Claude Codeのthinkingモード(拡張思考)を、設計判断と単純作業で使い分けたい人向け
「設計どっちがいい?」みたいに案A・案Bを比較してから判断してほしい場面では Alt+T で ON にしてから相談する。逆に typo 一括置換みたいな考える要素ゼロの単純作業を頼む直前は Alt+T で OFF にして、不要な thinking トークン課金を止める。1日の中で両方の作業が混じる人ほど打鍵で切り替える価値が出る。
Alt+T は Claude Code で extended thinking を そのセッションだけ ON/OFF する打鍵ショートカットです。設計判断を頼むときは ON、typo の一括置換みたいな単純作業のときは OFF、と現場で切り替えると料金と速度のバランスが取れます。
「ずっと ON にしっぱなしでいいじゃん」と思いがちですが、thinking のトークンは 画面で折りたたまれていても全部課金されるので、考える必要のない作業まで ON だと無駄が積み上がります。だから打鍵1発で切り替えるショートカットが用意されている、というのが Alt+T の存在理由です。
噛み砕くと
会議室のホワイトボードに例えると分かりやすいです。Claude に「設計どっちがいい?」と相談するときは、ホワイトボードに案A・案B・トレードオフを書き出してもらってから結論を喋ってほしい。これが thinking ON。
逆に「この単語、全ファイルで置換しといて」みたいな注文は、ホワイトボードを使われると邪魔だし時間とコストがかかる。手だけ動かしてほしい。これが thinking OFF。
Alt+T はそのホワイトボードを「使う/使わない」の電気スイッチみたいな存在です。打つたびに ON ⇄ OFF が反転します。
大事な前提:Alt+T はその瞬間のセッションだけの切り替え
Alt+T で ON/OFF した結果は、いま開いている Claude Code セッションを閉じたら消えます。次回起動時にどっちで立ち上がるかは、別の場所にある global default で決まります。
global default を変えたいなら /config を叩いて thinking mode の項目をトグルします。この設定は ~/.claude/settings.json の alwaysThinkingEnabled という名前で保存されます。
「Alt+T で OFF にしたのに、次の日 Claude Code を起動したらまた ON になってる」という勘違いはこれが原因です。打鍵ショートカットと global default は別物、と頭に入れておくと混乱しません。
「料理ブログの設計判断」と「typo置換」で実際に切り替えてみる
題材は「料理ブログサイトを Claude Code で運営中。ある日カート機能を後付けで足したくて Claude に設計案を相談する、別の日 typo を全 .md ファイルで一括置換する」というシーンです。同じ週の中で thinking を使い分けるイメージで読んでください。
ステップ1: いまの thinking がどっちで起動してるか確認する
まず global default の現在値を見ます。/config を叩くと設定画面が出てくるので、その中の thinking mode 項目を眺めます。ON になっていれば、Claude Code を起動した瞬間から thinking が動いている状態です。
/config
ここで「自分は普段どっち寄りで使いたいか」を一度決めておくと、Alt+T を毎回叩く回数が減ります。料理ブログ運営みたいに半々の頻度なら ON、ほぼ単純作業なら OFF にしておくのが楽です。
ステップ2: 設計判断シーンでは ON を確認してから相談する
カート機能を後付けする話を Claude に投げる前に、Alt+T で thinking 状態を切り替えます。打鍵すると画面のどこかに「extended thinking enabled」みたいな表示が出ます。OFF だったなら 1 回叩いて ON、すでに ON ならもう一度叩くと OFF に戻るので、状態表示を見て調整します。
ON にしてから次のように相談します。
料理ブログにカート機能を後付けしたい。
既存のレシピページに統合する案と、別ページに切り出す案、
それぞれのメリット・デメリットを設計判断として整理して。
Claude は内部で案A・案B・トレードオフを組み立ててから返事をしてくるので、出てきた結論の根拠もしっかりしてきます。
ステップ3: 思考過程を見たいなら Ctrl+O で展開する
thinking の中身はデフォルトで折りたたまれていて、画面には結論だけが出ます。「どう考えてその案を推してきたのか」を確認したいときは、Ctrl+O を打ちます。verbose mode に切り替わって、灰色イタリックで思考プロセスが表示されます。
展開した時点で初めて読めるわけですが、料金的にはトークンは最初から発生しています。「展開したから課金が始まる」ではなくて、「ON で動かした時点ですでに走っている」のがポイントです。
ステップ4: 別の日、typo 置換のときは OFF にする
翌日、別の作業を頼むタイミング。.md ファイル全部で「Cluade → Claude」みたいな typo を直したい、というだけの依頼です。これに thinking は要りません。Alt+T を打って OFF にします。
全 .md ファイルで「Cluade」を「Claude」に置換して。
OFF にしておけば、Claude は最短ルートで文字列を探して書き換えて終わります。ここで初心者がやりがちな勘違いがあって、「effort を low に下げれば thinking も止まるはず」と思いがちですが、effort と thinking は別軸です。effort は「どれくらい深く考えるか」、Alt+T は「考えるかどうか」。effort を下げただけでは thinking 自体は止まりません。OFF にしたいなら Alt+T を叩く必要があります。
ステップ5: セッションを閉じても global default はそのまま
その日の作業が終わって Claude Code を閉じます。今日 Alt+T で OFF にした状態は消えて、次回起動時は /config で設定した global default に戻ります。global default が ON のままなら、明日また thinking ON で立ち上がります。
「翌日も OFF で立ち上がってほしい」のなら /config から alwaysThinkingEnabled を OFF に保存しておく必要がある、ということです。打鍵ショートカットだけでは永続化されません。
つまり Alt+T は何をしてくれるのか
- やってくれる: いま開いている Claude Code セッションの thinking を即座に ON/OFF できる。設計判断シーンと単純作業シーンを行ったり来たりするときの料金・速度コントロールに直結する
- やってくれない: global default の保存。次回起動時の初期値は
/config経由でしか変えられない。またMAX_THINKING_TOKENS=0が設定されているときは thinking 復活しない。Opus 4.7 の adaptive reasoning は常時動いていて Alt+T では止まらない - 意味が薄い場面: 単純作業しかしないセッションで頻繁にトグルしまくる場面。最初から
/configで OFF にしておけば打鍵自体が要らない。Opus 4.7 を使っていて深く考えてほしくないシーンでは、OFF にしても効きが弱いことがある
使いどころ3シナリオ
シナリオ1: 料理ブログにカート機能を後付けするか、別ページに切り出すかの設計判断を相談するとき
「既存レシピページに統合 vs 別ページ分離」みたいな、案が2〜3個あってトレードオフが絡む相談は thinking の出番です。Alt+T で ON にしてから投げると、Claude が案ごとのメリット・デメリットを内部で整理してから喋ってくれます。OFF のまま投げると「思いついた順に喋るだけ」になりがちで、後で読み返すと判断材料が抜けていることがあります。Ctrl+O で展開すれば、なぜその案を推したかの理屈も読めるので、自分が最終判断する材料が増えます。
シナリオ2: 家計簿アプリで「Cluade」と書いた typo を全 .md ファイルで一括置換したいとき
これは「考える要素ゼロ、文字列を探して置換するだけ」の作業です。Alt+T で OFF にしてから依頼します。OFF にしておけば不要な thinking トークンが発生しないので、料金の無駄が消えます。「ON のままでも結果は同じだから」と放置しがちですが、トークンは折りたたまれていても発生しているので、毎日この手の単純作業を投げる人は積もると無視できない額になります。私だったら単純作業用のセッションは最初から global default OFF にしておきます。
シナリオ3: OSS をパソコンにコピーしてきた直後にプロジェクト全体を読み解いてもらうとき
OSS プロジェクト一式を git clone で自分のパソコンにコピーしてきた直後、「このプロジェクト全体の構造を読んで CLAUDE.md の雛形を作って」みたいな依頼を投げるとします。これはファイルを順に読んで判断を積み上げる作業なので thinking ON 推奨です。OFF だと「ざっと見た印象」で雛形が出てきて、後で書き直す羽目になります。ON にして 1 回しっかり考えさせる方が、結果的に手戻りが減ります。effort を high にして Alt+T も ON にしておくと、より丁寧に整理してきます。
初心者が踏みやすい落とし穴
- v2.1.131 以前の macOS では Option as Meta 設定が必要だった。v2.1.132 で macOS 例外化されて、いまは設定なしで Option+T が効きます。古いバージョンのまま「効かない」と悩んでいるなら、まず Claude Code 本体をアップデートするのが先です
- 設定値
MAX_THINKING_TOKENS=0が効いてると Alt+T で ON にしても thinking が動かない。PC が起動時に覚えている設定として残っていることがあるので、効かないときはecho $MAX_THINKING_TOKENSを打って0が返ってこないか確認します - thinking トークンは画面で折りたたまれていても全部課金される。「展開してないから料金発生してない」は誤解。ON で動かした時点ですでにメーターが回っています
- Opus 4.7 は adaptive reasoning が常時動いているので、Alt+T で OFF にしても「考えるべき場面では内部で考える」余地が残ります。完全に止めたいなら Opus 4.6 や Sonnet 4.6 に切り替えた上で
CLAUDE_CODE_DISABLE_ADAPTIVE_THINKING=1を設定する必要があります - effort と thinking を混同しがち。effort は「考える深さ」を
low/medium/high等で指定する設定で、Alt+T は「考えるかどうか」の ON/OFF。effort を low に下げただけでは thinking 自体は止まりません - Alt+T はそのセッション限り、
/configのalwaysThinkingEnabledは次回起動以降の global default。打鍵で切り替えた結果は永続化されないので、毎回そっちで起動してほしいなら/configで保存する必要があります - Bedrock / Vertex / Foundry の pinned model を使っている場合、
_SUPPORTED_CAPABILITIESにthinkingを入れていないと thinking 機能自体が無効化される。Alt+T を叩いても反応しないので、まずモデル側の対応状況を確認する必要があります - キーの割り当て直しは
~/.claude/keybindings.jsonのchat:thinkingToggleエントリで変更できる。他のアプリと Alt+T が被って効かないなら、ここで別のキーに割り当て直すのが解決策です
書き方
Alt+T(Windows/Linux)/Option+T(macOS)
# 打つたびに ON ⇄ OFF が反転する。打鍵後、画面に現在状態が表示される。
# global default を保存したい場合は /config から alwaysThinkingEnabled を変更する。
やってみるとこうなる
入力
(thinking が OFF の状態で)Alt+T を1回押す
→ 状態表示が ON に切り替わる
→ そのまま設計相談を投げる:
料理ブログにカート機能を後付けしたい。既存ページに統合する案と別ページに切り出す案、それぞれのメリット・デメリットを整理して。
出力例
extended thinking enabled
(Claude が内部で案A・案Bを整理してから返答)
案A: 既存レシピページにカートを統合
メリット: 動線が短い/追加ページ管理が不要
デメリット: ページが重くなる/レシピ閲覧だけの読者にも JS が読み込まれる
案B: カートを別ページに切り出し
メリット: レシピページが軽いまま/カート専用に最適化できる
デメリット: 1クリック増える/状態管理が複雑になる
推奨: 案B(レシピ閲覧と購入の動線が分かれている方が、読者の心理的負担が少ない)
# 思考過程を見たいときは Ctrl+O で展開すると灰色イタリックで表示される。
このページに出てきた言葉
- extended thinking(拡張思考)
- Claude が回答を返す前に内部で「どう答えるか」を考えるモード。画面上は折りたたまれていて見えないが、裏で文章を組み立てている
- セッション
- Claude Code を起動してから終了するまでのひと続きの会話。閉じるとそこまでの一時設定はリセットされる
- global default
- Claude Code を次に起動したときの初期値。<code>/config</code> から保存する。Alt+T が一時切り替えなのに対し、こちらは次回起動時も引き継がれる
- alwaysThinkingEnabled
- <code>~/.claude/settings.json</code> に保存される設定項目。<code>true</code> なら起動時 thinking ON、<code>false</code> なら OFF で立ち上がる
- トークン
- AI が文章を扱う最小単位。だいたい英単語1個や日本語数文字で1トークン。料金はこのトークン数で計算される
- verbose mode
- 「詳細表示モード」のこと。Claude Code では Ctrl+O で thinking の中身を展開して灰色イタリックで表示できる
- effort
- 「どれくらい深く考えるか」を <code>low</code>/<code>medium</code>/<code>high</code>/<code>xhigh</code>/<code>max</code> の段階で指定する設定。<code>/effort</code> で切り替える。thinking の ON/OFF とは別軸
- adaptive reasoning
- 「考えるべき場面では自動で深く考える」モデル側の機能。Opus 4.7 では常時有効で <code>CLAUDE_CODE_DISABLE_ADAPTIVE_THINKING</code> も効かない
- MAX_THINKING_TOKENS
- thinking に使うトークンの上限を決める設定値。<code>0</code> に設定されていると Alt+T で ON にしても thinking が動かない
- Option as Meta
- macOS のターミナルで Option キーを Meta キーとして扱う設定。v2.1.131 以前の Alt+T はこの設定が必要だったが、v2.1.132 以降の macOS では設定なしで効く