Google TimesFM 2.5は、1,000億件以上の実データで学習済みの時系列予測AI。
追加の学習なしで、いきなり売上予測を出せる。
Googleスプレッドシート+Connected Sheets(スプレッドシートからBigQueryのデータに直接つなげる機能)経由で使えるので、プログラミングは不要。
信頼区間付きで「最悪〜最高」の範囲がわかる。
Google Workspaceユーザーは追加費用なし。
個人Googleアカウントでも利用可能。
この記事は売上や在庫を勘で予測している人向け(Excelでデータを並べたことがあれば読めます)。
「来月の売上、どれくらいになりそう?」「在庫、何個くらい仕入れればいい?」
こういう予測って、普通は過去のデータをExcelに並べて、感覚で「たぶんこれくらい」って出しますよね。
それをAIが自動でやってくれるようになりました。
しかもGoogleスプレッドシートから直接使えます。
この記事は、こういう人に向けて書いています。
「売上予測をExcelの勘でやってる」人。
「在庫管理で毎月数字と格闘してる」人。
「AIで予測したいけど、プログラミングは無理」という人。
TimesFM 2.5で何が変わる?「勘」と「AI予測」の違い
今までの予測と、TimesFMを使った予測の違いを表にしました。
| 項目 | 今までの予測(Excel・勘) | TimesFM 2.5の予測 |
|---|---|---|
| 予測の根拠 | 過去の経験と直感 | 1,000億件のデータで学習したAI |
| 予測にかかる時間 | 数時間〜半日 | 数分 |
| 複数パターンの比較 | 手作業で何通りも計算 | 信頼区間付きで自動出力 |
| 地域別・商品別の分解 | それぞれ手動で計算 | 一括で同時予測 |
| 必要なスキル | Excel関数・統計の知識 | スプレッドシートにデータを入れるだけ |
| 料金 | 無料(時間コストは別) | Google Workspace利用者は追加費用なし |
一番の違いは「信頼区間」が出ることです。
勘で予測すると「来月は100万くらいかな」で終わりますよね。
TimesFMは「来月は80万〜120万の間に入る確率が90%」みたいな形で出してくれます。
「最悪でもこのくらい」「最高でこのくらい」がわかるので、仕入れの判断がしやすくなります。
しかも、地域別や商品カテゴリ別に分けた予測も一括で出せます。
「関東の売上」「関西の売上」を別々に予測する手間がゼロになるわけです。
TimesFM 2.5はどんな場面で使える?
「来月の売上、いくらになる?」を数字で答えたい時
飲食店、ECサイト、小売店。
「先月が○万円だったから、来月もそのくらいだろう」って予測していませんか。
TimesFMに過去の月次売上データを渡すと、季節変動やトレンドを自動で読み取って予測を出します。
Google公式の検証では、従来のARIMA(過去の数値から先を推定する古典的な手法)と比べて予測誤差が15〜25%減ったとされています。
「勘」よりも「AIの予測」のほうが当たる可能性が高いなら、試してみる価値はあります。
私は週次の売上予測でこの組み合わせを試したい場面が思い浮かびます。
在庫を「多すぎず少なすぎず」仕入れたい時
在庫管理って、多く仕入れすぎると廃棄になるし、少なすぎると機会損失になる。
このバランスがしんどいんです。
TimesFMは信頼区間付きの予測を出すので、「最悪でもこのくらいは売れる」「最高でこのくらい」がわかります。
「最悪ケースの数量+少し余裕」で仕入れれば、廃棄リスクを減らしつつ欠品も防げます。
感覚ではなく、数字で仕入れ量を決められるようになるのは大きいです。
個人的にはConnected Sheets経由が一番手軽だと思います。
上司に「根拠は?」と聞かれた時に答えたい
予算会議で「来期の見込みは?」って聞かれて、「まあ、前年並みかなと…」って答えた経験、ありませんか。
TimesFMの予測結果を見せれば、「過去36ヶ月のデータをAIに分析させた結果です」と言えます。
グラフも自動で生成されるので、そのままプレゼン資料にも使えます。
「勘です」と「AIの分析結果です」では、説得力が全然違います。
TimesFM 2.5を使うのに必要なものは?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | Google Workspace利用者は追加費用なし。個人Googleアカウントでも利用可能 |
| 必要な環境 | Googleスプレッドシート + BigQuery(Connected Sheets経由) |
| プログラミング | 不要。スプレッドシートのUIで操作するだけ |
| SQL | 不要(Connected Sheets利用時)。BigQuery直接利用ならSQL(データベースに問い合わせる言語)が必要 |
| 日本語対応 | データの中身は言語に依存しない(数値データなので)。UIは英語 |
| 必要なデータ | 時系列の数値データ(日付+数値の組み合わせ) |
| オープンソース版 | Apache 2.0ライセンス(商用も無料で使える緩めのライセンス)。Python環境が必要 |
ポイントは「Connected Sheets」という機能です。
Googleスプレッドシートの中からBigQuery(Googleのデータ分析基盤)に接続して、スプレッドシートのUIだけで予測ができます。
2026年2月16日から、全Google Workspaceユーザーと個人Googleアカウントに提供されています。
BigQueryには無料枠(毎月1TBまでのクエリ処理)があります。
ただし、大量のデータを扱うと課金が発生する可能性があります。
小規模なデータ(月次売上数年分とか)なら、ほぼ無料枠に収まります。
TimesFM 2.5の使い方は?スプレッドシートで予測するステップ
Connected Sheetsを使った方法を説明します。
プログラミングは一切不要です。
ステップ1:予測したいデータを用意する
まず、予測に使う時系列データを準備します。
必要なのは「日付」と「数値」の2列だけ。
たとえば「2023年1月: 売上100万円」「2023年2月: 売上120万円」みたいなデータです。
データが多いほど予測の精度は上がります。
最低でも1年分、できれば2〜3年分あると良いです。
ステップ2:BigQueryにデータを入れる
BigQuery(ビッグクエリ)は、Googleが提供するデータ分析の基盤です。
大量のデータを高速に処理できるサービスで、Google Cloudの一部です。
Google Cloudのアカウントを持っていない場合は、無料トライアル($300分のクレジット付き)から始められます。
データのアップロードは、CSVファイルをBigQueryにドラッグ&ドロップするだけです。
正直、BigQueryの初期設定はちょっと面倒です。
やり方がわからなければ、Claude Codeに「BigQueryにCSVファイルをアップロードする手順を教えて」と聞いてみてください。
ステップ3:Connected Sheetsで接続する
Googleスプレッドシートを開きます。
メニューの「データ」→「データコネクタ」→「BigQueryに接続」を選びます。
プロジェクトとデータセットを選択して、テーブルを選びます。
これでスプレッドシートとBigQueryがつながります。
ステップ4:予測を実行する
Connected Sheetsのプレビュー画面で、「Advanced Analytics」(高度な分析)をクリックします。
Google Workspace Updates公式ブログによれば、「Create a Forecast」(予測を作成)を選ぶと設定画面が開きます。
公式の説明によると、以下の項目を調整できます。
予測期間: どのくらい先まで予測するか(1ヶ月、3ヶ月、1年など)。
信頼区間: 予測の確実さをどのくらいの幅で表示するか。
分割軸: 地域別、商品別など、どの軸で分けて予測するか。
設定が終わったら、実行ボタンを押すだけです。
ステップ5:結果を確認する
Google公式ブログによれば、数分で予測結果が表示されます。
過去のデータと予測値が1つのグラフにまとまって出る仕組みです。
信頼区間も帯状に表示されるので、「最悪〜最高」の範囲がひと目でわかります。
そのままスプレッドシート上で使えるので、別のシートにコピーしたり、グラフを資料に貼ったりできます。
TimesFM 2.5の仕組みは?なぜ学習なしで予測できるのか
コンテキスト長16,384(約45年分の日次データ)
「このAI、うちのデータで学習してないのに、なんで予測できるの?」
これがTimesFMの一番すごいところです。
TimesFMは「ゼロショット予測」ができます。
ゼロショットっていうのは、「初めて見るデータでも、いきなり予測を出せる」ということです。
なぜこれができるかというと、TimesFMは1,000億件以上の実データで事前に学習しているからです。
売上データ、天気データ、株価データ、エネルギー需要データ。
あらゆる種類の「時間の経過で数字が変わるデータ」を大量に学んでいます。
だから「あ、このデータの動き方は、○○と似てるな。
たぶん次はこう動くだろう」という予測ができる。
人間でいうと、料理を何千品も作ったベテランシェフのイメージです。
初めてのレシピでも「たぶんこのくらいの火加減でいけるな」とわかる、あの感覚と同じです。
パラメータ数は200M(2億個)。
前のバージョン(2.0)の500Mから60%小さくなっているのに、精度は上がっています。
コンテキスト長(一度に読めるデータの長さ)は16,384。
つまり、16,384日分(約45年分)の日次データを一度に読んで予測できます。
TimesFM 2.5は他の予測ツールと何が違う?
追加学習: 不要(ゼロショット)
精度: ARIMA比15〜25%改善
信頼区間: ○
プログラミング: 不要
追加学習: 不要
精度: 低い(単純なカーブ)
信頼区間: ×
プログラミング: 不要
追加学習: 必要(数分〜数時間)
精度: 高い(データ次第)
信頼区間: ○
プログラミング: Python必要
| 比較項目 | TimesFM 2.5 | Excelのトレンド線 | Prophet(Meta) |
|---|---|---|---|
| 設計思想 | 学習済みAIが即座に予測 | 統計的な直線・曲線を当てはめる | データで学習してから予測 |
| 追加学習 | 不要(ゼロショット) | 不要 | 必要(数分〜数時間) |
| 精度 | 高い(ARIMA比15〜25%改善) | 低い(単純なカーブ) | 高い(データ次第) |
| 信頼区間 | ○(10〜90パーセンタイル) | × | ○ |
| プログラミング | 不要(Connected Sheets経由) | 不要 | Python必要 |
| 料金 | 基本無料(BigQuery無料枠内) | 無料 | 無料(環境構築が必要) |
TimesFMの最大の特徴は「ゼロショット」、つまり「追加学習なしでいきなり予測できる」ことです。
ProphetやARIMAは、まずデータで学習させる必要があります。
TimesFMはそれが要らない。
データを渡したら、すぐに予測が出る。
これはGoogleが1,000億件のデータで事前学習させているからこそできることです。
ExcelのトレンドラインとTimesFMの違いは、もっとわかりやすいです。
Excelは「過去がこう動いたから、このまま続くだろう」と直線を引くだけ。
TimesFMは「この動きのパターンは、過去に学んだ○○と似ている。
だから次はこう動くだろう」と推測する。
単純な延長線と、パターン認識の違いです。
この技術が広がると何が変わるか。
「需要予測」が、データサイエンティストの仕事から、スプレッドシートのボタン1つになります。
今まで予測を外部に依頼していた中小企業が、自力で予測できるようになる。
「データはあるけど、分析する人がいない」という問題が、ツール側で解決される時代が来ています。
よくある疑問
Q. 無料で使える?
Connected Sheets経由なら、Google Workspaceユーザーは追加費用なしで使えます。
個人のGoogleアカウントでも利用可能です。
ただし、BigQueryの利用にはデータ処理量に応じた課金があります。
毎月1TBまでのクエリは無料。
小規模なデータなら、ほぼ無料枠で収まります。
Google Cloudの無料トライアル($300クレジット付き)もあるので、まずはそこから始めるのが安全です。
Q. どのくらい先まで予測できる?
TimesFM 2.5は最大1,000ステップ先まで予測できます。
日次データなら約2年9ヶ月先、月次データなら約83年先。
ただし、予測は先に行くほど不確実になります。
実用的には、データの頻度の2〜3倍くらいが目安です。
月次データなら半年〜1年先くらいが現実的です。
Q. プログラミングが全くできなくても使える?
Connected Sheets経由なら、プログラミングは完全に不要です。
Googleスプレッドシートの画面上で、ボタンを押すだけです。
ただし、BigQueryにデータをアップロードする部分で少し手間がかかります。
わからなければ、Claude Codeに「BigQueryにこのCSVデータを入れたい」と聞けば、手順を教えてくれます。
Q. 日本語のデータでも使える?
使えます。
TimesFMが扱うのは「日付」と「数値」だけなので、言語は関係ありません。
列名が日本語でも問題なく動きます。
Q. オープンソース版(GitHub)との違いは?
GitHubで公開されているオープンソース版は、Python環境で動かす開発者向けのバージョンです。
Connected Sheets版は、同じTimesFMモデルをGoogleスプレッドシートのUIで使えるようにしたもの。
中身のAIは同じで、使い方の入口が違うだけです。
オープンソース版を使う場合は、GitHubリポジトリ(プロジェクトの保管場所)の最終更新日とIssue(不具合・要望の投稿欄)を確認してからインストールしてください。
インストール前に、Claude Codeにコードを読ませて「セキュリティ的に問題ないか確認して」と頼むのがおすすめです。
TimesFM 2.5の注意点と限界は?
便利ですが、万能ではないです。
「予測」は「当たる」ではない。
AIの予測はあくまで「過去のパターンから推測した結果」です。
コロナのような想定外のイベントは予測できません。
参考値として使って、最終判断は人間がしてください。
データが少なすぎると精度が下がる。
最低でも1年分、できれば2〜3年分のデータが必要です。
データが3ヶ月分しかない状態で1年先を予測しても、あまり信頼できません。
BigQueryの初期設定がちょっと面倒。
Connected Sheetsを使うには、BigQueryにデータをアップロードする必要があります。
Google Cloudのアカウント作成→プロジェクト作成→データアップロードという手順があります。
ここだけは少し手間がかかりますが、Claude Codeに「Google CloudでBigQueryのプロジェクトを作る手順を教えて」と聞けば一歩ずつ教えてくれます。
UIは英語。
Connected Sheetsの予測機能のUIは英語です。
「Advanced Analytics」「Create a Forecast」など、英語のメニューを操作します。
ただし、操作自体はボタンを押すだけなので、英語が苦手でも問題なく使えます。
まとめ
TimesFM 2.5は「売上や在庫の予測を、勘じゃなくてAIでやりたい人」に最適です。
特にGoogleスプレッドシートで数字を管理している人なら、Connected Sheetsとの相性が抜群です。
まずは過去1年分の月次売上データをCSVで用意して、BigQueryにアップロードするところから始めてみてください。
「Create a Forecast」ボタンを1回押してグラフが出てくれば、Excelで手計算していた時間が何だったのかと感じる体験が待っています。
このページに出てきた言葉
- TimesFM 2.5
- Googleが公開した時系列予測AI。1,000億件のデータで事前学習済みで、追加の学習なしに予測を出せる。
- Connected Sheets
- Googleスプレッドシートからデータ分析基盤BigQueryに直接つなぐ機能。SQLを書かずに予測ボタンを押せる。
- BigQuery
- Googleのデータ分析サービス。大量データを高速処理できる。月1TBまでの問い合わせは無料。
- ゼロショット予測
- 初めて見るデータでも、追加学習なしでいきなり予測を出せること。TimesFM 2.5の最大の特徴。
- 信頼区間
- 予測値が「だいたいこの範囲に入る」確率付きの幅。「80万〜120万の範囲に入る確率90%」のような形で出る。
- ARIMA
- 過去の数値の動きから先を推定する古典的な統計手法。Excelやデータ分析でよく使われる。
- Prophet
- Metaが公開した時系列予測ライブラリ。データごとに学習が必要で、Pythonで動かす。
- コンテキスト長
- AIが一度に読み込めるデータの長さ。TimesFM 2.5は16,384で、約45年分の日次データを一気に読める。
参考リンク
GitHub — google-research/timesfm(Apache 2.0ライセンス): https://github.com/google-research/timesfm
Hugging Face — TimesFM 2.5モデル: https://huggingface.co/google/timesfm-2.5-200m-pytorch
Google Cloud — BigQuery ML TimesFMモデル: https://docs.google.com/bigquery/docs/timesfm-model
Google Workspace Updates — Connected Sheets予測機能: https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/02/forecast-data-in-connected-sheets-BigQueryML-TimesFM.html
Google Research — TimesFM論文ブログ: https://research.google/blog/a-decoder-only-foundation-model-for-time-series-forecasting/
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