Claudeに「プレゼン作って」と丸投げすると退屈なテンプレが返ってくる。
でも「MITの型で設計して」と指示すると、まったく別物が出てくる。
MITで40年磨かれた「How to Speak(話し方)」のフレームワークを、Claudeのプロンプトとして使う方法をまとめた。
差がつくのはAIの性能じゃなくて「何を指示するか」だ。
この記事は仕事や学校でプレゼン資料をAIに作らせたい人向け(Claudeを触ったことがあれば読めます)。
仕事でプレゼンを作る人。
学校で発表がある人。
「AIに頼んでも微妙なんだよな」って人。
そういう人のための記事だ。
「How to Speak(話し方)」はMITで40年以上続いた講義で、提唱者はMITのAI研究所の所長を25年務めた人物だ。
AIの父と呼ばれる研究者の後任にあたる。
YouTube再生回数は1,800万回超え。
ハーバードの認知心理学者がこの講義を「MITの宝の一つ」と呼んだ。
「プレゼン作って」の丸投げと「型で設計して」は何が違う?
同じAI、同じテーマ。指示が違うだけで、出てくるものがこう変わる。
| 「プレゼン作って」丸投げ | MITの型を指示に入れる | |
|---|---|---|
| 冒頭 | 自己紹介→目次→背景 | 「この話を聞けば○○ができます」 |
| 構成 | テンプレ通り | 約束→証拠→貢献の3構造 |
| 記憶に残るか | 情報の羅列 | 5つのSで設計してある |
| スライド | 文字がぎっしり | フォント40pt以上、情報は絞る |
| 締め | 「ありがとうございました」 | 貢献をまとめた最終スライド |
冒頭の差が一番大きい。
ふつうのプレゼンは「自己紹介→目次→背景」で始まる。
MITの型は違う。
最初の1分で「約束」をする。
「この話を聞き終えたら、聴き手は○○ができるようになります」。
これだけ。
聞いてる人は「え、それ知りたい」となる。スマホを置く。
ジョークで始めるな、お礼で始めるなとも提唱されている。
聴衆がまだ話し手に慣れてない段階でジョーク飛ばしても滑るだけだからって。
この「最初の1分の設計」は、AIに「プレゼン作って」と投げたら絶対出てこない。
型を知ってるかどうかで、指示の質が変わるわけだ。
Claude × MITプレゼン術はどんな場面で使える?
上司への企画提案で「何が言いたいの?」と言わせない
「ビジョン→証拠→貢献」の型が使える。
最初にビジョンを1文で示す。
次に、それが正しい証拠を3つ出す。
最後に「私の貢献」を示す。
Claudeにこう頼む。
「この企画書のビジョンを1文で、証拠を3つ、貢献を1文で書いて」。
それだけで骨格ができる。
漠然とした提案が、一気に構造化される。
社内勉強会で「分かりやすかった」と言わせたい
5つのSが使える。
特にSlogan(スローガン)。
「結局これは何なの?」を一言にまとめる作業だ。
私自身でやると意外とむずかしい。
Claudeに「このテーマを10文字以内のスローガンにして、5案出して」と頼む。
キャッチコピーっぽいフレーズが出てくる。
そのまま使えなくても、方向性が見える。
Surprise(サプライズ)の提案もいい。
「このテーマで聴衆が驚く意外な事実は?」とClaudeに聞く。
私では思いつかなかった切り口が出てくる。
学校の発表で「ふつう」から一歩抜け出す
エンパワーメント・プロミスを入れるだけで印象が変わる。
「今日は○○について発表します」→ ふつう。
「この発表を聞くと、○○が○○だと気づきます」→ 聞きたくなる。
この違い、Claudeに「このテーマでエンパワーメント・プロミスを3案書いて」で出せる。
そこから一番しっくりくるものを選ぶだけ。
5分でプレゼンの格が上がる。
Claude × MITプレゼン術に必要なものは?
必要なものは2つだけ。
1. Claude
無料プランでも使える。
Proプラン(月20ドル)ならProjects機能(チャット履歴と指示を1つのプロジェクトに保存できる機能)がある。
6つの型をProjectに保存しておけば、毎回呼び出せて便利だ。
日本語で問題なく使える。
プロンプトを日本語で入力すれば、日本語で返してくれる。
2. プレゼンのテーマと聴衆のメモ
何について話すか。
誰に向けて話すか。
持ち時間は何分か。
この3つをメモしておくだけでいい。
スライドのデザインツールは別途必要だけど、構成とテキストはClaudeで完結する。
デザインはCanvaやGamma(AIでスライドを自動生成するツール)が得意な領域だ。
Claudeで構成を固めて、デザインは専用ツールに任せる。
この分業がいまのところベストだと思う。
Claude × MITプレゼン術の使い方は?(5ステップ)
ステップ1: テーマと聴衆をClaudeに伝える
まず、Claudeにこう伝える。
「プレゼンを作りたい。
テーマは○○。
聴衆は○○(上司/クライアント/同級生)。
持ち時間は○分」
これだけでClaudeが質問を返してくれる。
「聴衆はこのテーマについてどのくらい知ってますか?」「ゴールは何ですか?承認?共有?提案?」。
ここで整理されるだけで、頭がクリアになる。
期待結果: Claudeが3〜5個の質問を返してくる。
詰まりどころ: 「聴衆」を曖昧にすると質問が浅くなる。
「30代男性の上司2人」「IT知識ゼロのクライアント」のように具体的に書く。
ステップ2: エンパワーメント・プロミスで冒頭を決める
MITの型で一番の核。プレゼンは「約束」から始める。
Claudeにこう頼む。
「MITの『How to Speak』のエンパワーメント・プロミス(聴き手が得られるものを冒頭で約束する手法)で、冒頭の"約束"を3案書いて。
"この話を聞けば○○ができるようになります"の形で」
3つ出てきたら、一番しっくりくるものを選ぶ。これがプレゼン全体の軸になる。
ここで大事なのは「テンプレ的な冒頭を使わないこと」だ。
「はじめに」「本日の目次」「自己紹介」。
全部いらない。
約束から入る。
それだけで聞く側の姿勢が変わる。
期待結果: 「この話を聞けば、来週から会議で○○できます」のような具体的な約束が3つ並ぶ。
詰まりどころ: 抽象的な約束(「本質を理解できます」等)が出てきたら、「もっと具体的な行動レベルで」と追加指示する。
ステップ3: 5つのSで記憶に残る要素を設計する
「5つのS」はプレゼンの内容を聴衆の記憶に残すためのフレームワークだ。
Symbol(シンボル): アイデアを1つの絵や図に凝縮する。
Slogan(スローガン): 一言で言える短いフレーズにする。
Surprise(サプライズ): 「え、そうなの?」と思わせる事実を入れる。
Salient(目立つアイデア): 一番印象に残る1点に絞る。
Story(ストーリー): 個人的だけど普遍的な物語で包む。
頭文字が全部S。覚えやすい。
Claudeにこう頼む。
「このプレゼンの内容を、5つのS(Symbol、Slogan、Surprise、Salient、Story)で設計して。
それぞれ具体的に提案して」
Storyだけは私自身の体験を入れる必要がある。
でも「こういう体験をしたんだけど、プレゼン用にまとめて」とClaudeに渡せば構成は整えてくれる。
個人的に一番おもしろいのはSurprise。
Claudeに「このテーマで聴衆が驚く意外な事実は?」と聞くと、私では出てこない切り口が返ってくる。
これだけで聞き手の「おっ」が1回増える。
期待結果: 5つのSそれぞれに具体案が出る(例: Slogan案3つ、Surprise案3つ等)。
詰まりどころ: SymbolとStoryは抽象的になりがち。
「Symbolは1枚のスライドに収まる図のアイデアで」「Storyは300字以内で」と制約を足すと具体度が上がる。
ステップ4: 構成を組み立てる
ステップ2と3の結果を使って、全体構成を作る。
Claudeにこう頼む。
「この"約束"と"5つのS"を使って、○分のプレゼン構成を作って。
"はじめに/背景/まとめ"のテンプレ構成は使わないで。
MITの『How to Speak』の手法に従って」
「テンプレ使うな」と明示的に言うのがポイント。
言わないとClaudeはデフォルトのテンプレに戻ろうとする。
AIにも「型を指定する」ことが大事だ。
提案に使うプレゼンなら「ビジョン→証拠→貢献」の構成を指定するといい。
最初にビジョンを示す。
それが正しい証拠を具体的に見せる。
最後に「私がどう貢献できるか」で締める。
就活の面接やビジネス提案にそのまま使える構造だ。
期待結果: スライド枚数とそれぞれの内容が時間配分付きで出てくる(例: 「10分構成: 約束1分→証拠4分×3点→貢献2分」)。
詰まりどころ: 持ち時間に対してスライド枚数が多すぎる場合がある。
「1スライドあたり1分」のルールで再調整させる。
ステップ5: スライド犯罪チェックで仕上げる
スライドのテキストができたら、最後の仕上げ。
MITの講義では、ダメなスライドの特徴を「犯罪」と呼んでいる。
Claudeにスライドの内容を貼り付けて、こう頼む。
「以下のスライドをMITの『How to Speak』のスライド犯罪チェック(ダメなスライドの特徴チェックリスト)で確認して。
該当するものがあれば指摘して修正案を出して」
チェックされる項目はこう。
スライドが多すぎないか。
文字が多すぎないか。
フォントが小さすぎないか(40pt以上が目安)。
書いてあることをそのまま読んでないか。
アニメーションが多すぎないか。
グラフが複雑すぎないか。
私では気づかない「やっちゃってるポイント」が見える。
そして最後、締め方。
MITの型のルール: 「Thank you」で終わるな。
最後のスライドに「発表者自身の貢献」をまとめたものを出す。
Q&Aの間もそのスライドを表示し続ける。
聴衆が最後に目にするのが「ご清聴ありがとうございました」じゃなくて「この発表の要点」になる。
日本のプレゼンだとほぼ全員「ご清聴ありがとうございました」で終わる。
もったいない。
最後の印象が「お礼」で上書きされてしまう。
期待結果: 各スライドに「OK」または「修正必要: 文字数オーバー、フォント小さすぎ等」のラベルが付く。
詰まりどころ: 修正案が「もっと簡潔に」のような抽象指示で返ってくる場合は「具体的に書き直して」と再指示する。
なぜClaudeに「型」を指示するだけでプレゼンが変わるのか?
講義ではこう語られている。
「人生の成功は、話す力・書く力・アイデアの質で決まる。
この順番で」。
アイデアの質より、話す力が先。
いい内容でも伝え方がダメなら伝わらない。
逆に、伝え方の「型」を持ってるだけで、ふつうの内容が説得力を持つ。
AIに丸投げすると「情報の整理」が返ってくる。
でも型を指示に入れると「人の心を動かす構成」が返ってくる。
同じAIなのに出力が変わる理由は、指示に構造が入ったからだ。
今まで「型」を学ぶには、本を読むかうまい人を観察するしかなかった。
でもAIがある今、「この型に従って設計して」と言えばいい。
40年間MITで磨かれたフレームワークが、プロンプト1つで使える時代。
プレゼンの才能がある人だけが勝つ時代じゃなくなってきている。
Claude × MITプレゼン術のよくある疑問は?
Q. 英語のフレームワークだけど日本語のプレゼンに使える?
使える。
エンパワーメント・プロミスも5つのSも、言語に依存しない構造の話だ。
むしろ日本のプレゼンは「はじめに/背景/まとめ」の型に縛られがちなので、「約束から始める」を入れるだけで差がつく。
Q. 6つの型を毎回全部使う必要がある?
ない。
使い分けの目安はこう。
5分以下の短い発表 → エンパワーメント・プロミスだけで十分。
10〜15分の発表 → プロミス + 5つのS + クロージング。
30分以上の本格プレゼン → 全部使う価値がある。
Q. スライドのデザインまでClaudeにやってもらえる?
構成とテキストはClaudeで完結する。
デザイン自体は、CanvaやGammaの方が得意だ。
Claudeで構成を固めて、デザインは別ツールで仕上げる。
この分業が今のところベストだと思う。
Q. ChatGPTやGeminiでも同じことできる?
フレームワーク自体はどのAIでも使える。
ただ、Claudeには「長い指示を忠実に守る」という設計上の強みがある。
6つの型を全部渡しても、最後まで型に従って出力してくれる。
特にProjects機能で型をあらかじめ保存しておけば、毎回指示し直す必要がない。
もちろん「使い慣れたAI + このフレームワーク」の組み合わせでも全然OK。
Claude × MITプレゼン術の注意点と限界は?
「How to Speak」の教えは「対面プレゼン」が前提だ。
「レーザーポインターに頼るな」「黒板を使え」みたいなルールは、Zoomプレゼンにはそのまま当てはまらない。
そこはClaudeに「オンラインプレゼンの場合どうアレンジする?」と聞けば対応してくれる。
あと、Claudeが出す構成案はあくまで「たたき台」だ。
そのまま使うんじゃなくて、私の言葉で調整する工程が必要。
特にStoryは私の体験がないと嘘くさくなる。
Claudeに作ってもらうのは骨格で、肉付けは私でやる。
元の講義は約1時間。
MIT OpenCourseWareで無料で観られる(英語)。
英語が苦手でも、Claudeに「この講義の内容を日本語で要約して」と頼めば理解できる。
時間がある人はぜひ一度観てみてほしい。
Claude × MITプレゼン術を始めるなら何からやればいい?
MITで40年磨かれた「プレゼンの型」が、Claudeのプロンプトで使える。
一番手軽なのはエンパワーメント・プロミスだ。
「この話を聞けば○○ができるようになります」を冒頭に置くだけ。
次にプレゼンを作る時、「作って」の前に「エンパワーメント・プロミスを3案出して」と試してみてください。
聞く人の反応が変わるはず。
1回やったら、もう「はじめに/背景/まとめ」には戻れなくなると思う。
このページに出てきた言葉
- How to Speak
- MITで40年以上続いたプレゼン講義。YouTubeで無料公開されている
- エンパワーメント・プロミス
- 冒頭で「この話を聞けば○○ができるようになる」と聴き手の得を約束する手法
- 5つのS
- 記憶に残るプレゼンの設計要素5つ。Symbol(図)/Slogan(一言)/Surprise(意外な事実)/Salient(一番の主張)/Story(物語)
- ビジョン→証拠→貢献
- 提案プレゼンの3部構成。何を実現するか→根拠→発表者の役割の順
- スライド犯罪
- ダメなスライドの典型パターン(文字過多/小さなフォント/読み上げ等)
- Projects機能
- Claudeのプロプラン機能。指示やファイルを1つのプロジェクトに保存して使い回せる
- Gamma
- AIで自動的にスライドを生成するデザインツール
参考リンク
- MIT OpenCourseWare「How to Speak」: https://ocw.mit.edu/courses/res-tll-005-how-to-speak-january-iap-2018/
※この記事の内容は執筆時点のものです。AIは進化が速い分野のため、最新の仕様は公式サイトでご確認ください。