットキャラ | Lottieファイル(自前 or LottieFiles) | Hyperframes(無料) | Lottie制作費のみ |
HeyGen 公式が Hyperframes の使いどころとして強く押しているのが3行目の「HeyGen アバターと組み合わせる」パターンです。
公式説明はこう書かれています。
You can combine an AI-generated script, a photorealistic HeyGen avatar speaking the script, and HyperFrames rendering the dynamic HTML backgrounds and text overlays behind them, all triggered by a single API call or CLI command.
(AI生成の台本、フォトリアルな HeyGen アバターがその台本を喋る映像、Hyperframes が背景とテキストオーバーレイをレンダする、これを1回の API 呼び出しか CLI コマンドで通せる)
出典: HyperFrames公式
これが HeyGen が Hyperframes を無料で配った戦略の核です。
アバター(喋る人)は HeyGen 本体(有料SaaS)が稼ぎ、周りの装飾は Hyperframes(無料OSS)に任せて両方を回す、という設計図です。
ノーコードで人間動画を作りたいなら HeyGen 本体だけで完結します。
Hyperframes が効くのは「アバター動画ができた後の周りの装飾を量産したい」発信者です。
たとえば毎週違う背景・違うCTAでアバターの上にトッピングを変える、みたいな運用なら、Hyperframes の決定論的レンダリング(同じ入力で同じ結果)がそのまま効きます。
Claude Code に話しながら作るって、実際どんな感じ?
Claude Code(Anthropic の CLI 型コーディングエージェント)と Hyperframes は、スラッシュコマンド経由で繋がります。npx skills add heygen-com/hyperframes で ~/.claude/skills/ 配下にスキルが配備されると、5本のコマンドが使えるようになります(出典: 公式 Prompting ガイド)。
スラッシュコマンド5本の役割
| コマンド | 役割 |
|---|---|
| /hyperframes | コンポジション作成(HTML 構造・タイミング・キャプション・TTS・トランジション) |
| /hyperframes-cli | CLI 操作ガイド(init / lint / preview / render / transcribe / tts) |
| /hyperframes-registry | ブロック・コンポーネントのインストール |
| /website-to-hyperframes | URL を渡して7ステップで動画自動生成 |
| /gsap | GSAP(JavaScript アニメーションライブラリ)の API・タイムライン操作 |
動画をゼロから作るなら /hyperframes、手元の LP を素材に変換するなら /website-to-hyperframes という分担です。
Cold start と Warm start
公式は2種類のプロンプトの出発点を提示しています。
- Cold start(白紙から): 尺・縦横比・ムード・主要要素を指示する。例「Using /hyperframes, create a 10-second product intro with fade-in title」
- Warm start(素材ドリブン): URL・PDF・トランスクリプトを渡してエージェントにリサーチさせる。Cold start より豊かな出力になる、と公式は明記
公式が推しているのは Warm start です。
発信者の文脈で言うと、手元の note 記事 URL や商品 LP を投げて「これを30秒のティーザーにして」と頼む形が現実的です。
モーション語彙→GSAP関数のマッピング
「もっと弾むように」「もっとカチッと」みたいな日本語感覚の語彙が、そのまま動きに変換されるよう公式が定義しています(出典: 同上)。
| 語彙 | 動きの感じ |
|---|---|
| smooth | 自然な減速 |
| snappy | 速くて確定的 |
| bouncy | オーバーシュートして定着 |
| springy | 振動して定着 |
「タイトルは bouncy で、本文は smooth で」というラベル指定だけで、エージェントが対応する GSAP イージング関数を選んで書きます。
動画編集ソフトでイージングカーブをマウスで描いた経験がある人なら、この単語1個で済む省略の重みが分かるはず。
キャプションスタイル5トーン
字幕のトーンも5つから選ぶだけです: Hype / Corporate / Tutorial / Storytelling / Social。
指定すると、フォント・アニメーション・サイズが自動で揃います(出典: 同上)。
X 向けなら Social か Hype、企業案件なら Corporate、というシンプルな振り分け。
公式推奨ワークフロー6ステップ
公式 Prompting ガイドが推している基本フローはこうです(出典: 同上)。
npx hyperframes init my-videoでプロジェクト作成- Claude Code(または Cursor)でプロジェクトを開く
/hyperframes+プロンプトでコンポジション生成npx hyperframes previewでブラウザにライブ表示- 「タイトルを2倍大きく、ダークモードに、フェードアウト追加」みたいな小さな修正プロンプトで反復
npx hyperframes render --output output.mp4で MP4 出力
修正の反復はチャットで進む設計です。
ターミナルでファイルを直接いじる必要はなく、Claude Code に「ここをもう少し速く」と打てば該当の data 属性とスクリプトを書き換えてくれる、という流れ。
GUI はあるの?Hyperframes Studio って何?
「コードでしか触れないのか?」という疑問の答えはノーです。npx hyperframes preview を打つと localhost:3002 に Hyperframes Studio という GUI が立ち上がります(出典: 公式 CLI ドキュメント)。
Studio の機能5つ
- ビジュアルタイムライン: 各クリップが色付きバーで表示。
data-startとdata-durationが位置と幅に対応 - コードエディタ: HTML+GSAP スクリプトを CodeMirror(軽量コードエディタライブラリ)でその場編集
- ライブプレビュー: 編集と同時に画面が更新される
- プロパティビューア: 要素の属性を UI から直接書き換え
- タイムライン操作: ドラッグでタイミング、リサイズで尺、ドロップでレイヤー位置を変える
「HTML が真のソース」という設計原則
これが Hyperframes Studio の一番大事な設計です。
Every supported timeline action updates the same data-* attributes and inline styles that your composition already uses.
(Studio のタイムライン操作は、すべてコンポジションの data-* 属性とインラインスタイルを直接書き換える)
普通の動画編集ソフトは「プロジェクトファイル」がソースで、エクスポートしないと中身が触れません。
Hyperframes は逆。
HTML が原本で、Studio はそれを GUI で見せているだけ。
Studio で動かしたら HTML が書き換わるし、HTML を書き換えたら Studio が更新されます。
つまり、エージェント生成→Studio で確認→気になる箇所だけコードかドラッグで修正、というフローが綺麗に成立します。
私はこの「コードと GUI が同じデータを見ている」設計が一番面白いと感じています。
他の動画ツールとの位置付けの違い
既存の動画ツールとの関係を整理しておきます(出典: GitHub README、Timeline Editing)。
| ツール | 主軸 | Hyperframes との関係 |
|---|---|---|
| After Effects | 細かい手作業のモーションデザイン | 細かい職人作業はあちらの方が向く。Hyperframes は「エージェント生成→少量手修正」のフロー前提 |
| Premiere / Final Cut Pro | 映像編集(カット・繋ぎ・音) | 素材の編集はあちら向き。Hyperframes は素材から作る側 |
| CapCut / Canva / Veed | GUI ノーコード動画 | GUI で手動編集が前提。Hyperframes はコード主体で Studio は補助 |
| Loom | 画面録画 | 録画主体。Hyperframes は素材なしで生成 |
| Remotion | React で動画 | 近い思想。次節で詳しく |
CapCut や Canva を毎日触っている発信者から見ると、Hyperframes は「コード書ける人専用」に映るかもしれません。
ただ、コードを書くのはエージェント側です。
発信者は日本語で指示するだけ、という構造は覚えておく価値があります。
何が作れない・苦手なの?
歯切れよく書きます。
Hyperframes には、現時点で公式が「できない」「やらない」と明示している領域があります。
分散レンダリングは未完
現時点で単一マシンのみ。
複数マシンに処理を分散させる機能は「ロードマップ」と公式が明記しています。
Remotion は AWS Lambda で本番分散レンダリングが既に動いているので、ここは差です(出典: 公式 Hyperframes vs Remotion)。
タイムラインの「高度な編集操作」は意図的に除外
split, slip, slide, ripple, and roll semantics common in advanced timeline editors は意図的に除外
(高度な動画編集ソフトでよく使うスプリット・スリップ・スライド・リップル・ロール操作は意図的に省いている)
クリップを途中で切る・ずらす・連動させる、といった編集ソフト的な操作は思想として外されています。
設計の割り切りです。
汎用モーションクリップの前トリム不可
div や GSAP アニメーションは「途中から開始」ができません。
前トリム操作はメディア(video/audio)クリップだけに出てきます(出典: 同上)。
アニメーションは最初から流れる前提、ということ。
SFX(効果音)ライブラリは組み込み無し
公式に組み込みの効果音ライブラリは存在しません。
実例(ローンチ動画)でも twinkle-glock 等の効果音は <audio> 要素に個別埋め込みする方式でした(出典: launch-video HANDOFF.md)。
素材は自前調達が前提です。
グリーンバック合成(クロマキー)の公式記述なし
緑背景で撮った人物を切り抜いて重ねる、という典型的な合成について、公式ドキュメントに記述がありません。
実写映像を <video> 要素として埋め込む実例はありますが、クロマキーは現状ドキュメント化されていません。
長尺は実例ベースで50〜60秒が上限の感覚
公式に数値の上限明記はないものの、Product tour 推奨が30〜60秒、ローンチ動画の実例が約50秒。
1分を大きく超える長尺の公式作例はありません。
長尺ストーリーテリング動画の用途は今のところ守備範囲外、と読んでおく方が安全です。
4K/60fps は出せるが書き出し時間は伸びる
fps は24/30/60の3択(デフォルト30)、品質プリセットは draft / standard / high。--hdr フラグもありますが、詳細仕様は公開されていません(出典: 公式 Rendering ガイド)。
1フレームずつブラウザでキャプチャする仕組みなので、解像度と fps を上げれば素直に時間が伸びます。
なぜ「HTML が動画になる」発想が注目されるのか?
ここが Hyperframes 公式が一番強く主張している思想です。
Remotion との比較ページに、こう書いてあります。
LLMs writing Remotion produced less creative visual outputs and needed a lot more guardrails compared to those writing HTML directly.
(LLM に Remotion を書かせると、HTML を直接書かせる場合に比べて創造的なビジュアル出力が出にくく、ガードレールも余計に必要だった)
Agents spend tokens learning React framework rules before being creative, while HTML aligns better with training data from 25+ years of accumulated web animation content.
(エージェントはクリエイティブな仕事を始める前に、Reactフレームワークのルールを学ぶためにトークンを消費してしまう。
HTML は25年以上蓄積されたウェブアニメーションの学習データと相性が良い)出典: 同上
言いたいことはシンプルです。
LLM の母語は HTML/CSS/JavaScript。
25年分のウェブが学習データに入っている。
React の規約や TSX のビルド手順は「外側のお作法」で、エージェントはそこにトークンを取られる前にクリエイティブに進める方がいい、という主張です。
個人的にはこの読みは理にかなっていると感じます。
Claude Code に React のプロジェクト構造を覚えさせるたび、最初の数往復は環境整備で消える。
HTML だけなら、いきなり「動くカードを画面の右から左に流して」が通ります。
Remotion とどう違うの?
HTML 動画フレームワークの先行者は Remotion(Reactで動画を書くライブラリ)です。
HeyGen 自身、過去に Remotion を本番で使っていて、影響を受けたことを README で明言しています。
Hyperframes is inspired by Remotion — we used Remotion at HeyGen in production, learned a ton from it, and kept attribution comments in the source for the patterns it pioneered.
(Hyperframes は Remotion から着想を得ている。
HeyGen で本番運用した経験から多くを学び、ソースコードには Remotion が切り拓いたパターンへの謝辞コメントを残している)出典: GitHub README
その上で、技術とライセンスの両面で違いがあります。
| 項目 | Hyperframes | Remotion |
|---|---|---|
| ライセンス | Apache 2.0(無料・商用無制限) | 4人以上のチームは有料、Creators $25/月/席、Automators $0.01/レンダリング(最低$100/月)、Enterprise $500/月〜 |
| 記述言語 | HTML+CSS+JS(素のウェブ) | React(TSX 必須) |
| ビルドステップ | 無し(ブラウザで直接描画) | 有り(バンドラー前提) |
| 分散レンダリング | 未完成(ロードマップ) | 完成(AWS Lambda 対応) |
| エージェント親和性 | HTML が母語、トークン効率が高い | React の規約学習が前提 |
大量レンダリングを安定運用したい SaaS 事業なら Remotion Lambda が現状有利です。
一方、個人発信者が手元の PC で動画を作る用途なら、ライセンス料ゼロで React も要らない Hyperframes の方が摩擦が少ない。
住み分けはハッキリしています。
動画外注の相場とどれくらい違うの?
発信者の懐に直結する話です。
日本市場の動画外注相場を公式相場ページから引きます(出典: クラウドワークス 発注相場、動画編集市場価格)。
| 動画タイプ | 外注相場 | 納期 | Hyperframes で代替できそうか |
|---|---|---|---|
| YouTube 動画編集(テロップ・カット・SE) | 8,000円〜/本 | 5日程度 | Hyperframes は素材編集型ではないので一部代替(タイトル・モーション部分) |
| TikTok・ショート動画 | 3,000円〜/本 | 3日程度 | Social ad(10〜15秒)と Teaser(8〜15秒)が直撃 |
| 企業向け動画制作(既存素材あり) | 120,000円〜/本 | 30日程度 | Product tour・Brand reel が代替候補 |
| モーショングラフィックス | 1分10万〜30万円 | 2〜4週間 | kinetic-type / swiss-grid テンプレが直撃 |
SNS 短尺動画を月に10本回している発信者なら、TikTok・ショート動画3,000円×10本=月3万円、年間36万円が外注枠です。
Hyperframes に置き換えれば、ライセンス料はゼロ、追加 SaaS 課金もゼロ。
Claude Pro $20/月とローカル PC の電気代だけで、近い品質が出せる可能性がある、というのが構造です。
「ゼロになる」とは断言しません。
学習時間、Node.js v22 のセットアップ、FFmpeg の導入、Chrome のバージョン管理、レンダリング待ち時間、これらは全部隠れコストとして残ります。
それでも外注比で限りなくゼロに近づく、という言い方なら歯切れよく言えます。
HeyGen 本体(有料アバター SaaS)と Hyperframes(無料 OSS)の違い
混同しやすいので一度整理します。
HeyGen 本体は AI アバターが喋る動画を作る有料 SaaS で、230以上のアバターと140言語以上に対応しています。
一方 Hyperframes は HTML を MP4 に変換する無料の OSS フレームワークで、アバターは関係ありません(出典: HeyGen Series A 発表、Hyperframes GitHub)。
| 項目 | HeyGen 本体 | Hyperframes |
|---|---|---|
| 形態 | クラウド SaaS | OSS フレームワーク(ローカル実行) |
| 料金 | 有料サブスク | 無料(Apache 2.0) |
| 主な出力 | AIアバターの喋る動画 | HTML から作るモーショングラフィックス・SNS動画 |
| 顧客規模 | 40,000社超、年間売上$100M(2025年) | 2026年4月17日リリース、GitHub 10,800スター超 |
| 誰向け | 営業・マーケ・教育の動画量産業務 | エージェント時代の発信者・開発者・エージェント自身 |
同じ会社が両方を出している意図は、HeyGen の VP of Product Engineering(Pinterest からジョインし、買収した Alisa の Co-founder/CEO 経験者)が公式ブログで言うところの「creative operating system(クリエイティブの OS)」を握ることだと読めます(出典: HeyGen 公式ブログ)。
アバター動画の SaaS で稼ぎつつ、エージェント時代の動画フレームワーク標準を OSS で押さえる、という両輪戦略です。
Claude Code でどう使い始めるの?
「気になるから触ってみる」という人向けに、公式が示している立ち上げ手順を順番に書きます。
実行は自己責任で、PC スペック・ネットワーク環境を確認してから進めてください(出典: GitHub README、公式 Prompting ガイド)。
- 前提を整える: Node.js v22 以上、FFmpeg、ヘッドレス Chrome を手元の PC に入れる。Claude Code が動く環境(macOS / Linux / WSL)を用意
- スキルを Claude Code に追加: ターミナルで
npx skills add heygen-com/hyperframes。~/.claude/skills/にスキルが配備されて、5本のスラッシュコマンドが有効になる - プロジェクトを作る:
npx hyperframes init my-video --example play-mode。play-mode を別のテンプレ名に変えれば9種類から選べる - Claude Code でプロジェクトを開いて指示する:
/hyperframesに続けて「10秒の Teaser、note の最新記事告知、ダークトーン、bouncy なモーション」のように日本語で書く - プレビューと反復:
npx hyperframes previewでブラウザに Studio が立ち上がる。気になる箇所は Claude Code に「タイトルもう少し速く、字幕は Social トーンで」と打って書き換えてもらう - レンダリング:
npx hyperframes render --output output.mp4 --fps 30 --quality high。MP4 が出てきたら完了
引っかかりやすいのは Step1 です。
Node.js のバージョン要件 v22 が地味に厳しいので、node -v で先に確認する方がいい。
FFmpeg と Chrome の問題は npx hyperframes doctor で依存関係を診断できます。
注意点(隠れコスト・公式ガイド外の制約)
触る前に知っておきたい現実的なポイントを5つだけ。
- ローカルレンダリング時間は短くない: 1フレームずつブラウザでキャプチャする方式なので、4K/60fps を選ぶと書き出し時間は素直に伸びます。ノート PC で長尺をやると数十分単位で待つことになり得ます
- プレビューがカクつく原因はコード側: backdrop-filter や drop-shadow、高解像度画像が重なるとプレビューがスタッターします。レンダー品質ではなく CSS のコストの問題、と公式 Troubleshooting に明記(出典: 公式 Troubleshooting)
- Chrome / フォントのバージョン差で出力がずれる: ローカルとプレビューで描画が変わることがあります。
--dockerフラグでコンテナ内レンダリングに統一できます - Claude Pro 料金は別途: Hyperframes 自体は無料ですが、Claude Code を回すなら Anthropic 側の課金が発生します(Claude Opus 4.7 はリリース日が Hyperframes の前日4月16日、入力 $5 / 出力 $25 per 100万トークン。出典: Anthropic 公式)
- 素材は自前で用意: SFX ライブラリ組み込み無し、グリーンバック合成は公式記述無し、フリー素材集も付属しません。BGM・効果音・実写素材は別途調達が必要です
よくある質問
Hyperframes は完全に無料ですか?
フレームワーク自体はライセンス Apache 2.0 で無料、商用利用も再配布も無制限です。
ただし Claude Code を回すなら Anthropic の API/サブスク課金は別途発生します。
手元の PC のスペック・電気代・学習時間も実コストとして残ります。
HTML を書いたことがなくても使えますか?
コードを書くのはエージェント側です。
Claude Code に日本語で「10秒のティーザー、ダークトーン、bouncy なタイトル」と指示すれば HTML をエージェントが書きます。
ただし、出てきた HTML を読んで微修正できる素養があれば反復は速くなります。
動画編集ソフト(CapCut や Premiere)の代わりになりますか?
用途次第です。
SNS 短尺動画・モーショングラフィックス・LP のヒーロー動画なら代替候補。
実写素材のカット編集や細かい色調整、After Effects 級の手作業モーションは現状不向きです。
「split / slip / slide / ripple / roll」は意図的に除外、と公式が明記しています。
1分超の長尺は作れますか?
公式ドキュメントに数値上限の明記はありません。
ただし Product tour 推奨が30〜60秒、ローンチ動画の実例が約50秒。
1分を大きく超える公式作例は現状ありません。
長尺は守備範囲外と読んでおく方が安全です。
Remotion から乗り換えるべきですか?
大量レンダリングを AWS Lambda で安定運用している事業なら現状 Remotion 有利です。
分散レンダリングは Hyperframes ではロードマップ段階。
一方、個人発信者・小規模チーム・エージェント主体のフローなら、ライセンス料ゼロ・React 不要の Hyperframes に分があります。
HeyGen 本体(アバター動画 SaaS)を契約する必要はありますか?
不要です。
Hyperframes は HeyGen 本体とは別の OSS で、アカウントもサブスクも要りません。
HeyGen 本体は AI アバターが喋る動画を作る有料 SaaS、Hyperframes は HTML を MP4 にする無料フレームワーク。
同じ会社が両方を出していますが製品としては別物です。
このページに出てきた言葉
- OSS(オープンソースソフトウェア)
- ソースコードが公開され、誰でも自由に使える・改変できるソフトウェア
- Apache 2.0
- OSS のライセンスの1種。商用利用・再配布・改変が無制限で許される
- Claude Code
- Anthropic が提供するターミナル型のコーディングエージェント。CLI で対話しながらコードを書かせる
- CLI
- コマンドラインインターフェイス。ターミナルに文字を打って操作する仕組み
- HTML
- ウェブページの構造を書くマークアップ言語
- data 属性
- HTML のタグに独自情報を持たせる仕組み(例: data-start="2")
- GSAP
- JavaScript で動きをつけるためのアニメーションライブラリ
- Lottie
- 軽量なベクターアニメーションを再生する仕組み
- FFmpeg
- 動画・音声を変換・圧縮するオープンソースの定番ツール
- ヘッドレス Chrome
- 画面を出さずにバックグラウンドで動く Chrome ブラウザ。動画キャプチャに使われる
- fps
- 1秒あたりに描画するフレーム数。動画の滑らかさの指標
- Remotion
- React で動画を書く先行ライブラリ。Hyperframes が着想を受けた
- LP(ランディングページ)
- サービスや商品を紹介する1枚の縦長ウェブページ
- TTS
- テキスト読み上げ。文字を音声に変換する技術
- 分散レンダリング
- 1本の動画を複数マシンに分けてレンダリングする方式。大量生成で時間短縮できる
参考リンク
- Hyperframes 公式 GitHub リポジトリ
- Hyperframes 公式ドキュメント Introduction
- 公式比較ページ Hyperframes vs Remotion
- 公式 Website-to-Video ガイド
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