Claude Codeで音声入力を試したい人向け
料理レシピサイトの構成案など長文プロンプトを声で一気に流し込みたい場面、両手を別の作業(ノート・別画面)に使いつつ Claude に質問を投げたい場面で、入力欄が空の状態で Space を押し続けて話し、離してテキストを確定する。Claude.ai アカウントでサインインしていて、手元のパソコンにマイクが繋がっている時だけ動く。
Hold Space は、Claude Code でプロンプト入力欄に向かって Space キーを押し続けている間だけ録音し、離すと自動で文字起こしされたテキストが入る音声入力のキー操作です。「キーボードに飛びつかなくても、声で長い指示を投げ込める」状態を作るための仕組みで、トランシーバーのプッシュトークボタンを押している感覚に近い。
同じキーで動作する「タップ・モード」もあり、こちらは Space を1回押して話して、もう1回押して止めるトグル方式。Hold Space は押している間だけ録音、Tap は2回押す方式、と覚えると整理がつきます。
噛み砕くと
家のインターホン越しに宅配の人と話している時、ボタンを押している間だけ自分の声が向こうに届く、あの感覚と同じです。Space を押し続けている間が「録音中」、指を離した瞬間に「ここまでの音声を文字に起こして入力欄に貼り付ける」が走る。
普段ならキーボードで打つ長文プロンプトを、声でしゃべって流し込めるのが嬉しいところ。たとえば「料理レシピをまとめるサイトを作りたいんだけど、トップページにカテゴリ別の入り口を6個並べて、各レシピは材料・手順・所要時間の3ブロックで表示してほしい」みたいな長い指示を、キーを押しっぱなしのまま一気にしゃべれば文字になります。
そういう道具です。
大事な前提:Claude.ai アカウントでログインしていないと動かない
このキー操作は Claude Code の中だけで完結しません。録音した音声はいったん Anthropic のサーバーに送られて文字起こしされ、結果だけ手元に戻ってくる、という流れになっています。ローカルのパソコン内では処理されない。
そのため、Claude Code を Claude.ai アカウントで認証していないと音声入力そのものが起動しません。API キーを直接設定して動かしている人、Amazon Bedrock 経由・Google Vertex AI 経由・Microsoft Foundry 経由で動かしている人は、このキー操作を使えない。エラーには「Voice mode requires a Claude.ai account」と出ます。/login で Claude.ai アカウントに切り替えれば解決します。
もうひとつ、手元のパソコンにマイクが繋がっていることも前提。SSH 接続先のサーバーや、Claude Code on the web みたいな遠隔環境では使えません。マイクは手元の機械にしかないからです。
WSL 経由で Windows から使う人は、WSLg という音声ブリッジが必要で、Microsoft Store 版の WSL2(Windows 10 / 11 対応)には標準で入っています。WSL1 だと動きません。
「料理レシピをまとめるサイト」を例に、実際の手順を見る
長いプロンプトを声で投げる場面を、料理レシピサイトを作らせる流れで再現します。Claude Code は最新版(v2.1.69 以上)にしてある前提で進めます。バージョンは claude --version で確認できます。
ステップ1: 音声入力を有効化する
Claude Code を起動して、プロンプト入力欄で /voice と打って Enter を押します。これが初回なら、Claude Code がマイクのチェックを走らせます。macOS だと、ここで初めてシステムからマイク利用許可ダイアログが出ます。許可してください。
> /voice
Voice mode enabled (hold). Hold Space to record. Dictation language: en (/config to change).
「Voice mode enabled (hold)」と出れば成功です。「hold」と書いてある通り、初期値は Hold Space モード。これで Space を押し続けると録音が始まる状態になりました。
ステップ2: Space を押しっぱなしで話す
入力欄が空っぽの状態で、Space キーを押して、押したまま指を離さずにしゃべります。最初の一瞬は「キーが連打されているか」を Claude Code が見極める時間(ウォームアップ)があるので、フッターに「keep holding…」と表示されます。0.数秒すると下に音声波形が出てきて、これが「いま録音中」のサイン。
このまま、声で長いプロンプトを話します。
> (Space を押しっぱなしで)
料理レシピをまとめるサイトを作りたい。
トップページにカテゴリを6個、和食・洋食・中華・お菓子・パン・作り置きで並べてほしい。
各レシピのページは、材料・手順・所要時間の3ブロックで表示して。
スマホで見るのがメインだから、レスポンシブで頼む。
しゃべっている間、入力欄には認識途中のテキストが薄字で順に出てきます。完璧じゃないけど、それっぽい文字が並んでいくのが見えるはず。
ステップ3: 指を離して文字起こしを確定する
話し終わったら Space から指を離します。すると薄字だったテキストが確定して、普通の入力テキストに変わります。カーソルは挿入された文章の末尾に残るので、ここから打ち足すこともそのまま Enter で送信することもできます。
ステップ4: ここで初心者がやりがちな勘違い
「Space を1回ポンと押した瞬間に録音が始まるはず」と思い込んで、すぐ離してしまう人がいます。これは違います。Hold Space の検出は「キーが連打されている=押しっぱなし」という挙動を見ているので、1回タップだとただの空白文字が入るだけ。これは仕様で、文章の途中に空白を入れたい時のために残されています。
1回押しで録音を始めたいなら、後で出てくる Tap モードに切り替えるのが正解です。
ステップ5: Claude が認識した内容を確認して送信
入力欄に整った文字列が入っているはずです。typo(打ち間違い)があれば手で直して、Enter を押すと Claude に送られます。あとは Claude がレシピサイトの構造を提案してくれる流れに入る。
もし「指を離した瞬間に自動で送信してほしい」なら、設定で "autoSubmit": true を入れます。3単語以上の文字起こしが取れた時だけ自動送信される仕様なので、咳払い1個で勝手に送られる事故は起きません。
ステップ6: 日本語で話したい時
初期設定では英語認識になっています。日本語でしゃべりたいなら、/config から言語設定を変えます。
{
"language": "japanese"
}
これを入れてから /voice を入れ直せば、日本語認識に切り替わる。サポートされているのは20言語、日本語・韓国語・英語・ドイツ語・フランス語などの主要どころは入っていますが、中国語は含まれていません。詳細は公式の voice-dictation ドキュメントを確認してください。
つまり Hold Space は何をしてくれるのか
- やってくれる: Space を押している間の声を文字に起こして、Claude Code の入力欄にそのまま貼ってくれる。長文プロンプトをタイピングせず流し込める
- やってくれる: 音声を流している間ずっとリアルタイムで認識中テキストを薄字表示する。話している途中で「ちゃんと拾えているか」が分かる
- やってくれない: Claude.ai 認証以外の経路 = API キー直・Bedrock・Vertex AI・Foundry では音声入力そのものが起動しない
- やってくれない: SSH 接続先や Claude Code on the web では使えない。マイクが手元にないと無理
- 意味が薄い場面: 周りがうるさい場所、声を出せない場所、3単語以下で済む短い指示
使いどころ3シナリオ(具体題材で再現)
シナリオ1: 料理ブログの構造設計を一気にしゃべりたいとき
料理レシピをまとめるサイトを始める初日。トップページの構成・カテゴリ分け・レシピページのテンプレート・スマホ表示の優先度、これら全部をキーボードで打つと5分以上かかります。Hold Space なら Space を押しっぱなしで2分しゃべるだけ。話している間に思考も整理されて、口で言ったままの自然な順序で要件が並びます。文字に直すと300〜500字くらいの分量を、片手間で流し込める。
シナリオ2: 既存レシピサイトの「ここを直して」を声で伝えたいとき
料理サイトを作ってもらった後、レビューしながら修正指示を出す段階。「トップページの和食カテゴリのサムネがちょっと寒色寄りで美味しそうに見えない、もう少し暖色のものに差し替えて」みたいな細かい指示は、声でしゃべる方が早い。キーで打つと「美味しそうに見えない」のところで漢字変換が止まってリズムが切れます。Hold Space なら言いたいことを一息で流し込めます。
シナリオ3: 仕様の質問を投げて手は別作業に使いたいとき
料理サイトの裏側で、レシピ検索の絞り込みロジックを Claude と相談している場面。「材料に鶏肉を含むレシピを、所要時間30分以内かつ調味料3つ以内で絞り込む条件式って、SQL とアプリ側のどっちで書くべき?」みたいな質問を、手元のメモ帳に書き写しながら声で投げられる。両手をキーボードに固定しなくていいから、ノートと画面を行き来する作業と並行できます。
初心者が踏みやすい落とし穴
- Claude.ai 認証じゃないと使えない。API キー直・Amazon Bedrock・Google Vertex AI・Microsoft Foundry 経由では一切動きません。エラー「Voice mode requires a Claude.ai account」が出たら
/loginで Claude.ai アカウントにサインインし直す - 声は Anthropic のサーバーに送られる。ローカル処理ではないので、会社や組織のセキュリティポリシーで外部送信が禁止されている人は使えない。一方でトークン課金には含まれず、
/usageの上限にもカウントされません - SSH 経由のリモート Claude Code では動かない。マイクは手元のパソコンにしかないので、リモート先には音声が届きません。VS Code 拡張で Remote / Dev Containers / Codespaces を使っている人も同じ理由で不可
- WSL から使うなら WSLg 必須。Microsoft Store 版 WSL2 には同梱されているが、WSL1 には無い。WSL1 ユーザーは Windows ネイティブで Claude Code を起動する以外に手がない
- Hold Space のウォームアップで最初の数文字が入る。Claude Code がキー押下を「連打=ホールド中」と判定するまで一瞬かかるため、その間の Space が入力欄に文字として入ります。録音が始まると自動で消えるので見た目だけの問題だけど、焦る人は
/voice tapで Tap モードに切り替えるか、meta+kみたいな修飾子付きキーに rebind すればウォームアップ不要になる - Tap モードでも最初の Space は入力欄が空の時しか録音開始にならない。文章を書いている途中で押した Space はそのまま空白文字。録音を始めたければ、入力欄を空にしてから押す
- Tap モードには自動停止がある。15秒無音が続くか、合計2分経つと録音が勝手に止まります。長い独白を一気に流したい場合は途中で切れることがあるので、区切って話すのが安全
- OS のキー連打が無効だと Hold Space が反応しない。アクセシビリティ設定でキーリピートを切っていると、押しっぱなしを検出できません。Tap モードに切り替えるのが現実解
書き方
(プロンプト入力欄で)Space キーを押し続ける → しゃべる → 指を離す
# 事前に音声入力を有効化
/voice # 初期は Hold モードで起動
/voice hold # Hold モード明示
/voice tap # 1回押し開始 / もう1回押し送信のトグル方式に切替
/voice off # 音声入力を無効化
やってみるとこうなる
入力
# 1. 音声入力を有効化
> /voice
Voice mode enabled (hold). Hold Space to record. Dictation language: en (/config to change).
# 2. Space を押しっぱなしで話す(入力欄は空のままで)
(Space を押したまま)
「料理レシピをまとめるサイトを作りたい。トップページにカテゴリを6個並べて、各レシピは材料・手順・所要時間の3ブロックで表示してほしい」
# 3. Space を離す → 文字起こし結果が入力欄に確定 → Enter で送信
出力例
(録音中、入力欄に薄字で)
料理レシピをまとめるサイトを作りたい。トップページにカテゴリを6個並べて...
(Space を離した瞬間、薄字が確定して通常テキストに)
料理レシピをまとめるサイトを作りたい。トップページにカテゴリを6個並べて、各レシピは材料・手順・所要時間の3ブロックで表示してほしい。
(カーソルは末尾。手で追加入力するか Enter で送信できる状態)
このページに出てきた言葉
- Hold Space
- Space キーを押し続けている間だけ録音、離すと文字起こしが確定する音声入力のキー操作。Claude Code の音声入力のデフォルトモード
- Tap モード
- Space を1回押して録音開始、もう1回押して停止&送信、というトグル方式。<code>/voice tap</code> で切り替えられる
- /voice
- Claude Code の音声入力を有効化・無効化するスラッシュコマンド。<code>/voice hold</code>、<code>/voice tap</code>、<code>/voice off</code> のサブモードがある
- Claude.ai アカウント
- Anthropic 公式の Claude.ai でサインアップしたアカウント。音声入力は API キー直・Bedrock・Vertex AI・Foundry 経由では使えず、Claude.ai 認証だけで動く
- voice:pushToTalk
- 音声入力の録音キーに割り当てられている内部アクション名。<code>~/.claude/keybindings.json</code> でこのアクションに別のキー(例: <code>meta+k</code>)を割り当て直せる
- WSLg
- WSL2 に同梱されている音声・画面ブリッジ機能。Windows のマイクが WSL 内の Claude Code から見えるのはこれのおかげ。WSL1 には無い
- autoSubmit
- 音声入力の設定項目。<code>true</code> にすると、Space を離した瞬間に文字起こし結果を自動送信する。3単語以上の時だけ発火するので誤送信は起きにくい
- ウォームアップ
- Hold Space で「キーが押しっぱなしになっている」と Claude Code が判定するまでの一瞬の待ち時間。0.数秒。修飾子付きキー(<code>meta+k</code> など)にすると不要になる