大きめの変更を取り込む前に、見落としたバグを徹底的に洗い出したい人向け
料理ブログのレシピ検索機能や家計簿アプリの計算ロジックなど、大きめの変更を本番に取り込む直前に、見落としたバグを最後にもう一度だけ徹底的に洗い出したい場面で /code-review ultra を叩く。Claude.ai アカウントでログインずみで、git で変更管理しているプロジェクトの中にいて、無料3回が残っているか usage credits(追加課金枠)がオンになっていることが前提。作業中の素早い確認なら /review、取り込み前の重要な変更ならこちら、と使い分ける。
大きめのコード変更を取り込む前に、見落としたバグを最後にもう一度だけ徹底的に洗い出したい。そういう場面で使うのが /code-review ultra です。手元ではなくクラウド側に大量のレビュー担当AIを一斉に走らせて、変更の中に潜むバグを並列で探させます。
名前まわりが少しややこしいので先に整理します。今の正式な呼び出し方は /code-review ultra で、/ultrareview は同じものを指す別名(エイリアス)として残っているだけです。どちらを叩いても起動する中身は同じレビューです。
そもそも ultrareview って何のこと?
公式の説明はこうです。
Ultrareview is a deep code review that runs on Claude Code on the web infrastructure. When you run
/code-review ultra, Claude Code launches a fleet of reviewer agents in a remote sandbox to find bugs in your branch or pull request.
ざっくり言うと、Claude Code on the web(ブラウザ側で動くClaude Code)の上で動く、深いコードレビューです。コマンドを叩くと、遠くのクラウド上に隔離された作業場が立ち上がり、そこにレビュー担当AIの「艦隊」が出動して、あなたの変更からバグを探します。1体だけのレビューではなく大勢で同時に見る、ここがミソです。
手元の軽いレビュー /review と比べた強みを、公式は3つ挙げています。
* Higher signal: every reported finding is independently reproduced and verified, so the results focus on real bugs rather than style suggestions
* Broader coverage: many reviewer agents explore the change in parallel, which surfaces issues that a single-pass review can miss
* No local resource use: the review runs entirely in a remote sandbox, so your terminal stays free for other work while it runs
1つ目は、報告されたバグは全部その場で再現・検証ずみだということ。「ここ汚いですよ」みたいな趣味の指摘ではなく、実際に動かして確認した本物のバグだけが返ってきます。2つ目は、大勢で同時に見るので1回流すだけのレビューが取りこぼす問題まで拾えること。3つ目は、全部クラウド側で走るので手元の画面が他の作業に使えること。ここは地味に効きます。
叩く前に:これは「研究プレビュー段階の有料機能」です
先に前提を全部出しておきます。これを満たしていないと、そもそも起動できません。
まず、Claude Code v2.1.86 以降でしか使えません。研究プレビュー(試験公開)段階なので、機能・料金・使える条件は今後変わる可能性があります。
次に認証。クラウド側で動く都合上、Claude.ai アカウントでのログインが必須です。公式の原文がこれです。
Ultrareview requires authentication with a Claude.ai account because it runs on Claude Code on the web infrastructure. If you are signed in with an API key only, run
/loginand authenticate with Claude.ai first. Ultrareview is not available when using Claude Code with Amazon Bedrock, Google Cloud Vertex AI, or Microsoft Foundry, and it is not available to organizations that have enabled Zero Data Retention.
API key だけでサインインしている状態だと弾かれます。その場合は /login で Claude.ai に入り直してください。さらに、Amazon Bedrock / Google Cloud Vertex AI / Microsoft Foundry 経由でClaude Codeを使っている場合は対象外。Zero Data Retention(データを残さない設定)をオンにした組織でも使えません。
そして当たり前のようでいて大事なのが、git で変更管理しているプロジェクトの中で叩くこと。公式も「Start a review from any git repository」と書いていて、変更の差分を見るのが仕事なので、git 管理されていないただのフォルダでは意味がありません。
最後にお金。無料3回を使い切ったあとは、usage credits(追加で課金できる枠)がオンになっていないと起動自体がブロックされます。料金の詳細は後ろのセクションで。
「料理ブログのレシピ検索機能」を例に、実際の手順を見る
料理ブログに「レシピ検索機能」を新しく足したとします。検索のコードは書き終わって、本番に取り込む直前。ここで見落としたバグを一掃したい、という想定で順番に見ていきます。
ステップ1: まず前提を確認する
レシピ検索機能のコードを書いた git プロジェクトの中で、黒い画面からClaude Codeを起動しておきます。Claude.ai アカウントでログインずみか、無料3回がまだ残っているか、あるいは usage credits がオンかを頭の片隅に置いておきます。
ステップ2: 何もつけずに叩く
取り込み前の差分をまるごと見てほしいので、後ろに何もつけずにこう打ちます。
/code-review ultra
このときレビューされる範囲を公式はこう定義しています。
Without arguments, ultrareview reviews the diff between your current branch and the default branch, including any uncommitted and staged changes in your working tree. Claude Code bundles the repository state and uploads it to a remote sandbox for the review.
つまり今いる作業ブランチと、取り込み先になる既定ブランチとの差分が対象です。まだ保存確定していない変更や、確定待ちにした変更も含めて見てくれます。レシピ検索を作っている途中の状態のまま叩いても、その場の変更ごと拾ってくれるわけです。Claude Code がプロジェクトの状態をひとまとめにして、クラウド側へ送ります。
ステップ3: 確認ダイアログで中身を見て、納得してから走らせる
ここで初心者が身構えがちですが、叩いた瞬間に勝手に課金されて走り出すことはありません。起動前に必ず確認ダイアログが出ます。
Before launching, Claude Code shows a confirmation dialog with the review scope (including the file and line count when reviewing a branch), your remaining free runs, and the estimated cost. After you confirm, the review continues in the background and you can keep using your session. The command runs only when you invoke it with
/code-review ultra; Claude does not start an ultrareview on its own.
レビューする範囲、無料があと何回残っているか、ざっくりの見積もり金額が表示されます。ブランチを見るときは対象のファイル数や行数まで出ます。料理ブログのレシピ検索なら「○ファイル・○行を見ます、無料あと2回、推定$0」みたいに出る形です。中身を見て納得してから確定する。ここを読まずにEnterしないことです。
ステップ4: 確定したら、あとは放っておいて他の作業をする
確定するとレビューはバックグラウンド(裏側)で走り始めます。所要時間は5〜10分ほど。その間あなたのセッションは自由に使えるので、レシピ詳細ページのCSSをいじるなり、別のコマンドを叩くなり、なんなら黒い画面ごと閉じてしまっても大丈夫です。手元の画面が固まらないのがクラウド型の利点です。
ステップ5: 走行中・完了を /tasks で追う
レビューの様子は /tasks で見られます。
/tasks
Use
/tasksto see running and completed reviews, open the detail view for a review, or stop a review that is in progress. Stopping a review archives the cloud session, and partial findings are not returned. When the review finishes, the verified findings appear as a notification in your session.
走行中・完了ぶんの一覧が出て、詳細を開いたり、途中で止めたりできます。終わると、検証ずみのバグ報告が通知としてセッションに届きます。各報告にはファイルのどこか(場所)と、何が問題かの説明がついているので、そのままClaudeに「ここ直して」と頼めます。レシピ検索なら「空文字で検索したとき全件返ってしまう」みたいな指摘がファイル名つきで返ってくる、というイメージです。
ステップ6: プロジェクトが大きすぎたら、PR モードに切り替える
料理ブログが育って画像や記事データで膨らんでいると、まるごとクラウドへ送れないことがあります。そのときは公式がこう促してきます。
If your repository is too large to bundle, Claude Code prompts you to use PR mode instead. Push your branch and open a draft PR, then run
/code-review ultra <PR-number>.
ブランチをリモートへ送って下書きのPR(変更の取り込み依頼)を作り、その番号を後ろにつけて叩きます。
/code-review ultra 1234
In PR mode, the remote sandbox clones the pull request directly from the host rather than bundling your local working tree. PR mode works with repositories on
github.comand on GitHub Enterprise Server instances that an admin has connected to Claude Code.
PR モードだと、手元の状態を送る代わりに、クラウド側がそのPRをホストから直接丸ごと写し取ってレビューします。対象は github.com と、管理者がClaude Codeに繋いだ GitHub Enterprise Server です。
つまり /code-review ultra は何をしてくれるのか
- やってくれる: 取り込み前の変更を、クラウド上の大勢のレビューAIで並列に深掘りし、再現・検証ずみの本物のバグだけをファイル位置つきで返す
- やってくれない: 勝手に起動して課金すること。走るのは
/code-review ultraをあなたが叩いたときだけで、Claudeが自発的に始めることはない - 意味が薄い場面: 作業しながらの素早い確認。数秒〜数分で終わってほしい軽い確認は手元の
/reviewの役目で、5〜10分かけて$5〜$20払うほどではない
使いどころ3シナリオ(具体題材で再現)
シナリオ1: 料理ブログのレシピ検索機能を本番に取り込む前
検索ロジックは一通り書けた、でも「空文字検索」「絞り込みゼロ件」みたいな例外パターンで変な挙動が残っていないか不安。こういう取り込み直前こそ /code-review ultra の本領です。1回流すだけのレビューが見逃しがちな境界の挙動を、大勢のAIが別々の角度から突いてくれます。本番に出してからユーザーに踏まれるより、ここで$5〜$20払って潰すほうが安い、と私は思います。
シナリオ2: 家計簿アプリの計算ロジックを大きく書き直したあと
お金の計算は1円ズレても信用を失う部分です。集計や四捨五入まわりを大きく組み直したなら、取り込み前にここで深掘りレビューをかけておく。検証ずみのバグだけが返るので、「style suggestions(見た目の好みの指摘)」に埋もれず、本当に直すべき計算ミスに集中できます。お金がからむコードとは相性がいい使い方です。
シナリオ3: 他人が開いたPRをCI(自動チェックの仕組み)で機械的に回したい
対話画面を開かずに、台本(スクリプト)から走らせたいときは claude ultrareview という別の入り口があります。公式の説明はこうです。
Use the
claude ultrareviewsubcommand to start an ultrareview from CI or a script without an interactive session. The subcommand launches the same review as/code-review ultra, blocks until the remote review finishes, prints the findings to stdout, and exits with code 0 on success or 1 on failure.
claude ultrareview
claude ultrareview 1234
claude ultrareview origin/main
中身は /code-review ultra と同じレビューです。終わるまで待って、結果を標準出力に出し、成功なら終了コード0、失敗なら1で抜けます。--json をつけると整形前の生の bugs.json をそのまま出し、--timeout <minutes> で待ち時間の上限を指定できます(初期値は30分)。チームのPRレビューを自動化したいときの入り口、という位置づけです。
/review とどう違うのか(公式の対比)
同じ「コードを見る」でも、狙う場面が違います。公式の比較がそのまま分かりやすいので置いておきます。
/review |
/code-review ultra |
|
|---|---|---|
| どこで走る | 手元のセッション内 | クラウド上の隔離環境 |
| 深さ | 1回流すだけのレビュー | 大勢のAIで深掘り+それぞれ独立に検証 |
| 所要時間 | 数秒〜数分 | おおよそ5〜10分 |
| お金 | 通常の利用枠から消費 | 無料3回、以後は1回あたり$5〜$20を usage credits から |
| 向いてる場面 | 作業中の素早い確認 | 大きめの変更を取り込む前の最終チェック |
作業しながらの確認は /review、取り込み前の重要な変更は /code-review ultra。この使い分けだけ覚えておけば十分です。
料金まわり、ここだけは正確に
ここを誤解するとお金で痛い目を見るので、数字をそのまま出します。
- Pro と Max は無料3回つき。この3回は1アカウントにつき1回きりの配布で、補充されません。使い切ったら以後は usage credits 課金です。
- Team と Enterprise には無料枠がありません。最初から usage credits 課金です。
- 有料1回はおおよそ$5〜$20。変更の大きさで上下します。
- usage credits がオフだと有料レビューは起動できません。ブロックされて課金設定への案内リンクが出ます。
/usage-creditsで今の設定を確認・変更できます。 - 有料レビューを途中で止めると、走った分だけ課金される。$5〜$20は完走したときの目安で、途中停止すれば消費した usage credits は少なくて済みます。公式も「For a paid review, usage credits are billed only for the portion that ran.」と明記。無料枠(まるごと1回カウント)とは逆の挙動なので注意です。
初心者が踏みやすい落とし穴
- 途中で止めても無料1回は消える。公式が「A run counts once the remote session starts, so a review that you stop early or that fails to complete still uses a free run.」と明記。クラウド側が動き出した時点で1回カウントされます。お試しのつもりで起動→即キャンセルでも、貴重な無料枠が1つ減ります。なお、有料のレビューを途中で止めた場合は走った分だけ usage credits から引かれます(1回分まるごとではない)。無料と有料で逆の挙動なので混同しないことです。
- 無料3回は二度と戻ってこない。1アカウント1回きりの配布で、月が変わっても補充されません。最初の3回は本当に効かせたい大きな変更に取っておくのが賢い使い方です。
- 止めると部分的な結果すら返らない。「Stopping a review archives the cloud session, and partial findings are not returned.」とある通り、途中で止めたら今まで見つけた分も手に入りません。止めるなら早めに判断することです。
- 軽い確認にこれを使うと割に合わない。数秒で済ませたい確認は
/reviewの仕事。ちょっとした手直しのたびに $5〜$20 の深掘りを走らせると、お金も時間も無駄になります。 - 勝手には走らない、を逆に覚えておく。Claudeが自発的に ultrareview を始めることはありません。叩いていないのに課金された、ということは起きない一方、「自動で見てくれてるはず」と思い込むのも禁物。取り込み前に自分で
/code-review ultraを叩く必要があります。 - git 管理されていないフォルダでは無意味。差分を見るのが仕事なので、git で変更を記録していないただのフォルダで叩いても見るものがありません。
- 巨大なプロジェクトはそのまま送れない。送れないサイズだと PR モードを促されます。ブランチをリモートへ送って下書きPRを作り、
/code-review ultra <PR-number>で番号指定に切り替えてください。 - API key だけのログインだと弾かれる。クラウド側で動く都合上 Claude.ai アカウントが必須です。Bedrock / Vertex AI / Microsoft Foundry 経由や Zero Data Retention 有効の組織も対象外なので、起動できないときはまずここを疑います。
書き方
/code-review ultra (後ろに何もつけず、今の作業ブランチと既定ブランチの差分を見る)
/code-review ultra 1234 (PR番号を後ろにつけて、そのPRを見る)
/ultrareview (/code-review ultra の別名。同じレビューが走る)
claude ultrareview (対話画面なしで、CIや台本から同じレビューを走らせる)
やってみるとこうなる
入力
/code-review ultra
出力例
起動前に確認ダイアログが出る(レビュー範囲・対象ファイル数と行数・無料の残り回数・推定$0〜)→ 確定するとクラウド側でレビューが裏で走り出す(5〜10分)→ 手元の画面はそのまま別作業に使える → 終わると検証ずみのバグ報告が通知で届き、各報告にファイルの場所と「何が問題か」の説明がつくので、そのまま「ここ直して」と頼める。途中経過や停止は /tasks で追える。
このページに出てきた言葉
- /code-review ultra
- ultrareview の今の正式な呼び出し方。クラウド上の大勢のレビューAIで取り込み前の変更を深掘りする
- エイリアス
- 同じものを指す別名。<code>/ultrareview</code> は <code>/code-review ultra</code> のエイリアスで、どちらを叩いても中身は同じ
- research preview(研究プレビュー)
- 正式公開前に希望者へ先行で試してもらう試験公開の段階。仕様や料金が予告なく変わることがある
- usage credits
- 月々のプランに含まれる利用枠とは別の、追加でお金を払って使う課金枠。ultrareview の有料分はここから引かれる
- PR
- pull request の略。「この変更を本線に取り込んでください」という依頼。番号がつくので <code>/code-review ultra 1234</code> のように指定できる
- 差分(diff)
- 2つの状態を見比べて「変わった部分」だけを抜き出したもの。ultrareview はこの変わった部分を対象にレビューする