Claude Codeを自分のPCのターミナルで使ったことがあって、外出先や手元にPCが無い時にも作業を回したい人向け
外出先でPCが手元にない、または今いる端末にそのプロジェクトのファイル一式が入っていない時に、ブラウザや別端末から claude.ai のクラウドで作業を始めたい場面で叩く。重いタスクを丸投げして手元では別作業を続けたい時や、複数のタスクを同時並行で走らせたい時にも使う。叩く前に手元の変更を GitHub へ送っておくのが下準備
--remote は、claude を起動するときにタスクの内容を続けて書くと、その作業を自分のPCではなく claude.ai 側のクラウドで動かしてくれる仕組みです。手元のPCにそのプロジェクトを置いていなくても、claude.ai が GitHub 上のコードを引っ張ってきて、クラウド上で勝手に作業を始めます。
今いる端末にそのプロジェクトのファイル一式が入っていない。そういう時でも、その端末で claude さえ動けば「このタスクやっといて」と1行投げるだけで済みます。私はこれを知ったとき、作業場所の縛りが一気に消えた感覚がありました。
噛み砕くと
新しい職場に出張で行って、自分の机もパソコンも持っていない状況を想像してみてください。--remote は、その出張先で「本社の倉庫から資料一式を取り寄せて、空いてる作業部屋で作業を進めておいて」と電話1本で頼むようなものです。
取り寄せ元は GitHub。作業部屋は claude.ai のクラウド。あなたは電話(タスクの1行)を入れるだけで、自分は手ぶらのまま別の用事を続けられます。作業が終わるころに様子を見に行けばいい。
ここがローカル作業との一番の違いです。手元のPCは何も動かしません。動くのは向こうの部屋。だから手元のPCを閉じても、電源を切っても、作業は止まりません。
大事な前提:クラウドは GitHub から取り寄せる、手元の最新版ではない
クラウド上の作業部屋は、毎回 GitHub から新品のコピーを取り寄せて始まります。GitHub に保存済みの内容だけが向こうに渡ります。
つまり、まだ保存して送っていない手元の書きかけや、あなたのPCだけに入れた設定は向こうに届きません。先に GitHub へ送っておく、これが --remote を使う上での絶対の下準備です。
「cooking-blog」を例に、実際の手順を見る
料理ブログ「cooking-blog」のプロジェクトで考えます。レシピ検索のしぼり込み機能にバグがあって、外出先でそれを直したい。でも今いる場所のPCには cooking-blog が入っていない、という場面です。
ステップ1: まず手元の変更を GitHub へ送っておく
クラウドは GitHub から最新のコードを取り寄せて作業します。手元に保存してまだ送っていない変更があれば、先に GitHub へ push しておきます。ここを飛ばすと古い状態で作業されます。
ステップ2: ターミナルで1行叩く
出先の端末に cooking-blog を落としていなくても、その端末で claude が起動できて同じアカウントでログインしていれば、それだけで投げられます。cooking-blog のしぼり込みバグなら、こう書きます。
$ claude --remote "Fix the recipe search filter in src/search/filter.ts"
公式が出している形はこちらです。やっていることは同じで、直したい場所と内容を続けて書くだけ。
$ claude --remote "Fix the authentication bug in src/auth/login.ts"
ステップ3: クラウドが GitHub から取り寄せて作業を始める
この1行で claude.ai に新しいクラウドの作業部屋ができます。あなたが今いる場所の今のブランチ(作業の枝)の状態を GitHub から取り寄せて、その上で作業します。
だから、もし手元に送っていない変更があるなら、先に GitHub へ送ってから叩く。向こうはあなたのPCではなく GitHub を見にいくからです。
ステップ4: ここで初心者がやりがちな勘違い
「今ターミナルで開いてる作業をそのままクラウドに持っていける」と思いがちですが、それはできません。--remote は新しい作業部屋をゼロから立てるコマンドです。今の作業をそのまま押し出す動きではない。
逆向き、つまりクラウドの作業を手元のターミナルに引き取るのは --teleport の役目です。向きが反対なので混同しないように。
ステップ5: 手元では別の作業を続ける
クラウドが cooking-blog のバグを直している間、あなたのPCや時間は自由です。公式の言葉どおり「タスクはクラウドで走り、あなたはローカルで作業を続けられる」。待ち時間がそのまま消えます。進捗を見たくなったら、ブラウザで claude.ai/code を開くか Claude アプリ、あるいはターミナルの /tasks でいつでも様子を確認できます。ブラウザやアプリは投げるための必須条件ではなく、あくまで確認手段の1つです。
ステップ6: 複数のタスクを同時に投げる
1回叩くごとに独立した作業部屋ができるので、別々のタスクを並べて同時に走らせられます。公式が出している並列の例はこうです。
$ claude --remote "Fix the flaky test in auth.spec.ts"
$ claude --remote "Update the API documentation"
cooking-blog なら「検索バグを直す」と「レシピ一覧ページの表示を直す」を別々の部屋で同時進行、みたいな使い方ができます。これは地味に効きます。
つまり --remote は何をしてくれるのか
- やってくれる: claude.ai 側に新しいクラウドの作業部屋を立て、GitHub からコードを取り寄せて、書いたタスクを向こうで実行する
- やってくれない: 今ターミナルで開いている作業をそのままクラウドへ押し出すことはできない。新規に立てるだけ
- 意味が薄い場面: GitHub に送っていない書きかけだけを直したい時。向こうは GitHub しか見ないので、送る前に叩いても古い状態で作業されてしまう
使いどころ3シナリオ(具体題材で再現)
シナリオ1: 出先のPCに cooking-blog が入っていないとき
カフェの貸出PCや実家のPCなど、cooking-blog のファイル一式が入っていない端末しか手元にない。普段なら GitHub から取り寄せる手間が要りますが、--remote ならその端末にコードを落とさずに作業を始められます。claude.ai が向こうで GitHub から取り寄せてくれるからです。「手元にプロジェクトが無くても、そのプロジェクトの作業ができる」のがここの肝です。
シナリオ2: 重い作業を投げて、手元では記事を書き続けたいとき
cooking-blog の全レシピページのタグを一括で付け直す、みたいな時間のかかるタスク。これをクラウドに丸投げして、自分は次の記事の下書きを進める。$ claude --remote "Add category tags to all recipe pages" と投げたら、あとは放置。作業はクラウドで走り続けるので、手元のPCを閉じても止まりません。私はこの「投げて忘れる」感覚が一番ありがたいです。
シナリオ3: 複数の修正を同時並行で回したいとき
検索バグの修正、説明文の更新、テストの修正。cooking-blog でやることが3つ溜まっている朝に、3回 --remote を叩けば、3つの作業部屋が同時に動きます。1個ずつ終わるのを待つ必要がない。並べて投げて、夕方にまとめて結果を見る。これだと半日分の作業がそのまま並列で片付きます。
初心者が踏みやすい落とし穴
- --remote と --remote-control はまったくの別物。
--remoteはクラウドに新規セッションを作る(実行は claude.ai 側)。--remote-controlは自分のPCで動いているセッションを外から見られるようにするだけ(実行は手元)。名前がそっくりなので、公式も「--remoteはクラウドセッションを作る。--remote-controlは無関係だ」とわざわざ釘を刺しています。 - --teleport と向きが逆。クラウド→手元に引き取るのが
--teleport、手元→クラウドに新規作成するのが--remote。今ターミナルで開いている作業をそのままクラウドへ押し出すことは、コマンドからはできません。デスクトップアプリの「Continue in」メニューなら手元の作業をクラウドへ送れます。 - GitHub に送る前に叩くと古い状態で作業される。クラウドは毎回 GitHub から新品のコピーを取り寄せます。手元に保存して送っていない変更は向こうに届かないので、先に GitHub へ push しておくこと。
- あなたのPCだけに入れた設定は引き継がれない。クラウドの作業部屋は新品の状態から始まります。GitHub に保存されているものは使えますが、手元の端末だけに入れた道具や設定は向こうには無い、と思っておくのが安全です。
- 使えるプランが限られている。Claude Code on the web は Pro / Max / Team 向け、および対象のEnterpriseユーザー向けの研究プレビュー段階です。対象外のプランだと使えません。
- GitHub につないでいなくても動くが、結果は書き戻せない。GitHub に接続していない状態で
--remoteを叩くと、手元のプロジェクト一式(変更履歴と書きかけ込み)をそのままクラウドへ送って作業を始めます。ただしこの送り方だと、クラウドの作業結果を GitHub 側へ書き戻せません。結果を保存して受け取りたいなら GitHub 接続が要ります。 - 1回で扱えるのは1つのプロジェクトだけ。
--remoteは1回につき1つのプロジェクトにしか効きません(公式: --remote works with a single repository at a time)。複数のプロジェクトにまたがる作業は、それぞれ分けて叩く必要があります。 - Zero Data Retention 設定の組織は使えない。データを残さない設定をオンにしている組織では、クラウドセッションの機能そのものが利用できません。
- CLI と claude.ai が同じアカウントでサインインしている必要がある。別アカウントでログインしていると、この受け渡しは成立しません。叩く前に同じアカウントか確認しておくと事故りません。
書き方
claude --remote "タスクの内容"
やってみるとこうなる
入力
claude --remote "Fix the recipe search filter in src/search/filter.ts"
出力例
claude.ai 側に新しいクラウドの作業部屋が立ち、今のブランチの状態を GitHub から取り寄せて、書いたタスクの実行を開始する。作業はクラウドで走り続けるので、手元のPCを閉じても止まらない。複数回叩けば、それぞれ独立した作業部屋が同時に動く
このページに出てきた言葉
- クラウドセッション
- claude.ai 側のコンピューターの中に作られる作業部屋。あなたのPCではなく向こう側で Claude がタスクをこなす
- --teleport
- クラウドで動いている作業を、自分のPCのターミナルに引き取って続きを操作するための指定。<code>--remote</code> とは向きが逆
- --remote-control
- 自分のPCで動いているセッションを、claude.ai や Claude アプリから外して見られるようにする指定。実行は手元のまま。名前が似ているが <code>--remote</code> とは別物
- GitHub remote
- GitHub 上にある、そのプロジェクトのファイル一式と変更履歴の保管場所。クラウドはここからコードを取り寄せる
- push(プッシュ)
- 手元で保存した変更を GitHub 側へ送って反映させる操作。<code>--remote</code> を叩く前に済ませておく
- 研究プレビュー
- 正式公開の前段階で、対象プランのユーザーが先に試せる状態のこと