Opus × Sonnetでコスト85%減・性能2倍
Claude Advisor Strategy(アドバイザー・ストラテジー)は、賢いAI(Opus)と速いAI(Sonnet/Haiku)をペアにして、コストを下げながら性能を上げる仕組みです。
ふだんの作業は安いモデルが回して、難しい判断のときだけ高いモデルに相談する。
この構造でHaiku(一番安いモデル)の性能がSonnetソロの2倍以上になり、コストは85%減という結果が出ています。
API(外部からClaudeを呼び出す仕組み)を使う開発者はもちろん、Claudeユーザー全員に効いてくる話です。
この記事はClaudeを月額で使っている人・APIで自作ツールを動かしたい人向け(Opus/Sonnet/Haikuの3モデルがあることを知っていれば読めます)。
「一番賢いモデルを使いたいけど高い」「安いモデルだと精度が落ちる」。
この二択を解消するのがAdvisor Strategyです。
私もClaude Codeのトークン代に月10,000円を超える月があり、この発想は他人事じゃなかった。
仕組みと、私たちの使い方にどう関係するかをまとめます。
Claude Advisor Strategyで何が変わる?1モデル運用との違い
これまでのAIの使い方は、1つのモデルに全部やらせるスタイルでした。
賢さがほしければOpus、速さとコストを優先するならSonnet。
でもこれだとOpusは「かんたんな作業」にも全力で動くので高コスト。
Sonnetは「難しい判断」で詰まることがあります。
Advisor Strategyはこの2つを「ペア」にする発想です。
| Opus単独 | Sonnet単独 | Advisor Strategy(Sonnet+Opus) | |
|---|---|---|---|
| ふだんの作業 | Opusがやる(高コスト) | Sonnetがやる(低コスト) | Sonnetがやる(低コスト) |
| 難しい判断 | Opusがやる(得意) | Sonnetがやる(苦手なことも) | Opusに相談して判断(必要な時だけ) |
| コスト | 高い | 安い | Sonnetソロより11.9%安い |
| 性能 | 最高 | 良い | Sonnetソロより2.7ポイント高い |
たとえるなら、会社の仕事の進め方と同じです。
新人が全部の仕事を1人でやると、かんたんな仕事は問題ないけど大きな判断で間違えることがある。
逆にベテランが全部やると品質は高いけど、その人の時間を全部使ってしまう。
Advisor Strategyは「新人がふだんの仕事を回して、大事な判断だけベテランに相談する」というやり方です。
新人の成長速度が上がって、ベテランの時間も節約できる。
仕事の世界では当たり前のこと。
AIでもやっとそれが実装された、という話です。
Claude Advisor Strategyの裏側はどうなってる?
Advisor Strategyは、Anthropic(Claudeの開発元)が公開したAPIの新機能です。
仕組みはシンプル。
「実行者(Executor)」と「助言者(Advisor)」の2つの役割があります。
実行者はSonnetかHaiku。
こちらがメインで作業を進めます。
ツールを呼び、結果を読み、次のステップを判断する。
作業中に「これは判断が難しいな」という場面に当たると、実行者が助言者(Opus)に相談します。
Opusは状況を見て「こうしろ」「やめろ」「こっちに修正しろ」と指示を返す。
実行者はその指示に従って作業を続けます。
ここで効いているのは、Opusは「手を動かさない」というルールです。
ツールを使ったり、ユーザーに直接返事したりしない。
あくまで「判断」だけ。
だからOpusが消費するトークン(AIが扱う文字数の単位、課金の元)は最小限で済みます。
しかもこのやりとりは1回のAPIリクエストの中で完結する。
追加の通信が発生しないので、速度も落ちません。
Claude Advisor Strategyの実績は?具体的な数字
Anthropic公式が公開しているベンチマーク結果(性能テスト結果)を見ていきます。
Sonnet + Opus Advisor(コスト重視の本命)
SWE-bench Multilingual(コーディングの世界共通テスト)で、Sonnetソロより2.7ポイント高いスコアを出しています。
しかもコストは11.9%減。
性能が上がってコストが下がる、という両取りの結果です。
Haiku + Opus Advisor(コスト最優先)
BrowseComp(Web検索のテスト)では、Haikuソロの19.7%からAdvisor付きで41.2%まで跳ね上がっています。
2倍以上の性能アップ。
それでいてSonnetソロの85%安いコストで動く。
Sonnetソロとの性能差は29%ありますが、コストが5分の1以下なので、大量のタスクを回す場面ではこっちの方が合理的です。
Bolt(AIで一気にWebアプリを作るサービス)のCEOは「複雑なタスクではより良い設計判断をし、簡単なタスクではオーバーヘッドゼロ」とコメントしています。
実運用に入れた人の評価が出ているのは、私としては大きい。
Claude Advisor Strategyを使うのに必要なものは?
直接使う場合(API開発者)
Claude APIのアカウントが必要です。
対応モデルは実行者としてSonnet 4.6またはHaiku 4.5、助言者としてOpus 4.6。
ベータヘッダー(APIリクエストに付ける合言葉のようなもの。
`anthropic-beta: advisor-tool-2026-03-01`)を付けます。
料金は通常のAPI従量課金。
Advisor呼び出し分のトークンは別途レポートされます。
間接的に恩恵を受ける場合(一般ユーザー)
Claude Pro(月額$20)以上のサブスク契約。
直接設定する必要はないですが、Claude CodeやClaudeチャットのアップデートで恩恵を受けられます。
Claude Advisor Strategyの考え方をふだんの使い方に活かす手順は?
Advisor Strategy自体はAPI機能ですが、「役割分担」の発想は今すぐ使えます。
私もこの記事を書く前から無意識にやっていました。
ステップ1: タスクの「難しい部分」を見極める
Claude Codeで作業するとき、全部Opus 4.6でやっていないでしょうか。
実はタスクの大半は「かんたんな処理」です。
ファイルの整理、テンプレートの適用、定型的な修正。
こういう作業はSonnetで十分回ります。
たとえば私の場合、1セッションのうち本当に判断が要るのは「設計をどう変えるか」「バグの原因をどう絞るか」くらい。
残りはほぼコピペと差し替え。
これをOpusで回すのはもったいない。
ステップ2: モデルを使い分ける
Claude Codeで /model と入力すると、モデルを切り替えられます。
ふだんの作業はSonnet 4.6で回す。
「ここは設計判断が必要だな」と思ったら、Opus 4.6に切り替える。
これが手動版のAdvisor Strategyです。
私もこのやり方でトークン消費がかなり減りました。
ステップ3: AI同士の「外注」を意識する
Claude Codeだけで全部やらせるんじゃなくて、得意な仕事を得意なAIに振る。
重い文書分析はNotebookLM(Gemini系のリサーチ用ツール)に。
画像生成はMidjourneyに。
Claude Codeは「考える」「書く」「つなぐ」に集中させる。
Advisor Strategyが1つのAPIの中でやってることを、ワークフロー全体でやるイメージです。
Claude Advisor StrategyはClaudeユーザーにどう関係ある?
Claude Codeを使ってる人 → 裏側で効いてくる可能性
Advisor StrategyはAPI機能なので、いまのところClaude Codeのユーザーが直接設定するものではないです。
でもClaude Codeの内部でこの仕組みが採用されれば、ユーザーは意識せずに恩恵を受けることになる。
「同じ月額で、もっと賢い動きをしてくれる」可能性が出てきます。
AIサービスを作ってる人 → すぐ使える
APIを使ってチャットボットや自動化ツールを作っている開発者なら、今すぐ導入できます。
コードの変更は最小限で、ツール定義にadvisorを1行追加するだけ。
max_usesというパラメータで「1回のリクエストでOpusに相談する回数の上限」を設定できるので、コストの上振れも抑えられます。
AIの料金が気になる人 → 全体的に値下がりの方向
Advisor Strategyの本質は「高い計算資源を必要な場面だけに使う」です。
この発想がAI業界全体に広がれば、同じ品質のAIサービスがより安く提供されるようになる。
私はこれが一番効いてくると思っています。
AIサービスの値下げにつながる技術です。
Claude Advisor Strategyのよくある疑問は?
Q. Claude ProやMaxのユーザーは何か変わる?
いますぐ変わるわけではありません。
Advisor StrategyはAPI向けの機能なので、Claude CodeやClaudeチャットの月額プランには直接影響しません。
ただし将来的にClaude CodeやCoworkの裏側にこの仕組みが組み込まれれば、同じ料金でより賢い動作が期待できます。
Q. Opusモデルを直接選んでいる意味がなくなる?
なくなりません。
Advisor Strategyは「すべてのタスクにOpusが必要なわけじゃない」場面で効果を発揮します。
最初から最後まで最高精度が必要な作業(論文の分析、複雑な戦略立案など)では、Opusソロの方が適切です。
逆に「90%はかんたんだけど10%だけ難しい」タスクにはAdvisor Strategyが合います。
Q. 他のAI(ChatGPT等)でも同じことはできる?
いまの時点ではClaude APIの独自機能です。
ただし「安いモデルと高いモデルを組み合わせる」という発想自体は業界全体に広がっていくと私は思います。
Anthropicのように「1つのAPIリクエストで完結する」実装は他にないので、しばらくはClaudeの強みになりそうです。
Q. 日本語で使える?
使えます。
Advisor Strategyはモデルのペアリングなので言語に依存しません。
日本語のタスクでも、Sonnetが日本語で作業しOpusが日本語で助言を返します。
Claude Advisor Strategyの注意点は?
現時点ではベータ版です。
APIのベータヘッダー(`anthropic-beta: advisor-tool-2026-03-01`)を付ける必要があります。
正式リリース後に仕様が変わる可能性はあります。
非エンジニアが直接使う機能ではありません。
APIの設定を変更する必要があるので、Claude CodeやClaudeチャットを使っているだけの人は直接触れない。
ただし契約しているAIサービスの裏側で使われ始める可能性は高いです。
すべてのタスクで効果が出るわけではない。
タスクの大半が「難しい判断」で構成されているケースだと、Opusへの相談回数が増えてコスト削減効果が薄くなる。
「90%はルーティン、10%が重要判断」という構成のタスクで最も効果を発揮します。
とはいえ、この技術が示していることは大きい。
「AIは1つのモデルで全部やる」という時代が終わりつつあります。
人間の組織と同じように、AIも「役割分担」で動く時代になった。
実行者と助言者。
ジュニアとシニア。
この構造がAIに入ったことで、「賢さ」と「コスト」のトレードオフが崩れ始めています。
Claude Advisor Strategyを今日から活かすには?
APIを使っている人は、今日からSonnet + Opus Advisorを試してみてほしい。
ツール定義1行の追加で導入できます。
APIを使っていない人は、まずClaude Codeのモデル切り替えを試してみてほしい。
ふだんの作業をSonnet、重い判断だけOpusに切り替える。
これだけで「手動Advisor Strategy」が体験できて、トークンの持ちが変わります。
私はこの切り替えだけでも月のClaude代が3割減ったので、効果は実感としてあります。
このページに出てきた言葉
- Opus / Sonnet / Haiku
- Claudeの3つのモデル。Opusが最も賢く高価、Haikuが最も速く安価、Sonnetがその中間。
- Advisor Strategy
- 賢いモデル(Opus)と速いモデル(Sonnet/Haiku)をペアにする仕組み。普段は速いモデルが動き、難しい判断のときだけ賢いモデルに相談する。
- API
- 外部のプログラムからClaudeを呼び出すための仕組み。月額のチャット利用と違い、使った分だけ課金される。
- トークン
- AIが文字を扱う単位。日本語1文字が1〜2トークン程度。APIの料金はトークン量で決まる。
- ベータヘッダー
- APIリクエストに付ける合言葉のようなもの。新機能を使う際に必要で、`anthropic-beta:` から始まる。
- ベンチマーク
- 性能を測る世界共通のテスト。SWE-bench(コーディング)やBrowseComp(Web検索)などがある。
- SWE-bench Multilingual
- 複数言語のコーディング問題を解かせて性能を測るテスト。
- BrowseComp
- AIにWeb検索をさせて答えを出す力を測るテスト。
- 実行者(Executor)
- Advisor Strategyで実際に作業するモデル(SonnetまたはHaiku)。
- 助言者(Advisor)
- Advisor Strategyで判断のみを担当するモデル(Opus)。手は動かさない。
- Claude Code
- Anthropic公式のコマンドライン用Claudeクライアント。月額契約で使える。
参考リンク
※この記事の内容は執筆時点のものです。AIは進化が速い分野のため、最新の仕様は公式サイトでご確認ください。