1つの画面で複数の Claude セッションを同時に走らせて切り替えながら使いたい人向け
個人開発のサブプロジェクトを3〜5本まとめて並走させたい場面、数時間級の調査タスクを <code>claude --bg</code> で投げて自分は別作業に移った後で結果を見たい場面、夜と昼で見るプロジェクトを切り替えたい場面で叩く。黒い画面(コマンドを打ち込む画面)で <code>claude agents</code> を実行すると、その瞬間 agent view が全画面で立ち上がる
1台のパソコンの中で、Claude Code の対話を何本も同時に走らせて、それぞれの進み具合を1画面でまとめて見たい場面のためのサブコマンドです。「agent view」と呼ばれる専用画面を立ち上げる入口で、起動には黒い画面(コマンドを打ち込む画面)で claude agents と叩きます。
同名のスラッシュコマンド /agents とは別物で、こちらは並列で動かしているバックグラウンドの会話を一覧で見るための画面です。事前知識としては「Claude Code を普通に対話で触ったことがある」レベルがあれば十分です。
噛み砕くと「Claude の作業部屋を何個も並べて、廊下から覗ける窓を作る」感覚
普段の Claude Code は1つの黒い画面(コマンドを打ち込む画面)の中に1つの会話、という1対1の関係です。これだと「片方を待っている間、もう片方を進められない」みたいな手詰まりが起きます。
agent view を立ち上げると、その上に「並行している会話の窓」が table 形式で並びます。1行が1つの会話で、状態(働き中/質問待ち/完了 など)と最近の動きが横並びで見える、いわば監視室の壁掛けディスプレイみたいな画面です。
これがあると、3つの個人プロジェクトに Claude を1台ずつ貼り付けて、自分は壁掛けディスプレイをチラ見しながら他の作業に戻れます。
大事な前提:Claude Code v2.1.139 以上じゃないと別画面に飛ぶ
この画面は research preview(試験公開)扱いで、Claude Code 本体が v2.1.139 以上である必要があります。古い版で claude agents を叩くと、agent view ではなく subagent(部下役の小エージェント)の一覧表示にフォールバック(代替動作)してしまうので、「あれ、想定と違う画面が出た」と戸惑います。
もし --permission-mode といった追加の指定を後ろに書き足す形で使いたい場合は v2.1.142 以上が必要で、それ未満だと unknown-option(知らない指定)という赤いエラーが出ます。先に claude update で最新化しておくと、この手のすれ違いはまず起きません。
「料理ブログ・ゲーム開発・在庫管理アプリを1画面で並走」を例に、実際の手順を見る
週末に3本の個人プロジェクトを並行で進める想定でやってみます。料理ブログのレシピ更新、ゲーム開発の当たり判定のバグ修正、副業の在庫管理アプリのログインボタン不調の調査、の3本立てです。
ステップ1: 黒い画面で claude agents を叩いて agent view を開く
普段 Claude Code を起動するときと同じ黒い画面を開きます。そこで次の1行を打ち込みます。
$ claude agents
うまく起動すると、全画面に table が広がります。最初は中身がほぼ空で、下の方に「ここにプロンプトを書いて Enter」と促す入力欄があります。
ステップ2: 1本目をディスパッチ(投げる)
入力欄に「料理ブログのトップページに新作レシピのカードを1個追加して」と書いて Enter を押します。すると table の1行目に「Working」状態のセッションが現れます。働き中、という意味の状態アイコンです。
ステップ3: 2本目・3本目も同じように投げる
続けて入力欄に「ゲーム側の collision detection(当たり判定)のバグを直して」、さらに「在庫管理アプリの login ボタンが反応しない件を調べて」を順に投げます。3行になった table が出来上がります。3つの Claude が同時並行で別々の仕事をしている状態です。
ステップ4: 上下キーで peek(覗き見)する
上下キーで行を選んで Space を押すと、その会話が「今この瞬間、何を喋っているか」を小窓で覗けます。これが peek(ピーク)モードで、向こうを邪魔せずに進捗だけ見られます。
ステップ5: 「Needs input」になった行に attach(接続)して答える
しばらくすると、どれか1つが「Needs input」(質問待ち)の状態になります。Claude が「このファイル消していい?」のような確認をしている状態です。その行で Enter を押すと、自分がその会話に接続(attach)して、普通の対話画面に切り替わります。答えを書いて返したら ← で切断(detach)して agent view に戻ります。
peek を開いたまま Tab を押すと、Claude が提案する返答候補が入力欄に補完されます。そのまま Enter で送ってもいいし、文面を編集してから送ってもいい。agent view 自体を閉じたいときは Esc。閉じても、裏の会話は止まらず動き続けます。
ここで初心者がやりがちな勘違いを1つ。claude agents を叩いたとき、「あれ、subagent の一覧が出てくると思ってたのに違う画面が…」と戸惑うケースがあります。subagent(部下役の小エージェント)の一覧と設定は、対話セッションの中で叩く /agents(スラッシュつき)の方の管轄です。スラッシュなしの claude agents (黒い画面から叩く方)は agent view、つまり並列バックグラウンドの一覧画面の起動。名前は似ていますが完全に別物です。
ステップ6: 全部終わったら状態を見て掃除する
1つが終わると「Completed」の緑色行に、エラーで止まれば「Failed」の赤行になります。完了した行は Ctrl+X を2回連打すると、その会話と関連する作業の隔離部屋(git worktree)ごと削除されます。1回目で stop、2秒以内に2回目で削除という2段階構造です。
つまり claude agents は何をしてくれるのか
- やってくれる: 並走中の Claude Code の会話を1画面の table に一覧表示、状態(働き中/質問待ち/完了/失敗)を色つきで見せる、覗き見・接続・切断・削除・一時停止・再開のキー操作をまとめて提供する
- やってくれない: 仕事の中身を勝手に進めること。これはあくまで「監視室の画面」であって、指示を投げるのは人間か、別の自動化の仕組みの担当。複数会話を1つにマージすること、片方の答えをもう片方に自動で渡すこと
- 意味が薄い場面: 同時に走らせるのが1本しかない、毎回終わるまでその場で見ているスタイルの人、subscription の上限ギリギリで運用していて並列で動かすと quota(使用量の上限)が即枯れる人
状態アイコンは6種類あります。
- Working: 今まさに動いている。アイコンがアニメーション
- Needs input: 質問待ち。黄色
- Idle: 手が空いていて次の指示待ち。薄い表示
- Completed: 完了。緑
- Failed: エラーで終了。赤
- Stopped: 手動で止めた状態。グレー
Working と Idle は「今動いてる?それとも待ってる?」と紛らわしいので、覚えるならアニメーションが回ってる方を Working、止まってる方を Idle、と区別すると速いです。
黒い画面から直接セッションを操作する周辺コマンド
claude --bg や agent view からディスパッチした会話には、短い ID が割り当てられます(例: 7c5dcf5d のような8文字)。この ID を覚えておくと、agent view を開かなくても黒い画面から直接操作できます。スクリプトに組み込むときや、agent view を開く時間も惜しいときに便利です。
$ claude attach 7c5dcf5d # その会話を今の画面で開く
$ claude logs 7c5dcf5d # 最近の出力だけ確認
$ claude stop 7c5dcf5d # その会話を止める
$ claude respawn 7c5dcf5d # 止まった会話を中身を保ったまま再起動
$ claude respawn --all # 止まっている会話を全部まとめて再起動
$ claude rm 7c5dcf5d # 一覧から削除。未保存の変更があれば削除を保留する安全設計
ID は claude --bg "..." を叩いたときの最後の出力行に出るほか、~/.claude/jobs/ 配下のフォルダ名としても残ります。
使いどころ3シナリオ(具体題材で再現)
シナリオ1: 個人開発を3本並行する週末
料理ブログ・ゲーム開発・在庫管理アプリの3本を週末に進めるとき、claude agents を1回起動して入力欄から3本ディスパッチします。あとは別ウィンドウで自分は買い物リストを書いたり、ゲームのドット絵を描いたり、本来の手作業を続けます。10分おきに agent view を覗いて、Needs input の赤バッジがついた行だけ Enter で開いて答える、というスタイルが回ります。これだけで1人なのに3つの作業を並行運転している状態が成立します。
シナリオ2: 数時間かかる調査を投げて自分は別作業に移る
「最近たまに失敗する checkout のテストが、なぜ失敗するか調べて」みたいな数時間級の調査タスクを、claude --bg "investigate the flaky checkout test" の形で1発で投げます。これは agent view を開かずにバックグラウンドの会話を起動する書き方で、投げた瞬間にプロンプトが返ってきます。あとは自分は普段の実装作業に戻り、合間に claude agents で進捗を見るだけ。完了したら緑の Completed 行が並んでいる、という体験です。
シナリオ3: 仕事の置き場と個人の置き場を分けたい
仕事プロジェクトのフォルダ群と、個人プロジェクトのフォルダ群を分けて運用しているとき、agent view が両方ごちゃ混ぜで出ると邪魔です。claude agents --cwd ~/work/blog のように --cwd の後ろに見たい場所を書き足すと、その配下で起動された会話だけが table に出ます。仕事中は仕事側、夜は個人側、と画面の中身を切り替える運用ができます。
初心者が踏みやすい落とし穴
/agentsとclaude agentsは名前が似ているけど全くの別物。前者は対話セッションの中で叩くスラッシュコマンドで、subagent(部下役の小エージェント)の設定一覧を出す画面。後者は黒い画面から叩いて、並列バックグラウンドの会話を見渡す agent view を起動する。最も混同しやすい入口- Claude Code が v2.1.139 未満だと agent view が開かない。古い版だと subagent 一覧の方にフォールバックされる。先に
claude updateで最新化する - 並列で走らせるとその数だけ subscription quota(使用量の上限)が早く減る。10本同時に走らせれば、減る速度もおおむね10倍。上限に達した瞬間、全セッションがまとめて止まる
- ノートパソコンを閉じる/スリープすると Failed 行になる。バックグラウンドの会話は手元のパソコン側の supervisor(裏で見張っているプログラム)の上で動いているので、本体が眠ると道連れで落ちる。復活させたいときは
claude respawn --allで全部まとめて再起動できる - Ctrl+X 2連打は隔離部屋ごと削除する操作。1回目で stop、2秒以内に2回目で list から削除+作業の隔離部屋(git worktree)ごと消える。隔離部屋の中でまだ正式保存していない書き換えがあると、それも一緒に消える。先に変更を本体側に取り込むか、Pull Request にしてから消すのが安全
bypassPermissionsやautoモードは事前承認が必要。これは「人が見ていなくても勝手に承認していい」モードで、危ないので一度は対話モードで手動承認した経験がないとclaude agentsから起動できない--permission-mode--model--effortといった追加指定は v2.1.142 以上で使える。それ未満で書き足すと unknown-option エラーが出る- 組織管理者が無効化していると subagent 一覧の方にフォールバックする。会社で
disableAgentView: trueの設定が降りてきていると、本人がいくら最新版でも agent view は開かない。情シスに確認 - git で管理していないフォルダで並列ディスパッチするとファイル競合が起きる。git 内なら各セッションが
.claude/worktrees/配下の隔離部屋でファイルを書き換えるので互いに干渉しないが、git の外では全セッションが同じ場所に直接書き込む。同じファイルを触らせると上書き合戦になる。先にgit initを済ませるか、触るファイルが重ならない仕事だけを並列にするのが安全
書き方
claude agents [--cwd <見たい場所>] [--permission-mode <モード名>] [--model <モデル名>] [--effort <強度>]
やってみるとこうなる
入力
claude agents
出力例
全画面の table が立ち上がる。Pinned / Needs input / Working / Completed のグループ別に会話の行が並び、各行に状態アイコン(✻ / ✽ / ∙ / ✢)と最近の動き、経過時間が表示される。下部にディスパッチ用の入力欄、? キーで全ショートカット一覧が出る
このページに出てきた言葉
- agent view
- <code>claude agents</code> で開く、並列で走っているバックグラウンドの会話を1画面で見渡す table 画面
- バックグラウンドの会話
- 画面に表示していなくても裏で動き続ける Claude Code の会話。普通の対話は画面を閉じると終わるが、こちらは閉じても続く
- ディスパッチ
- 「投げる」「派遣する」の意味。Claude Code 公式では「バックグラウンドの新しい会話を1本起動して仕事を渡す」操作のこと
- peek
- 「ちょっと覗き見する」モード。会話に正式接続はせず、向こうの邪魔をせずに今の様子だけ見る
- attach / detach
- 1つの会話に入って普通の対話画面のように使うのが attach、agent view に戻るのが detach。切っても会話自体は動き続ける
- git worktree
- プロジェクトの中にもう1つ別の作業部屋を切り出す Git の機能。バックグラウンドの会話はこの隔離部屋でファイルを書き換えるので、他の会話と干渉しない
- supervisor
- バックグラウンドの会話が落ちずに動き続けるよう、裏で見張り役をしているプログラム。手元のパソコンの中で動く
- quota
- subscription(月額契約)で許されている使用量の枠。並列で走らせると、その本数だけ早く減る
- research preview
- 正式機能ではなく試験公開という扱い。公式が「まだ仕様が変わる可能性がある」と明示している段階