Claude Codeを触り始めて、これから /agents やサブエージェントを使う人向け
調べ物の大量の結果やログで本体の会話を埋めたくない時に、その作業を別の担当者へ任せて要約だけ受け取りたい場面で使う。変更せず探すだけなら Explore、計画の下調べなら Plan、探索と修正の両方が要るなら general-purpose を本体が自動で選んでくれる
Claude Codeと長く話していると、調べ物の結果やファイルの中身が会話にどんどん溜まって、肝心の作業がしづらくなることがあります。サブエージェント(仕事を任せる別働のAI担当者)は、そういう「あとで読み返さない大量の情報」を別の場所で処理させて、まとめだけ本体に返してくれる仕組みです。
その中でも、自分で作らなくても最初から用意されている担当者がいます。代表は Explore(探索担当)・Plan(計画担当)・general-purpose(なんでも担当)の3つ。今回はこの「最初から入っている種類」を中心に、どれがどんな時に出てくるのかを見ていきます。
噛み砕くと
新しい職場に、調べ物専門の人・計画づくり専門の人・実作業まで一通りやる人がいる、という状況を想像すると近いです。あなた(本体のClaude)が「この資料がどこにあるか探して」と頼めば調べ物専門の人が動き、「進め方を考えて」と頼めば計画専門の人が動きます。
ポイントは、その人たちが調べ物をしている机の上が散らかっても、あなたの机には散らからないこと。彼らは自分の机で作業して、結果の要約だけ持って戻ってきます。だから本体の会話がスッキリ保てる。ここがサブエージェントの一番のうまみです。
そして「最初から雇われている人」が何人かいて、足りなければ自分で新しい担当者を雇うこともできます。
大事な前提:本体は1人、担当者は「別の机」で動く
最初に押さえておきたいのは、サブエージェントは毎回まっさらな別の机で仕事を始めるという点です。あなたと本体Claudeがそれまで話した内容も、すでに開いたファイルも、呼び出したスキルも、サブエージェントは何も知りません。
本体が「この作業をやって」という委譲メッセージ(仕事の頼み文)を書いて渡し、サブエージェントはそこに書いてあることだけを手がかりに動きます。だから後の落とし穴にもつながりますが、頼む内容に必要な情報は全部書いておく必要があります。
最初から入っている3つの担当者を押さえる
Claude Codeには、状況に合わせて本体が自動で呼び出す担当者が最初から用意されています。公式が名前を挙げているのは Explore・Plan・general-purpose の3つが主役で、ほかに裏方が数人いる、という構成です。全部で何種類、という固定の数え方は公式も明示していません。
Explore(探索担当):読むだけ、速い
コードの中を検索したり、構造を理解したりすることに特化した担当者です。動かすAIは Haiku(速くて軽いモデル)で、できるのは読むことだけ。ファイルを書き換えたり新規作成したりはできません。
本体が「変更はせずに、とにかくコードの中を調べたい」という時にここへ任せます。呼び出す時に、どこまで丁寧に調べるかのレベルを quick(狙い撃ちでサッと)・medium(バランス)・very thorough(網羅的にじっくり)から指定できます。
Plan(計画担当):plan modeの裏で調べる
plan mode(先に計画だけ立てさせるモード)の最中、計画を出す前に必要な下調べをする担当者です。動かすAIは本体と同じものを引き継ぎ、できるのはやはり読むことだけ。
plan modeで本体がコードの中身を理解する必要が出た時、調べ物をこの Plan に任せます。公式はここで一つ大事なことを書いていて、これは無限の入れ子(担当者が担当者を延々と呼ぶ事故)を防ぐためでもある、と説明しています。これは後の落とし穴で詳しく触れます。
general-purpose(なんでも担当):探索も修正も両方やる
探索と実作業の両方が要る、複数ステップの込み入った仕事を任せる担当者です。動かすAIは本体と同じものを引き継ぎ、使える道具に制限はありません。読むのも書くのも一通りこなせます。
「調べてから直す」「結果を解釈してから次に進む」みたいに、探索と修正がセットになった仕事をここへ任せます。3人の中では一番の万能型ですね。
裏方の担当者:直接は呼ばなくていい
3人の主役のほかに、特定の用途のための裏方が用意されています。これらは必要な時に本体が勝手に呼ぶので、こちらから直接指名する場面はほぼありません。
公式が名前を挙げているのは2つ。statusline-setup は、/statusline でステータスライン(画面下の情報表示行)を設定する時に動く担当者で、Sonnet で動きます。claude-code-guide は、Claude Code自体の機能について質問した時に答える担当者で、Haiku で動きます。
「最初から入っている担当者が全部で何人か」を暗記する必要はないです。覚えるべきは主役の3人と、その下に裏方がいる、という構造の方。
「recipe-finder」を例に、実際の流れを見る
レシピ検索サイト recipe-finder のコードをClaude Codeに触ってもらう場面で考えます。今は検索フィルタまわりに、タグでの絞り込み機能を足したい状況だとします。担当者たちが順番に出てくる流れを追っていきます。
ステップ1: /agents で何が使えるか見る
まず /agents を叩くと、使える担当者の一覧を見る画面が開きます。ここに Explore・Plan・general-purpose といった最初から入っている顔ぶれに加え、自分で作った担当者やプラグイン由来のものが並びます。
/agents
最初は「こういう担当者がいるんだな」と眺めるだけで十分です。
ステップ2: 検索フィルタの場所を Explore に探させる
タグ絞り込みを足すには、まず今の検索フィルタがどのファイルで処理されているかを知りたい。ここで本体にこう頼みます。
recipe-finderの検索フィルタの処理がどのファイルにあるか、Exploreで探して
すると本体は Explore に委譲します。Explore は読むだけの担当者なので、ファイルを片っ端から開いて検索フィルタの実装場所を突き止め、その要約だけを本体に返します。何十ファイルぶんの中身は Explore の机に置きっぱなしで、あなたの会話には「ここにありました」という結論だけが返ってくる。これが探索を任せる狙いです。
ステップ3: ここで初心者がやりがちな勘違い
「Exploreにそのまま修正までやらせればいいのでは?」と思うかもしれません。ただ Explore は読むことしかできない担当者なので、修正は頼んでも無理です。書き換えまで任せたいなら、後で出てくる general-purpose の出番になります。役割がきっちり分かれているわけですね。
ステップ4: plan modeに入って計画を立てさせる
場所が分かったので、次はいきなり書き換えず計画を立てさせます。Shift+Tab を押して plan mode に切り替え、こう頼みます。
タグでの絞り込み機能を追加する計画を立てて
plan modeでは、計画を出す前の下調べを Plan が裏で進めます。Plan が必要なファイルを読んで状況を集め、本体がそれを受けて「どのファイルをどう変えるか」の計画を提示してくれます。
ステップ5: general-purpose に実装させる
計画に納得したら、実作業に入ります。
その計画どおり、タグ絞り込み機能を実装して
複数ファイルにまたがる機能追加で、調べながら直す必要があるので、本体はここで general-purpose に委譲します。読むのも書くのもできる担当者なので、関係する複数ファイルを横断して実装まで進めてくれます。
ステップ6: 自分専用の担当者も作れる
同じ種類の仕事を何度も頼むなら、自分専用の担当者を作っておくと楽です。入口は /agents で、案内に沿って進めればファイルが用意されます。中身はこういう短いファイルで、頭の設定部分(frontmatter)に名前と説明を書き、その下に「あなたはこういう担当者です」という指示を書くだけ。
---
name: code-reviewer
description: Reviews code for quality and best practices
tools: Read, Glob, Grep
model: sonnet
---
You are a code reviewer. When invoked, analyze the code and provide specific, actionable feedback on quality, security, and best practices.
必ず書かないといけないのは name と description の2つだけ。残りは省けば本体から引き継ぎます。この description が「どんな時に任せるか」の判断材料になるので、ここを丁寧に書くのがコツです。
つまり Subagent Types は何をしてくれるのか
- やってくれる: 探索(Explore)・計画の下調べ(Plan)・探索と修正の両方(general-purpose)を、本体の会話を散らかさずに別の場所で処理してまとめだけ返す
- やってくれない: Explore と Plan は読むだけなのでファイルの書き換えはしない。担当者が別の担当者を呼ぶこともできない
- 意味が薄い場面: ほんの数行のサッとした修正や、本体と何度もやり取りしながら詰める作業。別の机に渡すぶん毎回ゼロから状況を集め直すので、かえって遅くなる
使いどころ3シナリオ(具体題材で再現)
シナリオ1: 大きなテストを回して結果だけ知りたいとき
家計簿アプリのテスト一式を流すと、通ったぶんも含めてログが何百行も出ます。これを本体で直接やると会話がログで埋まる。そこで「テスト一式を回して、落ちたテストとそのエラーだけ報告して」とサブエージェントに任せれば、大量のログは担当者の机に残り、本体には落ちた数件だけが返ってきます。会話を汚さずに結果が手に入る。
シナリオ2: 触ったばかりのコードの全体像を知りたいとき
OSSをコピーしてきた直後、どこに何があるか分からない状態。ここで Explore に「認証まわり・データ保存まわり・画面まわりが、それぞれどのファイルにあるか探して」と頼むと、読むだけで素早く構造を地図にして返してくれます。Haiku で動くので速くて軽い。最初の地図づくりにちょうどいい担当者です。
シナリオ3: 複数のことを同時並行で調べたいとき
料理ブログのサイトで、検索・タグ・コメント機能を一度に見直したい。「検索・タグ・コメントの3つを、別々の担当者で同時に調べて」と頼むと、3人が並行して各担当を調べ、本体が結果をまとめます。互いに依存しない調べ物ほど効果的です。ただし返ってくる結果が多すぎると本体の机を圧迫するので、数は欲張りすぎない方がいい。
初心者が踏みやすい落とし穴
- サブエージェントはサブエージェントを呼べない。公式も「Subagents cannot spawn other subagents.」と明言しています。担当者が孫担当者を雇って無限に増える、ということは起きない。多段の委譲が要るなら、スキルを使うか、本体から順番に呼ぶ(chain)形で組み立てます。
- 担当者は毎回まっさらな別の机で始まる。会話履歴も既読ファイルも呼んだスキルも引き継ぎません。だから委譲する作業に必要な情報は、頼む時の文章に書いておく必要があります。「さっきのあれ」では伝わりません。
- Explore と Plan だけは CLAUDE.md とプロジェクトのルールを読まない。速さと安さを保つためで、ほかの最初から入っている担当者と自作の担当者は両方読み込みます。「vendor/ は無視して」のようなルールを Explore に効かせたいなら、委譲する時の文章に書き直して渡します。
- description が曖昧だと自動では任されない。本体は頼みごとの内容と各担当者の説明文を照らして委譲先を決めます。確実に走らせたいなら、@(アットマーク)で名指しするか、起動時に --agent で「このセッションはこの担当者で」と指定します。
- 結果は本体の会話に返ってきて机を消費する。大量の結果を返す担当者を並列でたくさん走らせると、節約のつもりが逆に本体の机を食いつぶします。返す量はほどほどに。
- 明示の呼び方は3段階ある。普通に文章で名前を出す(任せるかは本体が判断)、@で名指しする(その1回は必ず走る)、起動時に --agent で指定する(そのセッションずっとその担当者)。確実さが強いほど後ろの方法です。
- ディスクで直接ファイルを編集したら再起動が要る。担当者はセッション開始時に読み込まれるので、ファイルを手で書き換えただけだと反映されません。/agents の画面から作ったり直したりした場合は、その場ですぐ反映されます。
- 古い記事や設定にある Task(...) は今の Agent のこと。バージョン 2.1.63 で Task が Agent に名前を変えました。昔の Task(...) は今も同じ意味として動くので、見かけても焦らなくて大丈夫です。
書き方
/agents(一覧を見る・新しく作る・設定を変える画面を開く)
やってみるとこうなる
入力
recipe-finderの検索フィルタの処理がどのファイルにあるか、Exploreで探して
出力例
本体がExploreに委譲し、Exploreが読むだけでコードを探索。何十ファイルぶんの中身はExplore側に残し、本体には「検索フィルタは src/search/filter.js で処理されています」といった要約だけが返ってくる
このページに出てきた言葉
- サブエージェント
- 本体のClaude Codeとは別に動く、特定の仕事だけを任せる小さなAI担当者。自分専用の作業場所を持ち、終わると結果の要約だけ本体に返す
- Explore
- 最初から入っている探索担当。コードの中を検索したり構造を理解したりするのに特化。<code>Haiku</code>で動き、読むだけで書き換えはしない
- Plan
- 最初から入っている計画担当。plan modeの最中、計画を出す前の下調べを裏で進める。これも読むだけ
- general-purpose
- 最初から入っているなんでも担当。探索と修正の両方が要る、複数ステップの込み入った仕事を任せる。読むのも書くのもできる
- 委譲
- 本体のClaudeが「この仕事はあなたに任せる」とサブエージェントへ作業を引き渡すこと
- コンテキストウィンドウ
- AIが一度に覚えていられる会話やファイルの「机の広さ」。埋まるほど動きが鈍くなったり前半を忘れたりする
- frontmatter
- 自作の担当者ファイルの先頭に <code>---</code> で挟んで書く設定部分。必ず要るのは name と description の2つだけ
- plan mode
- Claude Codeで、いきなり書き換えに入らず先に計画だけ立てさせる読み取り専用のモード。<code>Shift+Tab</code>で切り替える