調べ物をAIに任せたいけど検索1回の答えだと信用しきれない人向け
調べ物をAIに任せたいけど、1回チャットで聞いた答えだと出どころが分からず鵜呑みにできないとき。料理ブログの画像生成AI選びや、家計簿アプリの技術選び、使っているソフトの仕様変更の確認など、複数の情報源を突き合わせて裏取りした結論が欲しい場面で、コマンドの後ろに質問を書いて叩く。
調べ物を1回チャットで聞くと、それっぽい答えは返ってくるけど、出どころが分からなくて鵜呑みにできない。そういう場面のための調査専用コマンドが /deep-research です。Claude Code に最初から入っていて、コマンドの後ろに調べたい質問を書いて叩くと、裏で複数の働き手が手分けして調べ、出典付きの1本のレポートを返してくれます。
普通の質問と違うのは「1回の検索で終わらせない」こと。1つの質問をいくつもの切り口に割って、それぞれをWeb検索し、見つけた情報源を突き合わせて、生き残った話だけを出典付きでまとめます。
噛み砕くと
図書館に調べ物を頼むときをイメージすると近いです。司書が1人で1冊めくるんじゃなくて、何人もの調査員に「この本」「あの資料」と手分けさせて、戻ってきた情報を1か所に集めて突き合わせる。複数の資料で食い違っている話はいったん保留し、複数の出どころで一致した話だけを残す。最後に「これはこの資料、あれはあの資料」と出典を添えた1枚のまとめが机に置かれる、そんな段取りです。
1回のチャットが「司書に立ち話で聞く」なら、/deep-research は「調査チームに正式依頼する」。手間と時間はかかるぶん、答えの裏取りが効いています。
普通にチャットで質問するのと何が違うのか
一番の違いは工程の数です。普通の質問は、その場で1回検索して1回答える。/deep-research は、(1) 質問を複数の切り口に分けてWeb検索、(2) 見つけた情報源を取りに行って突き合わせ、(3) 主張ごとに「これは信用できるか」を投票、(4) 相互チェックを生き残った主張だけで出典付きレポートを合成、という4工程を裏で回します。
公式ドキュメントの説明はこうです。
Fans out web searches on a question across several angles, fetches and cross-checks the sources it finds, votes on each claim, and returns a cited report with claims that didn't survive cross-checking filtered out.
もう1つの違いは、実行中もこちらの画面が止まらないこと。調査は裏で進むので、待っている間に別の作業を続けられます。進み具合は /workflows を叩いて矢印キーで選んで Enter を押すと、進捗ビューで確認できます。ここ、地味に効きます。
大事な前提:使える状態かどうかを先に確かめる
このコマンドは、どの環境でもいきなり使えるわけではありません。公式が出している条件があるので、先に並べておきます。
- Claude Code が v2.1.154 以降であること
- この調査の仕組みは研究プレビュー段階(お試し公開中で、仕様が変わる可能性がある)
- 有料プラン全部で使える。Anthropic API、Amazon Bedrock、Google Cloud Vertex AI、Microsoft Foundry 経由でも使える
- Pro プランの場合は
/configの「Dynamic workflows」の行からオンにする必要がある(最初はオフのことがある) - Web検索の道具(WebSearch)が使える環境であること。公式は "Requires the WebSearch tool to be available" と明記しています
Pro プランで「コマンドが見つからない」と言われたら、まず /config を疑うのが早いです。
「料理ブログの画像はどの生成AIで作るか」を例に、実際の手順を見る
私が料理ブログを運営していて、「レシピ記事に載せる料理写真を、2026年時点でどの生成AIで作るのが一番実用的か」を調べたいとします。検索1回だと、おすすめ記事が出てくるものの、いつの情報か・誰が言ってるかが曖昧で決めきれません。こういうときに /deep-research の出番です。
ステップ1: 質問を付けて叩く
コマンドの後ろに、調べたい質問をそのまま日本語で書きます。
/deep-research レシピ記事の料理写真を作る生成AIは2026年時点でどれが一番実用的か。画質・商用利用の可否・月額料金で比較したい
公式の実行例だと、英語でこう書いています。質問の付け方の参考になります。
/deep-research What changed in the Node.js permission model between v20 and v22?
ステップ2: 「Allow workflows」の確認に答える
実行すると、調査を始めていいかの確認が出ます。Yes を選ぶと走り出します。ここで初心者がやりがちな勘違いがあって、「確認が出た=何かエラー」ではありません。裏で働き手を動かす前の、ごく普通の許可確認です。出るか出ないかは今の許可の設定次第で変わります。
ステップ3: 裏で進むので、待たずに別作業を続ける
調査はバックグラウンドで進みます。公式の表現を借りると、こうなります。
You'll see agents work through a set of phases in the background while your session stays free, and get one report at the end instead of a turn-by-turn transcript.
つまり、やりとりを1往復ずつ見せられるのではなく、最後にレポートが1本届く形です。
ステップ4: 進み具合をのぞく
途中経過が気になったら /workflows を叩きます。矢印キーで今走っている調査を選んで Enter を押すと、進捗ビューが開きます。今どの段階にいるか、働き手が何人動いているか、使った量の合計、経過時間が見えます。入力欄の下にも1行で進み具合が出ます。
/workflows
ステップ5: レポートを受け取る
調査が終わると、レポートがその画面に届きます。中身は出典付きで、相互チェックを生き残らなかった話はあらかじめ除かれています。公式の言い方はこうです。
It cites the sources each claim came from, with claims that didn't survive cross-checking already filtered out.
ステップ6: 出典をたどって裏を取る
料理写真の例なら、「画質はこの生成AIが上」「商用利用はこの条件付きでOK」といった主張ごとに、どの情報源から来たかが添えられています。気になる主張はその出典を自分の目で開いて確かめれば、最終判断は自分で下せます。ここまでやって初めて「調べた」と言える感じです。
つまり /deep-research は何をしてくれるのか
- やってくれる: 質問を複数の切り口に割ってWeb検索し、情報源を突き合わせ、生き残った主張だけを出典付きの1本のレポートにまとめる
- やってくれない: 一瞬で答えを返すことはしない。多くの働き手を動かすぶん、普通の会話より時間も使う量もかかる
- 意味が薄い場面: 1回検索すれば済む単純な事実確認。そこにこの重い調査を回すのは大げさです
使いどころ3シナリオ(具体題材で再現)
シナリオ1: 料理ブログの画像生成AIを乗り換え検討するとき
今使っている生成AIの画質に不満が出てきて、乗り換え先を探したい。「2026年時点で料理写真に強い生成AIを、画質・商用利用の可否・月額で比較」と質問を付けて回せば、複数の情報源を突き合わせた比較が出典付きで返ります。1社の宣伝記事だけ読んで決めるより、判断の土台が固くなります。
シナリオ2: 家計簿アプリを作る前に技術選びをするとき
個人で家計簿アプリを作ろうとして、データの保存先を何にするか迷っている。「個人開発の家計簿アプリで、無料枠が大きくて運用が楽なデータ保存先はどれか」と聞けば、各サービスの無料枠や制限を突き合わせたレポートが届きます。一次情報の出どころが付くので、古い記事に振り回されずに済みます。
シナリオ3: 公開済みのソフトの仕様変更を追うとき
使っているソフトがバージョンアップして、何が変わったか正確に知りたい。公式の実行例がまさにこれで、「Node.js の v20 と v22 で何が変わったか」を調べさせています。複数の情報源を当たって、食い違いをふるい落とした変更点が出典付きで返るので、リリースノートと他の解説を1つずつ照らし合わせる手間が省けます。
初心者が踏みやすい落とし穴
- 実行前に許可の確認が出るのを「エラー」と勘違いする。これは正常な確認で、Yes を選べば進みます。出方は今の許可の設定によって変わります。
- 普通の会話より使う量が大きい。多くの働き手が同時に動くので、1回の調査でかなりの量を消費します。プランの使用量・上限に普通にカウントされる点は公式も明記しています。
- いきなり広すぎる質問で回す。「AIについて全部教えて」みたいな漠然とした依頼は重くなりがち。まずは狭い質問で小さく試して、感触をつかむのが公式の勧めです。
- この調査の仕組みを無効化する設定にしていると、このコマンド自体が使えなくなります。「Dynamic workflows」をオフにしているとメニューから消えます。
- Pro プランで「コマンドが見つからない」とき。
/configの「Dynamic workflows」がオフのままになっている可能性が高いです。 - Claude Code のバージョンが古い。v2.1.154 より前だと、そもそも使えません。先に更新を。
- Web検索の道具がオフ。
/deep-researchは検索ありきなので、WebSearch が使えない環境では動きません。 - 1回の検索で済む話まで回す。単純な事実確認に重い調査をぶつけると、時間も使う量ももったいない。軽い質問は普通のチャットで十分です。
書き方
/deep-research <調べたい質問>
やってみるとこうなる
入力
/deep-research What changed in the Node.js permission model between v20 and v22?
出力例
裏で複数の働き手が段階を踏んで調査を進め、最後に出典付きのレポートが1本届く。各主張にどの情報源から来たかが添えられ、相互チェックを生き残らなかった主張はあらかじめ除かれている。実行中もこちらの画面は止まらず、進み具合は /workflows で確認できる。
このページに出てきた言葉
- ワークフロー
- あらかじめ決まった手順をまとめて自動で走らせる段取りのセット。<code>/deep-research</code> は調査の段取りが組み込まれた1つのワークフロー
- エージェント
- 指示を受けて自分で考えながら作業を進めるAIの働き手。<code>/deep-research</code> では複数の働き手が手分けして同時に調べる
- 研究プレビュー
- 正式版の前のお試し公開段階。今後の更新で動きや名前が変わることがある
- WebSearch
- Claude CodeがWeb検索をするための道具。これがオフだと <code>/deep-research</code> は調べに行けない
- /config
- Claude Codeの設定画面を開くコマンド。Proプランではここの「Dynamic workflows」の行から <code>/deep-research</code> をオンにする