Claude Codeに長い作業を任せている最中、メイン会話を汚さずに脇道で1問だけ聞きたい人向け
Claude Codeに長い作業(コードの書き直し、複数ファイルの編集、依存関係の調査など)を任せている最中、ふと「さっき読んでもらったファイル名なんだっけ」「30分前に却下した案の理由は」と確認したくなったときに、メインの会話を汚したくないし /clear はやりすぎという場面で叩く。コマンドの後ろに知りたい内容を続けて書くと、メイン処理を止めずに脇道で1問だけ答えてもらえる
Claude Code に長い作業を任せている最中、ふと「さっき開いてもらった設定ファイル、名前なんだっけ」「あの判断、どういう理由だったっけ」と確認したくなる瞬間があります。普通にプロンプトを打ち込むと、その確認のやり取りがメイン会話に積み上がっていって、本筋の作業の集中力がそがれていきます。/btw はその「脇道の質問」専用の出口です。
名前の通り「by the way」つまり「ところで」のニュアンスで、メインの会話にも履歴にも一切残らない使い捨てのやり取りを、一時的な画面の上で1往復だけ済ませる仕組みになっています。私は「メイン会話を汚したくないけど /clear はやりすぎ」というシーンで一番効くと感じています。
噛み砕くと、これは「ホワイトボードに小さく書いて、すぐ消す」道具
例えるなら、長い会議の最中にホワイトボードの隅へ小さく走り書きして、隣の人にチラッと見せて、すぐ消すような動き方です。会議の議事録には残らないし、進行中の議題も止めません。会話履歴がそのまま議事録、メインの応答がその議題に当たります。
面白いのは、走り書きを見る人は「今までの会議の流れ」を全部覚えているところ。だから「さっきの設定ファイルの名前」「30分前に出てた選択肢」みたいに、セッションの中で起きたことを前提にした質問が普通に通ります。ただし手元の資料を新しく取りに行くこと、つまりファイルを読みに行ったりコマンドを走らせたりはできません。「今頭の中にあること」だけで答える、という線引きです。
大事な前提:これは「今知ってることから即答」専用
使う前に1個だけ押さえておくと事故りません。/btw は新しく情報を取りに行けません。公式ドキュメントもそこを強調していて、こう書かれています。
side questions answer only from what is already in context. Claude cannot read files, run commands, or search when answering a side question.
訳: 脇道の質問は、すでに今の会話の中にある情報からしか答えない。ファイルを読んだり、コマンドを走らせたり、検索したりはできない
つまり「メインの Claude がさっき読んだファイルの内容」は答えられても、「まだ読んでいないファイルの中身」は答えられません。ここを取り違えると、「なぜか答えてくれない」と感じるはずです。
「料理ブログの書き直し作業中に config ファイル名を聞く」流れで実演
具体的なシーンで動きを追います。題材は、料理ブログのコードを Claude Code に書き直してもらっている最中、という設定です。複数ファイルにまたがる地味で長い作業中で、メインの Claude は今まさに動いています。
ステップ1: 状況設定(メインは動いている)
料理ブログのプロジェクト一式を開いて、Claude Code に「テンプレート周りを整理して、設定の読み込みを1箇所にまとめてほしい」と依頼済み、という状態を想像してください。Claude は何ファイルか読み込んで、いま編集案を組み立てている途中、画面では「処理中」を示すスピナーが回っています。
このタイミングで私の頭に「さっき最初に読んでもらった設定ファイル、名前なんだっけ。site.config.js だった気がするけど自信ない」という疑問が浮かびます。普通なら作業を止めて確認するか、頭の片隅に置いたまま続けるしかない。
ステップ2: メイン会話に触らず脇道で聞く
ここで /btw を叩きます。打ち込み方はそのまま、コマンドの後ろに知りたいことを日本語でも英語でも書くだけです。
/btw さっき最初に読んでもらった設定ファイルの名前なんだっけ?
Enter を押した瞬間、画面の上に小さなオーバーレイがふわっと出てきます。背景にはさっきまでのメインのスピナーが見え続けていて、メイン処理は止まっていない。これがポイントで、公式ドキュメントもこう明示しています。
you can run /btw even while Claude is processing a response. The side question runs independently and does not interrupt the main turn.
訳: Claude が応答を作っている最中でも /btw は叩ける。脇道の質問は独立して動き、メインのターンを止めない
ステップ3: オーバーレイに答えが出る
オーバーレイの中で Claude は、セッションの最初の方で自分が読んだファイル一覧を頭の中から引っ張り出して、こう答えてくれます。
site.config.js です。
最初に読み込んだ設定ファイルで、
テンプレートの基底フォルダの場所と
デフォルトのカテゴリ一覧が定義されています。
※ この出力は構成イメージです。実際のオーバーレイの見た目は公式ドキュメントに画面サンプルがなく、Claude Code のバージョンによっても多少変わります。
ここで初心者がやりがちな勘違いを1つ予告しておきます。「じゃあ、その site.config.js の中身を見せて」と続けて打ちたくなる。これは効きません。/btw は1問1答で終わる仕様で、続けるなら同じ /btw をもう一度叩くか、普通のプロンプトでメイン会話に戻る必要があります。
ステップ4: Space キーでオーバーレイを閉じる
答えを読んだら閉じます。閉じ方は3種類あって、Space / Enter / Escape のどれかを押すとオーバーレイがすっと消え、元のプロンプト入力欄に戻ります。
このとき、画面の見え方として大事なのが「メイン会話の履歴を遡っても、今の /btw のやり取りは1行も出てこない」ことです。会話ログには元の書き直し作業の指示しか残らないので、後から /resume でセッションを再開しても、脇道の質問は痕跡として一切残りません。
ステップ5: メイン作業が止まっていないことを確認
オーバーレイを閉じると、背景で動いていたメインの Claude のスピナーがまだ回り続けているのが見えます。少しすると、何事もなかったかのように書き直しの編集案が画面に流れてくる。これが /btw の真骨頂で、確認のために集中力を割かずに済む構造です。
つまり /btw は何をしてくれるのか
- やってくれる: 今のセッションでメインの Claude が読んだファイルや、自分でした決定、これまでの会話の中身についての即答。1問1答で履歴を汚さない
- やってくれる: メインの Claude が動いている最中でも並列で答える。本流の応答は止まらない
- やってくれない: 新しくファイルを読みに行く、コマンドを走らせる、ウェブを検索する。今のコンテキストにない情報は取りに行けない
- やってくれない: 続けて深堀りする会話。1問1答で打ち切り。続けたいなら普通のプロンプトに切り替える
- 意味が薄い場面: セッション開始直後でまだ何も読み込んでいないとき、長時間のメイン作業が走っていないとき。
/btwの旨味、つまり履歴を汚さず並列で動く強みが出ない
サブエージェントとの違い(公式が明示している対比)
公式ドキュメントには /btw についてこう書かれた一文があります。
/btw is the inverse of a subagent: it sees your full conversation but has no tools, while a subagent has full tools but starts with an empty context.
訳: /btw はサブエージェントの逆。今の会話の全部が見えるが道具を持たない。サブエージェントは道具を全部持つが、空っぽの状態から始まる
表で並べると性格の真逆さがはっきりします。
| 項目 | /btw |
サブエージェント | 普通のプロンプト |
|---|---|---|---|
| 今の会話が見える範囲 | 全部見える | 空っぽから開始 | 全部見える |
| ファイル読み・コマンド実行などの道具 | 使えない | フル装備 | フル装備 |
| 会話履歴に残る | 残らない | 残る | 残る |
| やり取りの回数 | 1問1答だけ | 多ターン | 多ターン |
| 主な用途 | 今知ってることから即答 | 外を見に行って調べる | 本筋の作業を進める |
使い分けのコツは「すでに見えてる情報か、これから取りに行く情報か」で線を引くこと。/btw は前者専用、サブエージェントは後者専用、と切り分けるとブレません。
使いどころ3シナリオ(具体題材で再現)
シナリオ1: 料理ブログの書き直し中に「あれ何だっけ」が浮かんだとき
冒頭の実演そのままのシーン。30〜60分かかる書き直し作業を Claude Code に走らせている最中、ふと「最初に読んでもらった設定ファイル名」「途中で却下したテンプレ構成案」が頭をよぎるタイミングは現実によくあります。普通に質問すると書き直しの会話に「ところで〜」が混ざって、後でログを読み返すときに本筋が分断されて読みにくくなる。/btw なら脇道で即答だけもらって、ログは綺麗なまま残せます。
シナリオ2: 家計簿アプリの設計レビュー中に「さっきの判断の理由」を確認したいとき
Claude に設計案を3パターン出してもらって、相談しながら方針を決めていく場面。1時間ほど議論が進んだ後、「2番目の案を採用したけど、3番目を捨てた理由ってどこで議論したっけ」と振り返りたいことが出ます。これを普通に聞くと「議論を蒸し返す」形で会話が膨らみ、続きの設計レビューが本題から外れていく。/btw で1問1答だけ取り出して閉じれば、メインの設計レビューはそのまま続行できます。
シナリオ3: 公開直前の作業中、退路を絶たれずに小さな確認を挟みたいとき
公開予定のOSSをコピーしてきて、Claude Code にビルドエラーの修正を一気に任せている最中。修正が最終段階に入って「もうここで /clear したくない、会話の流れも保ちたい、でも 30分前に読み込ませた依存関係ファイルの名前だけ思い出したい」みたいな板挟みになる瞬間があります。/clear は破壊的すぎ、普通のプロンプトは履歴を汚す、というジレンマを /btw は綺麗にすり抜けます。
初心者が踏みやすい落とし穴
- まだ読んでいないファイルの中身を聞こうとする。
/btwは道具を使えないので、今のコンテキストにない情報には答えられません。「config/database.ymlの中身を見せて」のような質問は、まだ Claude がそのファイルを読んでいなければ空振りします。新しく取りに行く話なら普通のプロンプトかサブエージェントに回す - 続けて深堀りしようとする。1問1答で終わる仕様で、続けて投げても前回の脇道の答えを覚えていません。深掘りするなら普通のプロンプトでメイン会話に戻る、もしくは
/btwをもう一度独立した1問として打つ - メイン会話に残ると思い込む。脇道のやり取りは画面の上に重なる一時表示で、閉じた瞬間に消えます。会話ログにも残らず、後から
/resumeで再開しても痕跡なし。重要な答えなら手元にメモを取る癖をつけた方が安全 - メイン応答を遅らせると思い込む。並列で走るので、脇道で長文の質問を投げてもメインの書き直しや実装処理は1秒も止まりません。逆に言うと、メインを途中で止めたい場面は、オーバーレイを閉じた後(または
/btwを使う前に)Escでメインターンを中断するのが正解。オーバーレイが出ているときにEscを押すとオーバーレイが閉じるだけでメインは止まらないので、順序に気をつける /clearや/compactの代わりにしようとする。/btwは会話の整理や圧縮を一切しません。コンテキストを軽くしたいなら別コマンド、ただ脇道で1問聞きたいだけなら/btw、と役割を分ける- サブエージェントと取り違える。両者は性格が真逆で、
/btwは「全部見えるが何もできない」、サブエージェントは「何でもできるが何も見えない」。プロジェクト全体を横断する調査を/btwに投げると確実に空振りします - 大量のファイル横断調査を
/btwで済まそうとする。「このプロジェクト全体の中で○○を使ってる箇所をリストして」のような問いは、Claude がそれら全ファイルをすでに読んでいないと無理。素直にサブエージェントか普通のプロンプトに切り替える - プラン限定機能だと思い込む。公式ドキュメントにプランごとの制限の明記はなく、全プラン共通として書かれています。Pro / Max のみといった条件は今のところ読み取れない
書き方
/btw 知りたい内容
やってみるとこうなる
入力
/btw さっき最初に読んでもらった設定ファイルの名前なんだっけ?
出力例
(画面の上に一時的な小窓が出て、その中に次のように表示される ― 以下は構成イメージで、実際の見た目はバージョンにより異なる。公式 docs に画面サンプルなし)
site.config.js です。最初に読み込んだ設定ファイルで、テンプレートの基底フォルダの場所とデフォルトのカテゴリ一覧が定義されています。
→ Space / Enter / Escape のどれかを押すと小窓が閉じて、メインの画面に戻る。このやり取りは会話履歴には1文字も残らない。
このページに出てきた言葉
- side question(サイドクエスチョン)
- 公式ドキュメントの用語で、日本語にすると「脇道の質問」。メイン会話とは別レーンで1回だけ走る使い捨ての問い合わせ
- オーバーレイ
- 画面の上に重ねて出る一時的な表示のこと。背景の本編は動いたまま、その上にメモ用紙が1枚乗っているような見え方になる
- ephemeral(エフェメラル)
- 「一時的・履歴に残らない」という意味。<code>/btw</code> のやり取りはこの性質を持つ
- コンテキスト
- Claudeが今の会話で覚えている情報全部のこと。読み込んだファイルの中身、これまでのやり取り、最初に渡した指示などをまとめて指す
- セッション
- Claude Codeを起動してから終了するまでの1つの作業単位。同じセッションの中なら、最初に読んだファイルや途中の判断をClaudeは覚えている
- サブエージェント
- メインのClaudeとは別の小さい部屋で動くClaude。空っぽから始まって、ファイル読み書きや検索などの道具をフル装備で使える
- プロンプトの一時保存
- 直前までの会話を再利用するために裏で持っておく仕組み。<code>/btw</code> は親会話のこの一時保存をそのまま使うので追加コストが小さい
関連項目
公式ドキュメント
https://code.claude.com/docs/en/interactive-mode#side-questions-with-%2Fbtw